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68.大まかな日本の社会問題

社会問題は、社会の欠陥や矛盾から生じる諸問題のことです。

労働問題、人口問題、人種問題、都市問題、農村問題、住宅問題、自然災害問題など…多岐に渡りますが、これからの日本には少子高齢化による人口減少が猛スピードで進展していることに由来する問題が山のようにあります。
 
まずは、自然……海や空から考えてみます。

海洋プラスチック問題です。

既に世界の海は、1億5000トンものプラスチックのゴミで満たされています。
 
そこに少なくても年間800万トンが新たに流入しています。

このまま対策しないでいると、2050年には海に生息する魚の総重量を上回る規模にまで増えると推測されています。
 
それらのプラスチックゴミは、時間が経過すると5ミリ以下のマイクロプラスチックになって飲料水や食塩などに含まれている可能性が指摘されています。

また、魚などの海洋生物に取り込まれて最終的には人間が摂取しているということです。

人は1週間に平均クレジットカード1枚分(約5g)のプラスチックを摂取しているという衝撃的な話もあります。
 
日本はプラスチック廃棄量の国別比較では、1人あたりの廃棄量がアメリカに次いで2番目に多いとのことです。

また、香港、アメリカに次いで世界で3番目の廃プラスチック輸出大国になっていて、国際的に見ても残念な状況になっています。
 
そして、大規模自然災害の問題もあります。

自然災害は、危機的な自然現象によって人命や人間の社会的活動に被害が生じる現象です。
 
法令上は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生じる被害と定義されています。

現在よくニュースなどで恐れられているのは、首都直下型地震や東南海トラフ地震、富士山噴火あたりでしょうか。

実際に起きると、国の運営が麻痺するぐらいの甚大な被害になると考えられます。

また、21世紀に入ってからは毎年のように風水害による被害が続発しています。
 
気温もどんどん上昇して…その結果、海水温も上昇し、海産物の食事事情も地域ごとに変わってきています。

海産物に限らず、地域ごとに収穫できる作物がどんどん変わってきています。

このように、地球温暖化による問題や災害が多発しています。
 
次にフードロス問題です。

まだ食べられる食品なのに捨てられてしまう食品をフードロスと呼びます。
 
全世界で生産されている食料は年間40億トンと言われていますが、そのうちの13億トンが捨てられています。

日本では毎年500~600万トンのフードロスが発生している状況です。
 
災害や新型コロナウイルス感染症や鳥インフルエンザなどの問題も、結局はこれまでの人類の文明の発展による地球環境破壊が要因にあると考えると、因果応報…仕方ないかとも思いますが、その中でも、生きるからにはできる限り幸福に生きたいと考えるのが人間です。
 
地球に感謝しながら自然と共存しながら生きていかないといけないとつくづく思います。

だから、SDGsの普及もまた大切なこととなります。
 
次に、日本に住む人の生活について見てみます。
 
無縁社会は、人間関係が希薄になっている状況を言います。

退職して会社組織などとの繋がりがなくなってしまうことや、家族や地域との繋がりも希薄であるといった理由で孤立し…最後は孤独死してしまう人が年間32000人もいるとのことです。
 
近年、身元不明の自殺と見られる死者や行き倒れ死などの、国の統計には反映されない死者が急増しています。

第二次世界大戦後、復興するにつれて自由を求めた日本人が高度経済成長期の人材需要に併せて、大都市に移動した結果、このような状況になったと考えられています。
 
自殺についてですが、死亡者総数に対する死亡原因別の順位としては10位以下になっていますが、若者の死因で1位になっているのが自殺です。

ちなみに、死亡原因の1位は悪性新生物(癌)、2位が心疾患、3位が老衰、ずっと3位だった脳血管疾患が4位です。

自殺の原因や動機としては、健康の悩み、経済・生活面の悩み、家族関係の悩み、仕事関係の悩み、男女関係の悩み…が多くなっています。

1位は心身の健康問題で具体的にはうつ病などの精神疾患などが原因として多くなっています。

2位は生活苦、借金などの問題です。
 
生活保護を受けている人の自殺率は受けていない人の2倍です。
 
生活保護繋がりの話題として、老後破産の問題もあります。

生活保護水準以下の収入にも関わらず、生活保護を受けていない状態の高齢者の状況を老後破産と呼びます。

独居老人の約3分の1以上の人たちが老後破産の状態で生活していると推測されています。

現役時代にはしっかり働いて貯蓄を蓄えていたにも関わらず、老後に本人や家族が身体を壊して多額の医療費がかかった等の理由で資金が枯渇してしまうなど…様々な原因が考えられます。
 
