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君は悲劇の名作ポケモンカードGB2を知っているか?

俺の知る中で最も面白いカードゲームは?
答えは「ポケモンカードGB2環境」だ。
抜群の再現度とスペックを持ち、
GBカートリッジはプレミアが付くレベルにありながら、
マイナスイメージが先行し、歴史に埋もれてしまった名作ゲームのひとつ。

今回はこの悲劇の名作を紐解いていくことにする。

▽マイナスイメージの先行、その複数の要因


何が問題かというと、火力を持つ弾が一つではなく複数存在するのだ。
そのどれもが知っていると「〇〇なんでしょ?クソゲーじゃん!」と
擦りたくなること請け合いな要素なのも大きい。
大きすぎるハンディ故、補って有り余る良い面を見て貰う前に
悲しいかな、情報収集を遮断されてしまうのだ。

▼ぼくのかんがえたさいきょうのかーど サンダーLv68


現行再現だけでなく、やはりというかゲームオリジナルカードも存在する。
その中で一際凶悪に輝る一等星がこの「サンダーLv68」だ。

当時のポケモンカード(以下旧裏面)では、
「同じポケモンでもレベル違いで性能も違うカード」がある。
その1枚であり、ストーリー上存在する
「伝説の4枚のカード」のひとつ、という位置付け。
他の伝説のカードは滅茶苦茶弱いのが1枚と「伝説の名に恥じぬ強さ」位で
収まっているのだが、このサンダーLv68はやりすぎた。

最大HP70以下が大半、ダメージ10点の重みが大きい旧裏面において
エネルギー(マナ)3つで70ダメージを出すワザ「ビッグサンダー」を搭載。
これを連発しているだけで一撃必殺を量産しストーリー上は無双状態、
制限なし環境で対人戦をした場合でも、満場一致で最強の一角に位置する。

他のカードのエネルギー3つ技は、良くてダメージ50が関の山だ。
そこにはデメリット効果が加わるものもある位の扱い。
ただ70ダメージを与えるだけでも強烈というのに、
そんな中で複数のメリット効果を持つという暴挙を平気でやってのける。

まずは「抵抗力を無視する」ということ。
雷ワザに対しダメージ-30の抵抗力を持つじめん系の闘ポケモンだろうが、
問答無用で貫通しほぼ一撃で葬ってくる。
何ならサンダーは闘抵抗を持つので、寧ろカモというオチまで付く。

ところで、ポケモンカードには
主戦場になるバトル場と、控え扱いとなるベンチという概念がある。
「ならベンチで育てて数で押せばいいのでは?」という考えも無駄、
第二のメリット「対象は自動で選ばれる」がそれを許さないのだ。

一見デメリットに見えるこの効果は、
通常手を出しにくいベンチに恐ろしい効率でダメージを叩き出せるという
メリットの前ではないも同然。
サンダーLv68自体に降り注ぐなどというマヌケは起こらないし、
自身のベンチも対象になるが、ならば自分は何も出さなければいい。
二番目に強いベンチ攻撃のダメージは低確率の上振れを引いて40と言えば、
如何に狂った要素が分かって頂けるだろうか。

ベンチで育てると言っても、万全の状態へは1ターンでは持っていけない。対してサンダーLv68はHPも100とたっぷり備えており、
生半可なワザでは落とせないときた。
倒し切れる前に孤立するか、その前に天罰が降り注ぎ倒されるのがオチだ。

なら場に出すだけで発動する「特殊能力」で対策するのはどうか?
これも無駄に等しい。
サンダーLv68デッキはポケモンカードが最悪これ1枚でいいため、
対策の対策となるカードを幾らでも入れるスペースが有る。
HP回復や状態異常治療は勿論のこと、
特殊能力を打ち消すトレーナーカード「まきちらせ!ベトベトガス」で
徹底的に封じ込められゲームセットだ。

これだけでも最強たらしめうるのに、まだ勝ち筋が存在する。
サンダーLv68を場に出すと発動する特殊能力「カミングサンダー」は
場に出すだけで抵抗力無視の30ダメージ。エネルギーすら不要。
1ターンに一度だけなどという生易しい制限はない。
サンダーLv68は伝説のカードだというのにある方法で複製可能、
「複数握って出してはトレーナーカードで戻し、再登場」のソリティアで
相手は何もできないままの1ターンキルすら可能にしてしまう。
ここまでくると、最早ゲームではない。

