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Folklore

現在ワールドツアー中のアーティストで私個人的に特に気になっているのは、パンテラとテイラー・スウィフトさんです。

パンテラはかなり激しいメタルバンドですが、バンドを結成したアボット兄弟(ヴィニー・ポールさんとダイムバッグ・ダレルさん)が亡くなられて時が経ちました。

再結成はないものと思われていましたが、アンスラックスのドラマーのチャーリー・ベナンテさんとオジー・オズボーンさんのバンドやプライド&グローリーなどで有名なギタリストのザック・ワイルドさんというこの上ない援護者が参加したことで、レックス・ブラウンさんとフィル・アンセルモさんがアボット兄弟に最大限のリスペクトを持って最強の布陣でツアーしています。

新作も聴きたくなってしまうような魅力的なメンバーです。

そして、テイラー・スウィフトさんです。

まだまだ全盛期が続きそうなスーパースターですが、私も夫婦揃って筋金入りのスウィフティーズです。

スウィフティーズとは、テイラー・スウィフトさんの熱狂的ファンのことです。

スウィフティーズはテイラーさんの作品を批判した人物に対して、ネット上で攻撃を仕掛けることもあるぐらい熱血的です。

2019年の話になりますが、『フォークロア』の前作に当たる作品『ラヴァー』が前週に続いて全米ビルボードチャートで1位になると予測されていたところ、トゥールが13年ぶりの新作『フィア・イノキュラム』を発表したことで1位の座から引きずり下ろしてしまいました。

その時、スウィフティーズが“トゥールって何者よ!ありえない!”…などと憤慨して総叩き状態だったことがニュースになっていて、とてもおもしろかったです。

トゥールは当時、13年もご無沙汰していたカルト的なバンドなので、若い世代が多いスウィフティーズが知らないのも当然でした。

その13年前の2006年にテイラー・スウィフトさんはカントリーシンガーとしてデビューしたので、トゥールが前作を出した時には、地球上にスウィフティーズはまだ存在していませんでした。

トゥールは1996年の2ndアルバム『アニマ』で全米2位、2001年の3rd『ラタララス』と2006年の4th『10000デイズ』で全米1位になり、13年の空白期間を経て5thアルバム『フィア・イノキュラム』でまた全米1位になった形です。

私は筋金入りのスウィフティーズではありますが、それ以上にトゥール信者なので、その時のスウィフティーズの反応には笑ってしまいました。

私は穏健派の共生型スウィフティーズです。

…と言うことで、前置きが長くなりましたが、本日の“こずや”のBGMはテイラー・スウィフトさんの2020年の名盤『フォークロア』です。

前作『ラヴァー』から1年も経たないうちに発表されました。

このアルバムは、COVID-19のパンデミック禍の中でリモートワークで制作された作品です。

プロデューサーは2015年に発表した『1989』から関係が続いているジャック・アントノフさんと、この作品から新たに参加することになったザ・ナショナルのアーロン・デスナーさんです。

特にアーロン・デスナーさんは、アルバムの16曲中11曲を共作と共同プロデュースしています。

ピアノやギターなど…ほとんどの楽器をテイラー・スウィフトさんとアーロン・デスナーさんの2人で演奏しています。

4曲目の「エグザイル」には、テイラー・スウィフトさんのリクエストとアーロン・デスナーさんの紹介によってボン・イヴェールさんが参加しています。

聴けば聴くだけ心に響くスルメ的な名曲です。

『フォークロア』は、全米ビルボードチャートでシングル(「カーディガン」)とアルバムが同じ週に初登場1位を獲得した史上初の作品になりました。

プロデューサーのアーロン・デスナーさんはリモート体制での制作に疑問を感じていたようですが、アーロンさんが送った楽曲に、テイラーさんが数時間後に完璧なボイスメモを吹き込んで送り返したことで、一気に事が進んだようです。

テイラーさんは“隔離生活の中でこの曲たちを作ってレコーディングしたけど、同時に音楽界における私のヒーロー達とコラボすることができました”と仰られています。

“今この時代を生きていると、本当に保証されたものなんてないと痛感します。
もし自分の好きなものが作り出せたら、それをすぐに世界に出すべきだと今は思います。”
…とも仰られていました。

『フォークロア』は2021年のグラミー賞で、2009年の『フィアレス』、2016年の『1989』に続いて、3度目の最優秀アルバム賞を受賞しました。

これは女性アーティストとしては初のことで、フランク・シナトラさん、スティーヴィー・ワンダーさん、そして、ポール・サイモンさんという錚々たる偉人達に並ぶ史上4人目の快挙でした。

『フォークロア』の次の作品の『エヴァーモア』も同じメンバーで作られていて、姉妹作としてこちらも素晴らしいです。

どちらもアーロン・デスナーさんのアルバムという雰囲気はなく、まぎれもなくテイラー・スウィフトさんの世界観になっています。

最近連発している過去のアルバム全作品をリメイクしているシリーズ…テイラーズ・バージョンもジャック・アントノフさんとアーロン・デスナーさんが全面参加しています。

隔離生活という…人類にとって厳しい状況だったパンデミック時代を象徴する…リモートワークという新たな手段で完成した、孤立した多くの人たちに癒しをもたらした名作です。

過去作のテイラーズ・バージョンも含めて、あぁ~ステキ♪

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