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63.XYZと学校教育

同じ日本人でも、生まれた時代とその環境…社会の変化による影響から、世代間で異なる特徴が見られ、その世代によって肩書があります。

昭和の勝ち組世代が名付けたかっこいい名称です。
 
“団塊世代”、“団塊ジュニア世代”、“バブル世代”、“就職氷河期世代”、“ゆとり世代” などです。
 
そこで“Z世代”…、今これからの社会の中心に立つ世代の特徴を少し見てみたいと思います。

Z世代は既にインターネットが普及していた時代に生まれた、デジタルネイティヴと呼ばれる世代のことです。

2023年現在において10代から20代前半の若者のZ世代は、これからの経済を支える中心になります。
 
Z世代の語源はアメリカにあり、アメリカでは下記のような世代を区別する呼び方が一般化しています。
 
X世代:1960年から1974年生まれ

Y世代:1975年から1990年代前半生まれ

Z世代:1991年以降に生まれた世代
 
また、Z世代は“ジェネレーションZ”と呼ばれることもあります。

…名称はイマイチ、かっこよくないですね。

ロストジェネレーションの方がよっぽどかっこいい…。
 
それにXYZと言えば、私にとっては、北条司さんの80年代の名作漫画『シティーハンター』の冴羽獠なんです。

XYZは、依頼者がシティーハンターに仕事を依頼する時のキーワード…、

“もう後がない……助けてくれ”

…という意味で、カクテルの名前が由来にもなりました。

冴羽獠、かっこ良すぎです。
 
話は逸れましたが、

Z世代には厳密な定義はありませんが、日本では1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指します。

2023年現在で、10代前半から26歳くらいの若者がZ世代に当て嵌まります。

Z世代は、他の世代にない特徴的な価値観を有する世代と言われています。

Z世代最大の特徴といえるのが、デジタルネイティヴであることです。
 
インターネットに繋がるデバイスを当たり前に利用しているので、正しく使いこなす為の知識や能力(ネットリテラシー)が高いことも他の世代とは一線を画す特徴になります。
 
また、ダイバーシティ(多様性・相違点)&インクルージョン(包摂)……多様な人材を受け入れてその能力を発揮させる考え方を重視する傾向が見られ、新しいテクノロジーへの興味関心が旺盛であることも特徴です。
 
デジタルネイティヴは、インターネットや各種デバイスが常に身近に存在していて、スマートフォンなどの機器やSNSを当たり前に利用している人を指す言葉です。

スマートフォンやSNSに親しんでいるデジタルネイティヴは、生活上これらを利用することに疑問を感じることがありません。
 
学生時代からこれらを利用している1980年代生まれ以降もデジタルネイティヴと呼ばれますが、物心ついた頃から各種機器やインターネットサービスを利用しているZ世代は、情報収集はもちろんのこと、買い物や読書、勉強、就職活動、娯楽もデジタルデバイスを通して行っています。
 
また、Z世代は1980年代のデジタルネイティヴよりも、テレビなどのマスメディア離れが進んでいることも特徴です。

Z世代は学校などでの教育の影響もあり、ネットリテラシーが総じて高い傾向です。

ネットリテラシーとはインターネット・リテラシーの略語で、インターネットにある情報を正しく理解して、それを適切に利用できる能力のことです。

インターネットには真偽不明の情報が膨大に溢れかえっているので、安全に利用するには正しい情報を見抜いて、誤った情報を取り入れないスキルが不可欠です。
 
他の世代と比較すると、こうしたジャッジの精度が相対的に高まっている世代と位置づけられます。
 
そして、Z世代はダイバーシティとインクルージョンを重視します。

ダイバーシティとは“多様性”のことで、Z世代は一律であることが正しいとするのではなく、個々人の多様性を尊重します。

インクルージョンは“受容”を意味する言葉です。

周囲の多様性を認めて、排除せず、それを受け入れることを大切にしています。

Z世代は新しいテクノロジーを歓迎する傾向にあります。

VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いた娯楽や学習、ライブ映像の配信、AI、社会課題の解決に繋がる最新テクノロジーなどに、高い興味関心を持っています。
 
テクノロジーが詰まったデバイスを当たり前に利用していることがその背景にあると考えられます。
 
Z世代は消費に消極的であると言われることもあります。

ただし、自身にとって価値のあるものや必要と考える体験には支出を惜しまない世代です。

また、ネットショッピングが当たり前の世代にも関わらず、購買を体験する“価値”にも重きを置いていて、実店舗での消費を求める傾向も見られます。
 
Z世代の中にはまだ学生の人も多くいますが、一部社会人となり働いているZ世代は仕事に対する意識も他の世代と一線を画し、よりワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が見られます。
 
プライベートな時間がとれないような働き方は好みません。

また、社会への関心や貢献意識が強く、社会課題を解決できるようなことや社会貢献を重視している企業に興味を寄せると言われています。
 
それと同時に、安定的で堅実な企業を好む傾向も見られます。

性差別やパワハラを好まず、理不尽な命令や理由がクリアではない社内評価には決して納得することがないという特徴もあるようです。

Z世代のように、他の若い世代にもそれぞれ次のような呼称があります。
 
ミレニアル世代は“体験”を重視する世代です。
“ミレニアル”は“新千年紀”を意味するミレニアムに由来しています。
 
1983年から1995年頃までに生まれて、2000年代に成人を迎えた世代がこのように呼ばれており、日本だけでなく、アメリカをはじめとする英語圏でも共通して使われています。