▼弱過ぎるラスボスな前作 ポケモンカードGB


ポケモンカードGB2というからには、前作が存在している。
しかしこれがどうにも怪しい代物。
シリーズものの続編は、前作の評価に引っ張られがちだ。
それ故に続編であるGB2もいける!とは行かなかった。

旧裏面紙の高い再現度や良好かつ個性的なAIの実現はいいのだが、
モノクロ時代のGB作品故に、単純にカードプールが狭く
更には対戦相手も少ないという当時から見ても肝心なボリュームが不足。
ライバルのランドは、ポケモン赤緑青黄ライバルの二番煎じ感が拭えない。

相手のデッキ構成も、黎明期も黎明期故に未熟なものが目立つ。
特にラスボスのランドとその直前リュウドーに至っては語り草で、
ラスト故か要素の詰め込み過剰で相手のデッキが物凄く重く
手札事故でぐだつく間にこちらが小突くだけで、あっけなく勝利できる。
その事故率の高さ故、双方作中トップレベルの弱さという体たらく。

乱数生成も甘く、戦況には偏りが出てしまう。
カード入手からドローにまで作用しうるのは致命的というほかない。
折角の相手AIの作り込みも、これでは宝の持ち腐れだ。

また、伝説のカードという概念ができたのはこの初代から。
世界観の分かりやすいマーク足り得る「伝説のカード」という聖域が、
前述のサンダーLv68を登場させ、更に続投を許してしまった。
これが一番のクリティカルと言えよう。

▼紙環境は暗黒期真っ只中


ポケモンカードGB2発売当初、
旧裏面の直近における紙環境は暗黒の中を彷徨っていた。
これがポケモンカード自体にどのようなイメージを与えていたかは
推して知るべし、というやつだ。
それでもPRは紙の方に力を集中しており、
新ハード、ゲームボーイアドバンスへの移行という時期も重なって
ポケモンカードGB2はPRが足りなかったという背景もある。

素早く40ダメージを出して即勝利の「エリカのプリンLv13」。
何にでも何度でも化けてくる悪用前提「タケシのキュウコンLv35」。
ハンデスしてから展開し、相手の起死回生トレーナーカードを
不発に終わらせるどころかこちらが使える最凶の「錯乱ジム」。
仮に上記のサンダーLv68が紙に存在していたとしても霞みかねない。
紙ではマリガン制限によりこの対策でスペースを剥奪されてしまい、
全力を出しきれないのだ。
何ならサンダーと言えば、全て雑に頗る強い「R団のサンダーLv34」が。

金銀neo環境へと進めば更なる錯乱が襲いかかる。
相手にコイントスを強要、裏ならワザ不発の「ベイビィポケモン各種」。
ベイビィに装備されれば倒せる確率が1/4に落ちる「きあいのハチマキ」。
このコンボによる究極牛歩戦術は、初めて食らった日にはトラウマもの。

ならワザや特殊能力は弱いのかというと逆、ベイビィのワザ自体も強い。
僅か1エネルギーでオーキドはかせの上位互換連発可、真最凶「ピィLv4」。
場全体が対象、複数20ダメージで特殊能力キラーの「ピチューLv5」。
特殊能力封じの二対「ブビィLv5」「ププリンLv6」。
プリンで懲りなかったのか?1エネルギー30ダメージの「バルキーLv7」。
新要素で推したいのは分かるが、ベイビィポケモンどれも強すぎないか?