高齢者に限らず現役バリバリに仕事していても生活保護の水準すら満たされないほどの収入しか得られない…働く貧困層もいます。
 
ワーキングプアです。

私も介護の仕事をしていた頃…特に最初の5年間はそのような状況になることが多かったです。

恥ずかしいと感じることもなく何かの役には立てているはずなのに、社会には認めてもらえていないのだな…と虚しさを感じつつ、生きることに精一杯でした。
 
ワーキングプアは1日8時間のフルタイムで働いているにも関わらず、生活を維持するのに、ギリギリか生活するのに困難な収入の人を指します。

サービス残業もたっぷりしての話です。
 
日本では年間で200万円以下と定義づけられることが多いですが、非正規雇用が年間200万円以下、正社員の場合は年間300万円以下と考えられることもあるようです。
 
ここまで貧困問題に触れてきたので、最後に母子…父子家庭について考えてみます。

離婚や死別、未婚などによって母親だけで子どもを育てている家庭を母子家庭と言い、母子家庭の母親をシングルマザーと言います。

父親だけの場合は父子家庭、シングルファーザーとなります。

全国の母子家庭は123.3万世帯、父子家庭は18.7万世帯となっています。

ひとり親世帯の平均年間収入は、父子家庭は420万円、母子家庭は243万円となっています。

ひとり親の就業状況はシングルファーザーの場合は85.4%が正規で雇われているのに対して、シングルマザーの場合は44.2%しか正規職員として働いていません。
 
同じくらいの43.8%がパートやアルバイトで生計を立てています。
 
ここで問題なのが、男女格差です。

ジェンダー不平等と呼ばれています。
 
社会的・文化的な性差のことで、日本では未だに“男性だからこうすべき、女性だからこうすべき”というような社会からのレッテルが根強く残っています。
 
ジェンダー不平等が起こる原因は様々だと思いますが、伝統的な風習や文化、宗教上の理由、生物学上の役割の違いなどが挙げられます。
 
その他の社会問題として、インフラ(社会資本)の老朽化問題もあります。

日本のインフラ(道路・橋・トンネル・上下水道・公共施設などの社会資本)は1960年から70年代の高度経済成長期に集中的に整備されたので、建設後50年以上経過して老朽化しており、維持管理や更新が必要になるインフラが一斉に増えています。
 
今後、少子高齢化による人口減少により、もっともっと大変なことになると推測されます。

こうした老朽化したインフラは、地震などをきっかけとして使用停止になる事例が多発しています。
 
今後50年間で総額450兆円…年額9兆円と試算されていますが、財政不足の国や地方自治体では予算がないことから実態調査すらできずに、老朽化を放置せざるを得ない状況に既に陥っています。
 
次に、空き家問題です。

所有者である高齢者が老人ホームに入居する、又は子ども宅に転居したりなどして誰も住んでいない状態の家(空き家)が増えています。

2025年には2000万戸以上にまで拡大することが予想され、その後もっと増えていくと考えられます。
 
そして、耕作放棄地問題です。

以前は作物などを栽培していたにも関わらず、放置された農地のことを耕作放棄地と言います。

以前に耕作していた土地で過去1年以上作物を栽培せず、この数年の間に再び栽培する意思のない土地のことです。
 
耕作放棄地は日本のどの地域でも増え続けているのが現状で、理由としては農業を行う人が少なくなっていることや、農地を相続した人が農業をしないで放置していること、土地の値上がりへの期待から手放さずに放置している人が増えていること…といったことが挙げられます。
 
高齢者の一人暮らしの増加も長い目で見ると、大きな社会問題になります。

2025年には750万人に達すると予測されています。

独居老人が増えている理由としては、様々な理由で頼れる人がいない、慣れ親しんだ場所から離れたくない…等といった状況の高齢者が多くなっていることが挙げられます。
 
次に買い物難民の問題です。

買い物弱者とも呼ばれますが、様々な理由によって食料や生活に必要な物を買えなくなった人のことです。

物だけではなく、郵便局や病院、役所などでの手続きなど料金を支払って受けられるサービスを受けられなくなることも含まれています。

買い物や生活に関するサービスを受けられないということは、人命に関わる問題でもあり、全国に700万人以上いると推計されています。

買い物難民は農村や山間部にある小さな集落だけに限らず、地方の都市をはじめ、団地などが多いベッドタウンや大都市にも存在します。

買い物難民が生まれてしまう原因としては、スーパーやコンビニの廃業や各商店や商店街の衰退、山間部での公共交通機関の衰退やガソリンスタンドの減少、住民の高齢化といったことが挙げられます。
 
限界集落の問題もあります。

限界集落は、高齢化や移住する人がいないことから集落の人口が減り、地域社会としての機能が衰えて限界に達している集落のことで、具体的には65歳以上の人口が50%以上を占めている状態と定義づけられています。

限界集落は全国で15000箇所以上あると言われています。

元々規模の小さな集落、山間部に位置する集落、役場から10キロ以上離れているといった共通の特徴があります。
 
消滅可能性都市は少子化や人口移動に歯止めがかからず、消滅する可能性がある896自治体を指します。

全国の市区町村の半数近くが、消滅可能性があるという恐ろしい数字です。
 
中でも人口が1万人を割る523市町村は消滅する可能性が高い自治体と位置づけられました。

青森、岩手、秋田、山形、島根の5県では、8割以上の市町村に消滅可能性があると指摘されていますが、そうした地方だけではなく、東京都内や大阪府内にもあるので大都市の人口集中地域も含まれています。

もちろん、北海道も多数あります。

2025年を境に、ますます勢いを加速して進んでいく社会問題です。


写真はいつの日か…円山公園で撮影したものです。

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