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桜の花咲く頃は、

娘の通う幼稚園では、毎年2月に「おたのしみかい」と呼ばれる発表会が行われる。

クラスごとに歌や楽器を披露する、年に一度の子どもたちの晴れ舞台。幼稚園によっては大きなホールを借りて大々的にやるところもあるみたいだけれど、一学年4、5人しかいない娘の園では、園のホールでこぢんまりと行っている。年長の娘にとっては、今回が最後の発表会だ。しかも、年長にはこの発表会で「鍵盤ハーモニカ」を演奏できるという特権(?)がある。だから私は、いつも以上に楽しみにしていた。

しかし、私が住んでいる県には今も緊急事態宣言が出されている。楽しみにしていた発表会の参観はあっけなく中止となり、先生が発表会の様子を撮って、動画を配信するという形になった。

こんな状況なんだから仕方ないという気持ちと、動画配信をしてもらえるだけでもありがたいという気持ちと、最後だしやっぱり見に行きたかったという気持ち。私の心の中では、3つの気持ちがぐるぐると渦巻いている。複雑だ。

ステージに上がる前にこちらをチラッと見る娘は、動画の中にはいないんだよなぁ。

ちなみに当の本人は、参観がなくなったことなんてどうでもいいという感じで、毎日のように「せーんろーはつづくーーよーどーこーまーでーもーーー♪」とご機嫌で歌っている。

参観中止のお便りをもらった日には、突然歌を作ると言いだして歌詞を書いていた。

さくら

さくらさくら
いつにさく はるにさく
うすずみざくらにさく
どこにさく
どこにもさく
どこにさく
さくらさくら みんなさく

みんな咲く。そうか。みんな咲く。

桜って、毎年同じ場所で、どんな状況であろうと春になったらきれいな花を咲かせている。置かれた場所で、置かれた状況でやっていくしかないんだな。

だから、いつまでもグチグチうだうだ言ってたらダメだね。

というか、うちの子、詩人になれるんじゃない?(親バカ)

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