中学進学と自転車通学の話
長男のたこが、4月から中学生になる。
5年生の終わりから不登校・不安定登校のたこ。
6年生の夏。
母は、将来を案じて、いろんなプランをたこに提示した。
母の実家である祖父母宅に下宿して、田舎の中学に通う。
山村留学で長野の山奥に寮付きの中学に通う。
N中に通う。
たこの興味を一番引いたのはN中。池袋校のオープンキャンパスに参加し、ゲーム・ネットの世界が幅広いことを知り、興奮していたし、浮かれていた。
オープンキャンパス後に、パンフレットに真剣に目を通す母をよそに、「あぁ~決まった決まった♪」と風呂上がりのようにサッパリした様子のたこ。
しかし、概算で年間130万の教育費が出てしまっては、おいそれと承諾出来ない。夫からも、『保留』という名の『不採択』が出てしまった。
(夫は優しい人で、断定的な言い方は決してしない。白よりの黒、もしくは黒よりの白。というグレー主義。)
次にたこが心を寄せたのは、母の実家の田舎の中学校。
たこの夏休みに、実家から母は23年ぶりに歩いて中学までたこと見学に行った。
親切な先生と部活に汗を流す快活な生徒にたこの心は動いた。
ところが思わぬ刺客が登場する。
じいちゃんだ。。。
じいちゃんは、たこへの愛情が溢れるあまりに、
「ここへ来たならば、たこを改革する!!
ケータイは禁止!定期テストは80以上をとってもらう!
部活は野球部じゃ!!」
と、熱血刀を振るってきた。
省エネ重視で低空飛行を心地よくこなしていきたいたこは、一刀両断。
淡い期待が砕け散ったとばかりに、選択を絶ってしまった。
そこで持ち出した山村留学。入学条件に見学必須!とあったので、母は夏休み中に答えが欲しかった。
たこは言った。
「おれは、見捨てられるのは嫌だ。」
たこは、相当に自信を無くしていた。
学校にも行けない自分は、家族から追い出されてしまう。おれは家族のお荷物なの?捨てないで。
母は、その言葉を聞いたとき、「バカ言うな!!」と涙があふれた。
学校に行かなくったって、たこはたこで良い!!そう強く思った。
そんなこんなで、地元の中学しか選択肢がなくなり、たこと見学に行くことにした。この地元の公立中学見学にも、一手間二手間あった。
母が、見学の申し込みを中学に直談判すると、「前例がない」ということでまず、疑問を持たれた。
冷静に考えれば、当たり前に小学校からそのまま上がっていく中学校。
私立のように生徒をかき集める必要性もない。
結局、個人の要求では通せないということで、小学校から公式アポイントを取ってほしいと言われた。母は、小学校とはマメに連絡を取り合い、多少なりとも連携は取れている自負があったので、小学校の教頭先生に中学見学の概要を話すと、その日のうちに中学に話が通り、日程を設定してもらえた。
(中学なんやねん!!)
見学当日。夏休み。暑い。。。
母とたこは、中学まで徒歩でどれくらいかかるかを体感すべく、炎天下に家から歩きだした。
遠い。
母は、暑さが嫌過ぎて、若干速足で歩いていた。にもかかわらず!!!
45分。
学校に行く気のないたこが、果たしてこのタイムを叩き出せるだろうか。
たこの足なら、1時間をゆうに超えるだろう。
中学見学はまず、クーラーの利いてない会議室に通された。(嫌味)
中学校と色々と話をする中で、自転車通学の有無を確認する。答えは『無し』
理由を問うと、「前例がないから」
母はずーっと、考えていた。徒歩45分は無理だ。
それだけで、たこは、登校を拒否するだろう。
なんとかしなければ。
そんなことを考えていたある日。
小学校で母が2時間だけ登校したたこの帰りを待っていると、ジョーク好きの結構話の分かる先生が声をかけてくれた。
先生:「お母さん!元気?たこは中学、行く気になってるんかい?」
母:「いやぁ。。わからないですけど。中学まで家から歩いて45分かかるんですよ(笑)」
先生:「げ~~~!!!俺はイヤだぁ!!もう徒歩10分で車使っちまうよー!自転車で行けんのかい?」
母:「自転車NGみたいで。暑い日、寒い日、雨の日なんて、絶対行かないと思います(笑)」
先生:「俺はね、いつも思うわけ。大人ができることを子どもにやれって言え!って。じゃあお前ら(大人)出来んのか?って。中学の先生に実際歩いてもらえばいいんだ。」
良いこと言う。ほんとにその通り。親としての今までの言動を振り返ると耳が痛いけれど、自転車通学に関してはその通り!!やってみろってんだ!
そのあとも、ご近所のおじちゃんとの会話で、自転車通学の話になり、
「安全が保障出来ないのが、中学校は嫌がるんだろうな。教育委員会が一発言えば、学校は言うこと聞くぜ。」
という過激派とも取れる意見を頂いた。
母は、早速、自転車通学について教育委員会に問い合わせをする。
答えは、「自転車通学に関しては、学校ごとの采配となり、教育委員会からおろす取り決めなどはございません。お力に添えず、申し訳ありません」
とのことだった。
本丸は中学校だったか!!
今から中学へ出向いて交渉…。また公式アポかな。今度こそ、モンスターペアレントだと思われるかな。という危惧がぬぐえず、まだ動けていない。
夫に相談すると、
「まぁ中学校側は、めんどくさいんだろうね。保険だったり、事故や盗難のリスク、駐輪場の確保もあるし。需要はどれくらいあるのかね?逆にそこをクリアにできれば。駐輪場の寄贈とか!ははは(笑)いくらかかるの?」
という返答。
ぐぬぬ。。。どう動いたら良いものか。
自分への教訓
大人ができることを、子どもに「やれ」って言う。
親のできることを考える。
学校で生きずらさを抱える子どもたちのために何ができるのか。 たこ・ぴこ・ちぃだけではなく、不登校児の安心できる居場所づくりの資金にしたいと考えています。