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生き残れる働き方は2パターン

編集者は、ライターさん、カメラマンさん、スタリストさん、ヘアメイクさん、デザイナーさんなど、フリーの方々とよく仕事をする。20年以上やってきたが、「仕事をお願いし続けている」方は、かなり少ない。例えば家庭の事情とか就職したとか、先方の都合もあるが、「うーん」と思うと、こちらからフェードアウトする。

昔、締め切りに遅れる癖が治らない人に対し、「あーーーー” もうっ!」と編集部で切れてたら、上司から「いいじゃん切れば」とあっさり言われた。「え”」と思ったものだが、考えてみたら赤の他人なんだし、そこでストレスためる時間がもったいない「縁がなかった」ってことで。

そんななか、長くお願いし続けている方々には、大きく2つの特徴がある(どちらもアラフィフ女性)。

1)圧倒的専門知識を持っているAさん

2)オールジャンルで何でも引き受けるBさん

Aさんは、編集者からライターになった方で、あるジャンルに圧倒的な知識がある。海外の映像を自分で入手したり、文献を読んだり、あれだけ仕事してるのに、勉強量が半端ない。当然、仕事にとても厳しく、こちらもある程度準備をしてから依頼をする。厳しさが度を越して、1度、締め切りの夜になっても原稿が来なかった際、「あのご原稿は…?」とメールしたところ、「いつも締め切り日中か翌朝には送ってますよね? そんなに信頼ないんですか⁉」と怒られて、呆然としたこともあるが、まぁそれもご愛敬、と思えるほど、彼女は「ここぞというときに仕事を頼みたい」方だ。

一方のBさん。学生時代に映画好きからそのままライターになったという方。明るく気さくで雑談はとても楽しいが、正直、知識はAさんに劣るし、締め切りも遅れることが多い。本文、キャプションともという依頼に対し、間に合わなくて本文しか送ってこないとか。それが全く直らない。

だが、ついついお願いしてしまうのが、「新しいジャンルも厭わない」方だからだ。「どうでしょうね…?」と聞くと、必ず「とりあえずやってみます、やってみたい」と返ってくる。

キャリアを重ねると、「ちょっとそれは、自分のカバー範囲と違う」というライターさんも当然いらっしゃる。それは正しい。失敗したら次は頼まないし、となるだろうから。でもまぁ、「どうでしょうね…?」と聞くときは、編集者も困ってる(苦笑)そこで「やる」と言ってもらえるのは、本当にありがたい

ちなみに、Aさんは、その専門性の高さから、執筆媒体の幅を広げ、テレビやラジオ、イベントにも引っ張りだことなった。だが今も、本人が「やります」とおっしゃった仕事の完成度は、本当に素晴らしい。

Bさんは、そういう派手さはないけれど、雑誌媒体が潰れていくなか、映画(洋画・邦画)から、韓流をはじめとするアジアドラマ、配信全般にまで進出。仕事が切れるとメールをくださるが、最近メールが来ないということは、このご時世にもかかわらず、忙しくしているのだろう。

かつてBさんが、ボソッとつぶやいたことがある。

「だてにフリーで30年やってない」

さて今、「あたしどうよ?」と思う年齢になって、その言葉を思い出すと、身が引きしまる。


#編集者 #仕事 #生き残る

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