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77.無縁墓

少子高齢化が加速する現代の日本は、2025年問題とも呼ばれる様々な社会問題にぶち当たっているのですが、無縁墓の問題もその1つです。

現代の日本では、自分の親や先祖のお墓の管理をこのまま継続していけるのか…、自分の死後にお墓の購入や維持管理の負担で子どもや孫に迷惑をかけたくない…などの悩みを抱えている人が増えています。

無縁墓は、お墓を管理する継承者や縁故者が長い期間いないお墓のことを言います。

ふくしのおべんきょう も77項目になりましたが、本当なら77という感じの良いイメージの数字なので明るい希望に満ちた話題にしたかったのですが…お墓の話題になってしまいました。

本当なら66項目なんかでやるべきだったのかもしれません…御了承ください。

無縁墓は、お墓を継承する人と連絡が取れなくなったり、縁故者がいても管理費が支払われないことで滞納状態になってしまうなどの理由で増加傾向にあります。

その結果、社会問題化しています。

日本人も時代が変化するにつれて、家やお墓に対する価値観が変化しました。

核家族が増えている現代の日本では、若い世代を中心に、お墓を継いで家を守っていくという意識が薄れてきています。

また、お墓が高額で購入できないなどの経済的な事情や、納骨堂や樹木葬のような新しい供養方法が選択肢として増えてきたこともお墓に対する考え方の変化に繋がっていると考えられています。

そして、少子高齢化で管理者がいないという状況になっているところもあります。

以前は子どもの数が多く、お墓は長男が守っていくもの…みたいな考え方が一般的でした。

しかし、現代は少子化によって子どもの数が少なくなったので、お墓の管理をしていく継承者がいない家庭が増えています。

他にも、お墓の管理者が高齢になったことから、お墓の管理まで手が回らないケースもあります。

もし、その方が亡くなれば無縁墓になってしまう可能性が高くなります。

このような家庭環境に置かれた中高年齢層の方が、このままお墓を継承していくのは難しいと判断して墓じまいを行うケースも増加しています。

日本では高度経済成長期の頃から、人口が地方から都市へ流出する現象が起こり、そのまま移り住む人が増えたことから都市部へ人口が集中しました。

それに伴って、過疎化する地方が増加しました。

その結果、お墓の継承者がいない…又は、継承者がいたとしても遠方に住んでいてお墓参りをするのも年末年始やお盆だけとか…数年に1回しか来れないなどの理由から管理が難しいという状況の人も大勢います。