悪夢はまだ続く。
エネルギー2枚で目指せ80ダメージ、弱点なしの「ニューラLv24」。
ニューラ最高最悪の相棒、禁断のロックカード「ヤミカラスLv25」。
禁断の誤訳により海外ではベンチでも疑似錯乱ジム「ヤドキングLv39」。

……目眩のしそうな面子に、如何なる深淵たるか伺えるだろう。

▼禁断?の7枚ドロー、オーキドはかせ


「手札を全て捨て、デッキから7枚ドローする」。
この衝撃的な効果は、他カードゲーム界隈にまで名を轟かせたほどだ。
ではこの「オーキドはかせ」はブッ壊れなのか?と言われると
実は違うのだ。
そう、真なるブッ壊れは使い減りせず連発が可能で、
かつ遅延までこなしてみせる上記のピィLv4なのである。

旧裏面はデッキが60枚、エネルギーは1ターンに1匹限定かつ1枚までと
ターン数、ひいては一試合がかなりの長丁場になりうるゲームデザイン。
最初の手札は7枚だが、その前にデッキから裏に6枚伏せるという
サイドカードルールが安定性を奪う。
そのサイドカードを1枚ずつ取ってじっくりと勝利を狙う中で、
バトル場だけでなくベンチも整えつつ
トレーナーカードで支援、のぞむなら進化させ、これを毎ターン行う……と
やるべきことは多々ある。
だが進化カードは手札に握っていなければならない。
カード自体山札からサーチ、トラッシュからのサルベージは難しく
オーキドはかせで捨てた手札は思った以上に高く付く。
回し切り思い描く盤面を完成させるには、多数のカードが不可欠だ。

このため手札などすぐに尽きてしまう。
仮に高速ドローなしではノロノロとした、
メリハリのない塩試合になるのは目に見えている。

故にオーキドはかせは「意味不明のブッ壊れカード」ではなく
それは「旧裏面になくてはならない潤滑油」であり
「高速ドローによるゲームの華」でもあるのだ。
仮に4枚積んだデッキであっても完全に回りきるケースは多くなく、
絶対どころか安定とまでもいかない。
何ならオーキドはかせが2枚手札に来るのもありがちな手札事故である。

数少ないサーチ、サルベージ「パソコン通信」「ダウジングマシーン」を
4枚ずつ加えても結果は同じ、まだ安定とは言えず、
コストの手札2枚トラッシュがボディブローのようにジワジワ効いてくる。

かの有名な強欲な壺と同じ効果の「マサキ」ですら
軽量ドローの範疇に収まってしまうほど。
だが考えなしに引き過ぎれば、相手にターンを稼がれ
デッキ切れへ一直線だ。

引きまくらないといけないが、引きすぎてもいけない。
「オーキドはかせを今使うか?それとも温存すべきか?
そもそも何を使い、何を残しておくか?」
このスピード感とジリジリとした駆け引きの融合。
ドローソースをこれでもかとぶち込んだ
最強vs最強でありながら、相手の妨害もあり
何かが欠けている状況が続く。

その何かが欠けている中で、1ターン1ターンの最善手を求め熟考する。
綱渡りで走り続けるスリルを味わいながら、
容易ではない中で、理想の盤面を描ききった際と
捲り返し逆転へと導いた際の快感はひとしお。

これこそがポケモンカードGB2環境を最高足らしめているのだ。
安心して欲しい。紙での暗黒期、遅延にロックを強いるイカれカード達は、
そのほぼ全てが収録されていないのである。

▽最強vs最強を彩る、素晴らしいカードたち


日本発トレーディングカードゲーム黎明期とは思えないほど、
対戦を華やがせる良血達が他にもある。
互いに強カード応酬の中、チャンスには慎重かつ大胆に決めていこう。
勿論サンダーLv68は禁止にして。

▼10点の攻防がアツい、プラスパワー&ディフェンダー


GB2環境は平均的にHPが低い故に、ダメージ10点のやり取りが重く
後少し強ければ、耐えられれば……という紙一重な場面もままある。
そこに華を添えるのが10ダメージ上昇の「プラスパワー」と
20ダメージ減少の「ディフェンダー」だ。

来たらすぐ使うだけが能じゃない。
何故なら彼らは僅か1ターンしか作用してくれないのだから。
使うことでいつ勝負をかけ、相手の計算をいつ崩すか。
相手はどちらを何枚握っているだろうか?
その予測と一手が明暗を分けると言っても過言ではないほど。

何と重ねがけで更にアツくなることもできる。
ただ手札枚数を握っているだけで、相手にプレッシャーをかけられるのだ。
ドローソースを敢えて抱えることで、ブラフに仕立て上げることもできる。

