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01.人権とか尊厳とか

“人権”は人間が人間らしく生きる権利で、誰にとっても大切なものであり、 それぞれの違いを認め合う心によって守られるものであり、“人権”は難しいものではなく、誰でも心で理解して感じることができるものだと思います。
 
自分の権利を大切にすること……そして、それと同じように、他人の権利を大切にすることが人権の尊重ということになりましょうか…。
 
ここから少し、日本国憲法の話です。
 
毎年、5月3日は“憲法記念日”、11月3日が“文化の日”……国民の祝日です。
1946年11月3日に日本国憲法が公布され、1947年5月3日に施行されたのを記念して、祝日になりました。
 
日本国憲法は国のあり方を定めた基本的なルールで、“国民主権”、“平和主義”、“基本的人権の尊重”の三原則を柱としています。
 
日本国憲法の前文“国の政治のあり方を決める力は、わたしたち国民にある”の部分は、国の政治を最終的に決める権利(主権)が国民にあること、つまり国民主権 (主権在民ともいいます)の原則を示しています。
 
18歳以上の人に選挙権が与えられたり、選挙で選ばれた国民の代表が国の政治を行ったりするのは、この原則によるものです。
 
1899年に発布された大日本帝国憲法は、国の代表者である天皇が政治の実権を持つ“天皇主権”を原則としていました。
それに対して日本国憲法は、天皇を“日本国の象徴”、“日本国民統合の象徴”と定めています。
 
第9条では、戦争の放棄や、この目的を達成する為に陸軍・海軍・空軍などの戦力を持たないことを定めています。
第2次世界大戦(1939-1945)で、国内、国外のたくさんの人々を死なせたり苦しませたりしたことへの反省から、取り入れられました。

これが平和主義です。

人間が生まれながらに持っている、人間らしく生きる権利を“基本的人権”といいます。
 
第11条では、基本的人権が誰からも侵害されない永久の権利として、すべての国民に与えられることを定めています。

日本国憲法における人権の条項として代表されるのは、第13条の幸福追求権と第25条の生存権です。
 
第13条
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。
 
ここでいう“公共の福祉”なんですが、これは人権にも制約があるということで、他者との間にある権利、利益との調和であり、自由権と生存権によって人間らしい生活が保持されて、生き生きと活動する為には、社会との調和が求められるということです。
 
第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進を努めなければならない。
 
基本的人権には、
・自由権:思想・良心の自由、信教の自由、学問の自由、表現の自由、職業選択の自由など
・平等権 :差別的な扱いを受けない権利
・社会権:生存権(健康で文化的な最低限度の生活をいとなむ権利)、教育を受ける権利など
・参政権:選挙権、 被選挙権など
・請求権:裁判を受ける権利など
…といった権利が含まれています。
 
日本国憲法は日本の法で最も強い効力を持つ“最高法規”なので、日本の法律はすべて憲法に従って作られ、三原則に反する法律は認められません。
その為、裁判所には、法律・政令・条例などの法規が憲法に違反していないかを調べて、違反している場合はその法規を無効にできる権限“違憲立法審査権”が与えられています。
 
最近では、日本国憲法が書かれた時代にはなかった“新しい人権”が議論されています。
 
新しい権利には、より良い環境で暮らす“環境権”や、自分の情報を公開されない“プライバシーの権利”、自由に情報を収集したり政府に情報公開を求めたりできる“知る権利”、自分のことを自分で決められる“自己決定権”などがあります。
 
こうした新しい人権を守る方法の1つは、今の憲法のもとで新たな法律を作って対応することです。

環境権を保障する“環境影響評価法(環境アセスメント法)”やプライバシーの権利を保護する“個人情報保護法”、知る権利を守る“情報公開法”などの法律が既に制定されています。

その一方で、憲法を改正して新しい権利を明記すべき、という声もあるようですが……。
 
高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)は、高齢者の尊厳保持の為に高齢者虐待を防止するものであり、擁護者に対する支援を定めています。
 
これは幸福追求権にある、組織など集団の都合によって個人の権利が抑圧されることや不当な人権の侵害が行われることを否定することから始まっています。
 
そのような状況がある場合は、すぐに人権の回復とその原因になっている社会的、環境的な状況の改善をしなければなりません。
 
このように、憲法の理念として示された人権が、憲法のもとで定められた法律により具現化されます。
 
こうした人権はすべての人が持つものです。
 
そこで、社会福祉法関連になってくると、“個人の尊厳の保持”というのが基本理念として出てきます。
 
社会福祉法の基本的理念として、第3条に“福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、またその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない”
とあります。
 
そこから介護保険法、障害者総合支援法などが派生していきます。

個人の尊厳を保持するということは、どういうことでしょうか。

これがわかっているようで、言葉に出そうとすると非常に難しいことです。

今、私が言えるのは、その人のありのままの個性を尊重すること
です。

もっと良い答えを出せる人はたくさんいると思うので、これは流しておいてください。
 
障害の有無や年齢、国籍、性差など関係なく、みんな、“何ができるか”ではなく、“どのように生きるか”という視点が大事かなと思います。
 
老いや病気、障害、など生きるものが必ず持っている様々な“違い”を受容し合って、それぞれが自分らしい生活を作っていくことが大切になります。
 
その為には、個性や人格を尊重し合い、誰にとっても様々な選択肢がある社会の構築が必要だと考えています。
 
次に、SDGsから見た人権ですが、SDGsそのものが人権と深い繋がりがあることは、あまり認識されていないかもしれません。

SDGsの17目標、169ターゲットには“人権”という言葉はほとんど使われていないですし、唯一登場するのは、4.7の教育に関するターゲットのみです。
 
しかし、そもそもSDGs誕生の背景には、第二次大戦後の国際社会が目指してきた人権尊重の思想があります。

SDGsのそれぞれの目標を見ると、実はそのすべてが権利を謳ったものであり、人権を尊重することなしには成り立たないと考えられます。

例えば、目標1の“貧困をなくそう”は生きる権利、目標2の“飢餓をゼロに”は食べる権利、目標3の“すべての人に健康と福祉を”は健康に暮らす権利を表しています。
 
その他にも、
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてグリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊さを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
 
全てにおいて、SDGsは人々の様々な権利が保障されることを目指しています。

そして、それを“17.パートナーシップで目標を達成しよう”というところが重要です。
 
SDGsを支える思想である人権の尊重は、すべての人が身体的、精神的、社会的な不自由さや格差、差別のない状態を実現することにも繋がると考えられます。
 
更に、SDGsが目指す社会において欠かせない要素であるウェルビーイング(Well-being)の実現にも大きく関わります。
 
近年、日本でも企業のあり方や個人のワークライフバランスが見直される中、これからの時代の中心的な考え方として注目されているのがウェルビーイング(Well-being)です。

写真はいつの日か…喜茂別町から羊蹄山を撮影したものです。


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