無縁墓と認められる条件としては、お墓の継承者がいないことが前提になります。

継承者がいなくなると、墓地は管理費を回収できなくなり、お墓がそのままの状態で残っていると新たに別の埋葬者を受け入れることができません。

施設によって異なりますが、一般的に3年から5年ほど管理費の滞納や連絡が取れない状態が続くと、無縁墓と疑って行政手続きを行う場合が多いようです。

しかし、お墓の解体や撤去をするにしても費用がかかるので、施設によってはお墓の縁故者を何年もかけて探しているところもあるようです。

継承者や管理を引き継ぐ縁故者がいなくなったお墓は、法的な手続きを行い、無縁墓として処理することになります。

官報に記載し、該当する墓地の見やすい場所に札を立てて1年間公告した上で、この期間に申し出がなかった場合に無縁墓と認定されます。

無縁墓と認定された場合に、墓地管理者はお墓を処分できます。

無縁墓と認定されて、強制的に撤去されたお墓の遺骨は合葬されます。

合葬は他人の遺骨と一緒に埋葬されることを言います。

遺骨は合葬されてしまうと他人の遺骨と混ざってしまうので、後から特定の遺骨だけを取り出すことはできなくなります。

気が付いたらお墓が撤去されて遺骨が合葬されていたという状況にならない為にも、お墓を放置しないことが求められます。

自分にとって大切な人たちが眠るお墓を無縁墓にしない為にも、事前に最善の対策を考える必要があります。

まず墓じまいですが、お墓を解体撤去して更地に戻し、遺骨を新しい場所で供養することです。

前述した通り、墓じまいは行政手続きを行ってからでないとできません。

現在のお墓がある市町村に改葬許可申請書を提出し、改葬許可証を発行してもらう必要があります。

改葬許可申請書は市役所などの自治体の窓口で入手可能です。

また、遺骨を移す先の使用許可証や現在のお墓の埋葬証明が手続きに必要になるので、事前に用意しておく必要があります。

伝統的な家族で引き継いでいく供養以外にも方法はあります。

たとえば永代供養ですが、これは家族や親族に代わって寺院や霊園が遺骨を管理してくれて供養もしてくれるものです。

お墓を継承していく必要がないので、身寄りがない人や跡継ぎがいない人にベストな方法かもしれません。

永代供養で金銭的に安く済むのが、合祀墓と呼ばれるお墓です。

他の人の遺骨と一緒に共同の納骨スペースに埋葬されます。

他にも無縁墓にしないようにする為に、お墓を建てなくてもいい供養方法もあります。

たとえば樹木葬や散骨が挙げられます。

樹木葬は樹木などの下に埋葬する方法で、合祀や個別に納骨するなど方法は様々です。

また、散骨は粉末状にした遺骨を海などに撒いて供養します。

現在の日本は多死社会という、とんでもない表現方法を使われることがありますが…日本人はこういうの好きですね。

ロストジェネレーションとか障害者とか後期高齢者とか…意外と無頓着な人が多いのかもしれません。

私はロストジェネレーション…失われた世代と呼ばれる一括りに分別されていますが、自分的には何も失ってないし失われたつもりもありません。

ロスジェネ…響きはかっこいいのですがね。

逆に誰かにとっての障害になっているかもしれないので、障害者が“障害の人”と言うなら、私は自分が障害者だと思っています。

でも、日本の障害者の意味は違います。

医学的に身体、知的、精神に障害があると認定されて手帳を持っているだけで、何もこの人たちは誰にとっても社会にとっても障害ではありません。

でも、これを障害者と一括りに分別して呼んでしまうと冗談でしょ?…という気持ちになります。

後期高齢者…高齢の人というのはその通りですが、後期というのはそのままの意味を考えるとなんか腑に落ちないです。

前期、中期、後期となった時にあとは終末ということですが、確かにそうかもしれませんが、国が先頭切ってつけるべきネーミングではなかったのかもしれません。

多死社会というのも、どんどん人が死ぬ社会なのは確かにそうかもしれませんが、かなり恐怖を煽る表現ですね。

変なマンガとか映画でも観過ぎたんじゃないか?…と思ってしまいます。

もう少し気の利いた表現ができないものかと…。

まぁ、それは置いておいて…。

2022年、日本の高齢者人口は1950年以降初めて減少しました。

数としては3623万人です。

ですが、高齢者の割合は全人口の29.1%で過去最高を更新しており、それは今後も増え続けます。

75歳以上の人口は初めて2000万人を超えて、総人口の10人に1人が80歳以上になりました。

仕事に就いている高齢者は19年連続で増えて912万人になり、過去最多になっています。

高齢者の就業率は25.2%で、仕事に就いている人の7人に1人が高齢者です。

これからはこれまで働き盛りとされてきた世代がどんどん減っていきます。

想定しただけでも かなりヘヴィな未来ですが…、実際は想定より楽だったというなら良いのですが、想定よりキツいなとなった時が大変です。

国民皆年金とか国民皆保険という概念をどのように維持するのか…それとも新しいシステムを築き上げるしかないのか…という段階の入り口に来ているのかもしれませんし、意外と入り口はかなり前に通り過ぎていたのかもしれません。

そんなことはわかりませんが…、そんなこれからの時代をどう生きていくのか…考えただけで全然ワクワクしません。

でも、生きていく為には乗り越えなければいけないことがあるし、誰かがやらなければいけないことに直面している人がほとんどです。

いや、生きていれば実は誰もが誰かがやらなければいけないことに直面しているはずです。

まずはひとりひとりが目の前の問題をひとつひとつ解消し、その上で社会システムが時代の変化に適応していけるように調整していくしか方法はないのかもしれません。

ほんと、ワクワクできない未来ですが、やれることを…又はやるべきことをやっていくしかないということで、“ふくしのおべんきょう 77項目”のお墓のお勉強を終了します。


写真はいつの日か…倶知安町から日本海側を撮影したものです。

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