賭けに勝つか、無駄使いに終わるか。
まさにcardの原義「切り札」に相応しい。

▼天秤にかけた回復 「いいキズぐすり」


10点が重いゲーム性の中で、一気に40回復できる「いいキズぐすり」は、
使い時によっては1枚で相手に絶望を叩き込めるカード。
本編での無能ぶりがウソのようである。

しかしこんな優秀な効果がノーリスクなはずもなく、
コストとしてエネルギー1枚トラッシュを要求してくる。
下手すれば1ターンをドブに捨てるのと同じ重さだ。

ドローもエネルギーも手札にない、それでも手傷ある状態はやってくる。
そこにて傷を癒やす天使は悪魔に豹変し、その選択を迫ってくる。
リスクリターンの素晴らしさが光るカードだ。

▼手札事故を防げ 「ガルーラLv40」


エネルギー1枚で1ドローできるワザ「こどものおつかい」は、
君の手札事故をなかったことにし、90あるHPで時間を稼いでくれる。
紙の旧裏面では「エリカ」「ナツメの眼」「ウツギはかせ」「クルミ」など
ドローソースが更に充実しているため、
正味初心者が引っかかりがちな罠カードという悲しい立ち位置なのだが、
このGB2環境ではそんな心配もない。引ける時引いとき。
相手のハンデスに強くなる利点も。

但し使いすぎれば、単純にダメージを与える機会を失い続けることになる。
一応エネルギー4つでコイントス20ダメージ×4の第二のワザ
「れんぞくパンチ」も、攻撃としてやろうと思えば何とか役には立つ。
……余りコイントスには頼りたくないのが常ではあるが。

余談だが、旧裏面では
初代や金銀本編ではイマイチ役に立てなかったポケモンが強い傾向がある。
違う媒体で救済の手を差し伸べてくれるのはいいことだ。

▼カードでも最強格、「ミュウツーLv60」


本編での評価を然程落とさずに君臨する猛者もいる。
「やっぱりミュウツーよね」ことミュウツーLv60がそれだ。
「エネルギーきゅうしゅう」は文字通りの効果で、
エネルギーは1ターンに1枚という法則を歪め急加速する。
3エネルギー40ダメージのもう一つのワザ「サイコバーン」を
2ターン目から連発できる算段になる。
「いいキズぐすり」をこれほど上手く使えるポケモンもいない。

但し吸収するエネルギー最大2枚は、トラッシュから選択せねばならない。
1ターン目にエネルギーを2枚落とすのはちょっとした工夫を必要とする。
構築と腕の見せ所と言えよう。

相手のエネルギーを剥がすという憎き「エネルギー・リムーブ」系に
強く出られるというのも大きい。

▼主演8本の名優 「リサイクルエネルギー」


無色込のワザにしかエネルギーとして作用しないものの、
場からトラッシュされれば、何と手札に戻ってくる可愛いヤツ。
場からでないとダメなので、無限手札コストにはできない調整が光る。
相手の「エネルギー・リムーブ」を実質防御し、
自分の「超エネルギー・リムーブ」「いいキズぐすり」のコストに最適。
枯渇を防ぎ、エネルギーの為に山札を掘るリスクも軽減できるとくれば、
これほどまでマルチに活躍してくれるものなのかと唸らせる名カードだ。

▼わるいポケモンを守れ 「わるいピクシーLv33」


ワザこそ特殊で強いものも散見されるが、代償となる低いHPが災いし
全体的な評価は低めで攻めあぐねていた初期の「わるいポケモン」群。
これを救ってくれるGB2オリジナルカードが「わるいピクシーLv33」だ。

さながら「わるい」専属の生ける恒常ディフェンダーであり、
ランダムでダメージを10か20軽減可能な特殊能力「ダークヴェール」が
10点刻みのコツコツ系カードをほぼシャットアウトしてくれる。

このサポート性能でわるいポケモンの耐久力は驚くほど改善され、
何ならHP70とワザ「わるいうた」で自ら攻め込むことも十分可能。
特殊能力目的のいわゆる「置物」に留まらない活躍まで期待できる。

▼派手なプロレス展開を 「たたきつけろ!挑戦状」


2枚ドローか、互いにデッキからポケモンを好きなだけ展開か。
二択を相手に迫る思い切ったデザインのカードだ。
こちらが展開勝負で遅れを取っても、
イーブンや捲り返しに持ち込める可能性を秘める。
後者を選ばれた際の場は圧巻だ。
是非使って勝利してみたいカードのひとつ。