Z世代と同じくデジタルネイティヴで、デジタルの発展とともに成長してきた世代なので、IT技術やネットリテラシーに詳しい人が多いことが特徴です。

また、Z世代よりも更に“体験”にお金をかけたい人が多い傾向にあり、Z世代に比べて理想主義と評されることもあります。
 
Y世代…デジタルパイオニア世代です。

1981年から1990年代後半頃に生まれた世代のことです。

Y世代はミレニアル世代と重なっていて、ミレニアル世代と似た特徴を持ちますが、デジタルネイティヴではなく、ググることが自然なデジタルテクノロジーを駆使するデジタルパイオニアと呼ばれることもあります。
 
α世代はZ世代の次の世代です。

2013年から2020年代中頃までに生まれる世代を指します。

まだ生まれたばかりの乳幼児や児童も多く当て嵌まるので、特徴や傾向については未知な部分がほとんどです。

この世代が社会に進出するのは2030年以降です。

どのような価値観を有し、働き方の傾向が見られるようになるのか…社会の変化とどう共鳴するのか興味深いところです。

α世代まで見たので、最新の教育改革を振り返ってみます。
 
2020年は教育改革の始まりの年でした。

グローバル化やAI(人工知能)などの技術革新が急速に進み、予測困難なこれからの時代において、子どもたちは自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、自ら判断して行動し、より良い社会や人生を切り拓いていく力が求められるので変革されました。
 
学校での学びを通じて、子どもたちがそのような“生きる力”を育む為に、学習指導要領が約10年ぶりに改訂されて、2020年度から小学校から順に実施し始めています。
 
小学校の中学年から外国語教育を導入したことや、小学校におけるプログラミング教育を必修化するなど社会の変化を見据えた新たな学びへと進化し始めています。

そのことについて、少し勉強してみます。
 
学習指導要領は、全国である程度の水準の教育を提供することを目的として、文部科学省が定めているカリキュラムのことを指します。

学習指導要領を基に、時間割や教科書の内容が決められていきます。
 
この学習指導要領は10年に1度改訂されます。
 
新学習指導要領による学習は、小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度から実施されています。

今回導入される学習指導要領では“生きる力”のその先の力を育成する“社会に開かれた教育課程”が重要視されています。

特に、主体的で深い学びを実現する“アクティブ・ラーニング”、子どもや地域の実態に即した教育を実現する“カリキュラム・マネジメント”を実施し、学びに向かう力、人間性、知識及び技能、思考力、判断力、表現力の3つの力をバランス良く育成することが宣言されています。
 
そして、グローバル化の進む社会でも対応できる英語力の育成に重点が置かれるようになっています。
 
後述する小学校での英語教育の充実化や教科化に加えて、中学校や高校での英語の授業は基本的に日本語を使わず英語だけで行うことになっています。
 
また、センター試験に代わって導入された“大学入学共通テスト”では、英検やGTECといった英語の民間試験を加えて、従来の“読む・書く”の2技能ではなく“読む・聞く・書く・話す”の4技能を評価することになりました。
 
その他にも、国語や数学での記述式試験の導入が表明されていましたが、試験実施や採点の公平性の観点などで問題が指摘されて、どちらも断念されました。

また、大学ごとの個別試験にも変化があります。
 
一般試験においても志望理由書の提出が求められる場合や、小論文や面接が課される場合があります。
 
更に、もともと高校での成績や小論文、面接などによる評価で入学の可否を決めていたAO・推薦型入試でも学力による試験が重要視されるようになります。

加えて、高校からの調査書をこれまでより重視していく方針も発表されています。
 
21世紀は新たな知識、情報、技術が社会のあらゆる基盤になる“知識基盤社会”であると言われています。

今後10~20年程度で半数近くの仕事が自動化される可能性が高いとも言われています。

現在の子どもたちの65%が、将来、今は存在していない職業に就くと予測されています。

このような変化の要因には少子高齢化による人口減少、グローバル化、情報化の面での急速な社会の変化が考えられます。

2020年の教育改革では、このような社会の急速な変化に柔軟に対応する力をつけることが必要と考えられています。
 
これからの時代に適応していく“社会に開かれた教育課程”が、2020年からの教育改革のキーワードとなっています。

また、文部科学省が述べている“社会に開かれた教育課程”で身につけさせたい力は以下の通りです。
 
・社会や世界の状況を幅広く視野に入れて、より良い学校教育を通じて、より良い社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
 
・これからの社会を創り出していく子ども達が、社会や世界に向き合い、関わり合い、自らの人生を切り拓いていく為に求められる資質や能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。
 
・教育課程の実施に当たって、地域の人的、物的資源を活用したり、放課後や土曜日などを活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有、連携しながら実現させること。
 
2020年の教育改革では、これからの激しい社会の変化に対応できる力の育成が求められ、学校側も社会との連携を図っていくことに重点が置かれています。

ゆとりの時との差が凄すぎて、子どもも親も…それに関わる大人もついて行けるのか?と思ってしまうぐらい壮大なヴィジョンのようにも見えますが、それが良いのだと思います。
 
ハードルを高くすればする程、それを乗り越えようと向上心が上がりますし、実際にどんなに高いハードルでも越えてしまうことができる人がいます。

それに対して、当然のことながら、どんなハードルであれ脱落する人もいます。

脱落することは何も悪いことではなく、そうなった時に何を感じ、何を考え、何をするかです。
 

どちらの場合も、自分の力を存分に発揮するタイミングが違うだけで、間違いなく成長に向かっています。

失敗も成功もすべては自分の為、そして、その先には社会の為にあるものです。

XYZは“もう後がない……助けてくれ”ということではなく、世代のことでした。

ということで安心したので、今回のお勉強を終了します。


写真はいつの日か…百合が原公園で撮影したものです。

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