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変わる20代の”ビールを飲む動機”。クラフトビールがなぜ若者の心を掴むのか?〈ビール専門家佐藤翔平さんが解説〉

”若者のビール離れ”が叫ばれる昨今。

そんな中でも、順調に市場を拡大している「例外的存在」がクラフトビールです。

実は過去にも日本ではクラフトビール流行した時代がありました。

最初は1994年の規制緩和をきっかけとした1990年代半ばに起きた第一次地ビールブーム。他業種や第3セクターからの参入が多く、主に海外からブルワーを呼び、全国各地のビール業者が醸造技術を学んだものの、技術が未成熟でブームは下火になってしまいました。

それから15年ーー。

醸造業界内で技術ある人材が育ち、2011年頃からの「ちょっといいもの」を楽しむ”プレミアム志向”の市場が拡大し始めます。品質・鮮度管理の良いアメリカを中心とした海外ビールの輸入も後押しし、「クラフトビール」という言葉が使われ始めます。

こうして起きたのが第二次クラフトビールブームだったのです。 

そして今、自宅で過ごす人が増えた結果、再びクラフトビール市場が盛り上がりを見せています。

ただし、そこにはかつての”プレミアム志向”だけでは説明できない若者のクラフトビールを買う動機が隠れていたのです。

「クラフトビールの種類の豊富さも含めて、今日本では急激に!クラフトビール市場が拡大している」と解説するビアジャーナリストの佐藤翔平さんが、「お酒を飲まない時代に若者がクラフトビールを飲む理由」を解説してくれました。

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フードペアリング インストラクター 佐藤翔平さん
「酸っぱいビール」に衝撃を受け、4000種以上のビールをティスティング。10以上の酒類関連資格と調理経験を活かし、フードペアリングに関する執筆や「ビアジャーナリストアカデミー」「アカデミー・デュ・ヴァン」等のセミナー講師を務める。
日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として国際ビアコンペでの審査も行う。

選ばれるのは、苦味以上に"ジューシー!?"トロピカルジュース的に進化したクラフトビールの凄さ

「現在、クラフトビール先進国のアメリカで流行ったものが日本の市場でも見られるようになる”法則”が生まれています。特に日本で流行っているビールの一つにヘイジーIPAというものがあります」

「これは、その見た目も含めてトロピカルジュースのようなビールで、一般的なビールにはない甘やかさやジューシーさを持つのが特徴です」

「一口で言えば、2020年代に支持を集めているクラフトビールは、”ビールっぽくないビール”というのがキーワードです。いわゆる居酒屋で乾杯するようなラガービール好きとは違った層にもクラフトビールのファンが急増しているのです」

「また、パッケージのデザイン性が高いことも流行の後押しになっています」

いわゆる”ジャケ買い”が無視できないレベルで若者がクラフトビールを買う強い動機となっているのです。

ここからは、佐藤さんにその一例をご紹介いただきました。

◆アタタタタァ!忍者チョップのように弾ける美味しさRevision Disco Ninja

「缶を見てください。ディスコで踊るダンサーの姿が描かれています。こうした個性的なデザインが増えている中でも、Revision Brewingは特に人気が高いです」

◆動的なカタログ。SNS映えは業界トップ うちゅうブルーイング

「見た目が美しい、SNSに思わずマネして投稿したくなる写真が特徴のうちゅうブルーイング。その人気から生産が追い付かず、商品がオンラインショップで掲示されてから1分もしないうちに完売してしまいます」

◆ビールに見えないラベル部門1位。注いでも味わいの個性が際立つ West Coast Brewing

「ビールに紫色を組み合わせるケースはなかったのではないでしょうか。こうしたアート的なラベルとロゴは、”うまそう”という感情を惹起するよりも、むしろ部屋に飾っておきたい、写真を撮りたいというまさにアートを眺める気分にもさせるようです」

◆動物ラベルが多いクラフトビール業界。集めても楽しい”猫” ねこぱんち

「クラフトビールのパッケージには、動物がモチーフのものも多いんです。犬や猿、やぎ、魚類や鳥類、、、猫のキャラクターを使っている商品も目立ちますね。Craft Beer Company「ねこぱんち」は「しろねこぱんち」などシリーズ化されていて面白いです」

◆猫シリーズ二発目。溺愛なんです ねこにひき

「なんと自分たちの飼いネコをラベルに乗せちゃいました!猫好きオーナーのコラボビールです」

20代の若者はどこでクラフトビールを買うのか?

「よく、若者はどこでクラフトビールを買うんですか?と聞かれます。特に最近はコンビニが熱いです。「よなよなエール」や「僕ビール君ビール」をはじめとしたヤッホーブルーイングの商品、「銀河高原ビール」ブランドなど日常的にクラフトビールが目に入るようになりました。」

「他にも大手ビールメーカーの作る様々なテイストの商品や、「常陸野ネストビール」「COEDOビール」ブランドを代表とした日常的にクラフトビールに触れる機会が増えたことで、その良さに気づく人が増えたのです」

その後、クラフトビールを知ったファン層が、SNSに写真を投稿。ここから市場の急激な拡大をさらに後押ししているのです。

「ビジュアルにも注目なクラフトビールは、現代の若者の消費行動と相性がよいのです。おしゃれなカフェでアフタヌーンティーを食べてSNSに写真をアップするように、クラフトビールも”優秀な被写体”として20代の若者に消費されるようになったのです」

Instagramでは、クラフトビールだけを投稿するアカウントも少なくないとか。

「意外なところでは、Facebookにクラフトビール好きのグループがあり、そこはほぼ毎日飲んだビールを投稿されており、情報交換したいクラフトビール好きが集まって盛り上がっています」

「こうした人たちのことはビアギーク(クラフトビール好きが自身や仲間を指す時に使う呼称)と呼ばれ、#クラフトビール好きと繋がりたい、#ビールで明日を幸せに、#ビアスタグラムといったハッシュタグで検索すれば見つけることができます」

味わいを含めた高いデザイン性とSNSとの相性のよさ、そしてオンラインコミュニティの形成が昨今の若者のクラフトビールブームを生んだようです。

「自宅でSNS映えして、オンラインで好きな仲間とつながれるクラフトビールは、”おうち時間”が長引く時代にも強烈に若者の消費活動を牽引していく存在になるでしょう」



2021年7月5日追記:沢山の方々にご覧いただきありがとうございます。
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