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47.狭まる稼働時間

店の売上は“客数×客単価”。客数は席数・回転率・営業時間で決まるが、殆ど多くのお客様は飲食したい時間が一緒なので、営業時間を長くしているからと言って、それに比例して客数が増えるとは限らない。今や働き方改革で、夜の遅い時間帯の客数(所謂、2回転目)が減少し、苦戦している飲食店は数多い。

それを埋めるべく、テイクアウトを考えるのは自然だが、あなたの商品は“冷めても”価値や魅力のある商品としてお客様に評価してもらえるだろうか?「ある!」と言うなら心配無用。積極的に認知させる活動をすればいいだけ。しかし、「ない」と言うなら、無理にやって長時間労働になったり、容器や包材のコストを掛けたり、割に合わない結果となるので止めたほうがいい。

テイクアウト売り上げが見込めるのは、店にブランド力があるか、競合店より安いかボリュームが多いか、という事になる。そもそも、来店客に困っている店がテイクアウトを始めて成功する訳がない。テイクアウトを考える暇があれば、店そのものの事を考える方が賢明である。

稼働時間が狭まる環境下、考えるべきは2つ。一つは卓(テーブル)数と席数の関係の見直し。“満卓率”と“満席率”の乖離が大きくないかどうか?例えば、4名席が2卓あり、それぞれのテーブルに2名座っていれば、100%の満卓率であるが、50%の満席率と言える。よって、2名1卓を基本としたテーブルに変更し、4名の場合は2卓を組み合わせる、と言った具合に、“満席率”を高める事

もう一つは“客単価”を高める事。商品単価を上げる事が最たる手段だが、その際の考え方は、単価だけ上げずに原価率も上げて単価も上げるという事。例えば、以前は単価600円で原価率30%の商品を、売価を1.5倍の900円にするなら、原価率も1.5倍の45%とする。この結果、以前は粗利益額420円だったのが改定後495円と約1.2倍の増加にしかならないが、この考え方でも単価を上げるというリスクは高い。

本来、「“値下げ”は出来ても“値上げ”は出来ない」というのが定説である。よって、単価アップはとても難しくハイリスクであるという事を充分に心得ていて欲しい。その上で単価を上げる際は、原価率の増加=使用する食材のグレードアップは勿論、使用する食器や見直しの変更を行い、更に接客面で提供方法の演出も変更を行い、「46.キーワードはリーズナブル」でお伝えした通り、お客様が“妥当的”、“納得いく”評価になる値上げをしなければ、一時的に客単価は上がっても「単に高い店」と言われ、じわじわと客足は離れ最後には閉店となる。

お伝えしたいことは、定説を覆す方法を以てしてでも取り組まねばならない程、飲食店経営の環境は困難を極めているという事。十数年やって来た人でさえも生き残れるかどうかの難局である。


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