CPU相手に使うと必ず2枚ドローになるので、
実質マサキを8枚まで積める小技も備えている。
遠慮なく叩きつけてやろう。

▼いいから表になれ 「リサイクル」


「コイントスにさえ勝利すれば」、
トラッシュから何でもデッキの一番上に置ける夢のようなカード。
これがノーリスクで手札行きならブッ壊れもいいところだが、
きっちり運試しをさせられるし、1ターンのラグがある……
この先のリサイクルは、「マサキ」を持っていると、
このラグを踏み倒せてしまいます。
だから、
マサキを手札に温存する必要があったんですね。

なんで?なんで?なんで?
そもそもコインが表じゃないじゃーーーーん!

▼世話になるしかない 「メンテナンス」の恐怖


オーキドはかせがダブると手札事故なのは上記の通り。
進化カードだってなるべくならトラッシュはしたくない。
特殊エネルギーカードを捨ててしまうと、再利用は絶望的だ。
「リサイクル」「マサキ」コンボだって崩したくないはず。

旧裏面紙は2枚引いてから山札に2枚戻せる「クルミ」が大活躍するのだが、
GB2環境には残念ながら存在しない。
代わりに出てくるのが「2枚戻してから1枚引く」メンテナンスである。

パワー的には劣化もいいところで、「リサイクル」後のデッキトップまで
潰してくれるという逆順が足を引っ張るマズイ代物なのだが、
ドローソースな事には変わりなく、上記手札事故のケア不能はよりマズイ。
時には嫌なヤツとも向き合わなければならないのだ。さて、何枚入れるか?

▼外伝 マルマイン不在による救済


ゲームボーイでは効果の再現が難しかったのか、
自ら倒れる代わりに好きなエネルギー2個分になれる
「マルマインLv40」の不在にも触れなければならないだろう。

これが結果的には功を奏した。
もし実装されていれば、猫も杓子も急加速悪用で戦術もヘッタクレもない
極悪テーマデッキ「〇〇マルマイン」で溢れかえるのは想像に難くない。

▽全体的ボリューム改善、クリア後は強デッキも


カードプールだけでなく、ストーリー周りも大きく改善。
前作のカード再現度と良AI搭載はそのままに
ダッシュを可能にしフィールドをサクサク移動、
ランドも改心し積極的に主人公に協力、時には腕を競い合う間柄に。

対戦相手やストーリー自体もグッと増え、
その汎用性を買われてか上記のガルーラLv40は幅広く採用されている。
序盤から中々の完成度を誇るデッキに当たることも。
メインの対戦相手となるGR団はいずれも個性派揃いで飽きさせず、
例えば炎のダンジョンは料理人がテーマ、という発想にも優れる。
中には実際の大会上位入賞者がモチーフのキャラも存在する小ネタも完備。
独自ルールを設ける特殊環境でのバトルなんかもあり、
単調なゴリ押しは通用せず、一筋縄ではいかない。

息抜きのゲームコーナーも追加され、
アトラクションのひとつ「ブラックボックス」は、元手となるカード達と
法則性さえ掴めば本来1枚の筈のプロモーションカードすら量産可能だ。

ラスボス戦はもちろん専用BGM、これがまた良曲。
相手は4つものデッキを操り、先に2勝した方の勝ちとなる豪華な長期戦。
当時に所謂2先をカードゲームで採用する英断が光る。

クリア後には、カードプール最強格のテーマデッキをも使用してくる
「ゴーストカードマスター」達が登場。環境がよく研究されている証左だ。
欠けているのは「くいしんぼカビゴン単」「ミュウツーLv60」、
「ルギア単」にCPUでは扱いきれないであろう「ハンデス三種の神器」、
「わるいライチュウ+GR団のミュウツー+わるいピクシー」位か。
サンダーLv68が複数入った情け無用のデッキも。
彼等に勝って得られるのは栄誉だ。ただそれだけでいい。

悲劇の名作、我はここにあり。
その良さだけでなく、悲しみの原因も拾い、学ぶ。
そこに闇から脱する手立てがあるのだ。


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