「専門性が活かせない」を僕なりに考えてみる。
※筆者は児童福祉施設の中でも障害児通所支援、とりわけ児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援に関わっているのでそこに焦点を当てた投稿になります。
以前の記事にも書いたが多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が児童福祉分野に入ってきた令和3年度。
数が増える中でこんな声を働いている会社で、SNSで見ることが増えた気がする。
「専門性が活かせない」
SNSでは「専門性をなめとる」みたいな怖い~と思う投稿も見たような...( ;∀;)
なんにしろ、児童発達支援や放課後等デイサービスに転職して働き始めたは良いものの、働き方や役割に不満の声がちらほら聞こえてしまっている状況です。
そんな話を一年(もっと前からあるけど)聞き続けて思ったことやどう対応できるかを自分なりにまとめておきます。
〇なぜ児童発達支援や放課後等デイサービスで働くセラピストは増えたのか?
以前の記事にも書いたがざっくりと令和3年度の改定で「専門的支援加算」が新設された影響が大きいと思います。
もちろんそれ以前から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の採用に力を入れていた事業所はあると思いますが、総数が増えたのは制度の変更が一番大きいのではないでしょうか?
実際僕も転職エージェントさんからのセミナーや説明会の依頼があったりしましたし、某媒体では「小児リハの就職はバブルだ」と謳って、児童発達支援や放課後等デイサービスの求人が多く見られていました。
そんな流れで求人を見た、エージェントに紹介されたなどの機会が増えて、児童福祉分野で働くセラピストさんが増えたんだと思います。(僕はこれ自体大歓迎)
〇児童発達支援や放課後等デイサービスでの現時点でのセラピストの「価値」
これは詳しくは以前の記事に書いています。
ちなみにこの記事の中で専門性について書くといってしまったので億劫ながらこの記事の執筆にとりかかっています(´;ω;`)
ざっくりとまとめると今の大きな価値=お金になることとしては「配置」です。
つまり、何をするか?ではなく、配置できているか?にお金が出る形になっています。
上記に対しての自身の考えは、前の記事に譲りますが、ひとまず語弊を恐れずストレートな解釈のみで話せば「配置」にお金が発生する構造ということです。
〇児童発達支援や放課後等デイサービスで専門性は現時点で必要か?
一言、Yes or Noで答えるのは難しいなと思います。
これは階層で解釈する必要があるのかなと思いした。
まずは第1は事業の継続、第2が利用者・スタッフ双方へのサービスの質の向上です。
では、第1の事業の継続について。
言い換えてしまえば「お金」といっても良いかと思います。
また、金の話かよ~と言われてしまうかもですが、やはりそもそもの支援を届けるためには、事業所の家賃や人件費を払わないといけないし、もっと設備や立地をよくしようと思えばどうしてもお金をまずどうにかする必要があるのかなと思います。
では、ここに対してセラピストの専門性が必要かと言われれば、「ほぼNo」かなと思います。
ここで必要なのは「専門性」よりも「資格」です。
もちろん「専門性」が「稼働数」にめちゃくちゃ影響するような仕組みの事業所ならYesになるかもですが、ぶっちゃけそんなないと思います。
次に第2が利用者・スタッフ双方へのサービスの質の向上について。
ここについては「Yesの場合もある」かなと思います。
なんとも歯切れが悪い...(´;ω;`)
なんでかというとここも事業所の目指すところや地域での役割によって変わるだろうと思うからです。
〇「専門性」を活かすフィールドはあるはずなのに...
これだーーーーー!
みたいなことは全く言わずに歯切れの悪いまま次の章に進みます。
僕なりに前の章をまとめると
「資格によって価値は保証されていて、そこをベースに専門性を活かせるフィールドはあるはず」
という感じです。
前にも言いましたが、いるだけで加算になるので一定それで価値を保証してくれているのになぜ、そこから専門性を発揮して、もっといい仕事しようぜ~みたいなことにいけないのか?
そこを考えてみようと思います。
〇専門性が活かせない理由その①:個の課題解決するための能力の不足
これは以前上司に言われた一言。僕はこれはぐうの音もでないなと思ってしまいました。
専門性があるということは、自身が所属する組織やチームの中での課題を特定し、最短かつ確実に解決にもっていくことができる状態だと思います。
環境に対してどうにかしてというだけでなく、「自分って今何ができる?」を定義して、実績を示すことをまず行うべきかと思います。
あいにくセラピストは「配置」で一定価値が保証されているので、まずはあまり自信の専門に拘らず目の前のこと1つを解決してみるがいいのではないかなと思っています。
〇専門性が活かせない理由その②:見通しの見えなさ
とはいえ、自分で頑張れ!でいいとは全く思わないです。
なんでかというとやはり若い世代のセラピストも多くこの児童福祉分野に入ってきています。
最近では新卒の方も入ってきているくらいです。
僕はこれは働き方の選択肢が増えることや単純にこの業界に若い人が興味を持ってくれることは素晴らしいことだと思っているし、ハードルを上げすぎると業界全体が下降すると思います。
ただ、入り口だけ派手に見せて、卒業で何も残らない企業の価値って正直微妙だよねって思います。
企業の採用の目的は2つだと考えます。
1つは組織の活動に必要な人員の確保(加算も含めて)、もう1つは組織の活性化を促すことです。
つまり、本質的には確かに人員の確保を配置で満たせるのかもですが、より組織を活性化させるための育成が必要です。
セラピストはやはりこの分野でのロールモデルが少なく、見通しが立たないことで「何をやったらいいのか?」「やっぱり医療機関がいいよね?」となってしまうんだと思います。
ロールモデルを示すことが難しくても何を解決していくか?を設定し、小さなゴールに向かってもらうことが必要なのではないかと思います。
ちなみに僕は今年度5つほどのプロジェクトをぶち上げてしまって、ひとまず小さなゴールをたくさん作ってみるみたいなことをしてます。
〇「専門性を活かす」ために自分ができること
単純に知識をつけること、新しい情報をキャッチできることは大事ではあると思います。
ただ、そこはある程度皆さんできること、セラピストの方の得意分野なのでは?と思います。
そこでもう一つの観点は経験できるフィールドを作ることです。
ここがなかなかできてないのかな~と思っています。
僕はこの分野でじゃあ何かをしよう、上司に許可を取ってこようと思う時に、「そもそもこの上司はセラピストを知らない、僕と同じ問題意識を持っていないし、かつ勉強してくれといってもそんなリソースはない」という前提で挑むようにしています。
つまり、上司や会社の困っているところから徐々に侵食していくような地道な取り組みが必要なんだと思っています。
なので、特に専門性が確立していない若いうちに、ちょっと自分からアクションしていかないといけないということがしんどいと思う方はちょっとまだ厳しいのかなと思います。
まだ、そこまで保証してあげられるフェースではないということです。
「児童発達支援や放課後等デイサービスの中でのセラピストの専門性とは何か?」
僕らってどんなこと届けられるの?どんな時に強いの?
そんなことを考えながらサービスを作る面白さがある場所なんじゃないかな~と思ったり。
おしまし
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