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DVDより

 刑事部と記者クラブの板挟み
警察広報部記者室

それは普段どこでも起こるうる交通事故
 加害者は妊婦で
被害者は高齢の男性

刑事部から異動で広報部記者室の室長となった三上義信は刑事部に毎日通い事件、事故の情報収集に当たりながら記者クラブ全十二社への対応に日々忙殺されていた

今回の交通事故の加害者の実名、年齢はおろか住所さえ匿名で通せとの上層部からの指示

記者クラブは加害者が妊婦というだけで公表できないのは、おかしいと納得せず広報部に押しかけ、これでは記事が書けないせめて実名、年齢だけでも公表すべきだと唾を飛ばして抗議する
 三上の机の引き出しの中には実名、住所、年齢などが書かれたコピーが入っている
三上も情報公開には積極的に取り組みたいと望んでおり刑事部になぜ公表出来ないのかと説得に向かうが刑事部の入口には若手刑事が陣取り、扉までたどり着けず押し倒される始末

 三上自身、娘が家出していて音信不通の現状
娘は近頃、私生活が荒れていてお父さんに似た顔が大嫌いとその日整形したいと両親に直訴した
その際三上が顔を殴ってしまった
結局、それが決定的となり家を飛び出して行った

妻は家に籠るようになり一日中電話の子機を常に家中持ち歩いている
無言電話がたまにある
いつか娘が連絡してくると信じている
三上も刑事部の上層部に捜査のお願いしており
娘の特徴など写真などではあるが伝えてある
万が一のため隣接する県から変死体が上がったと連絡があれば妻の美那子と確認に訪れる
例えその遺体が娘でなくてもとても残酷な出来事だ

娘ではなかった
新幹線の中で美那子は三上の肩に寄りかかり心身をすり減らしギリギリの状態で帰宅の途についた

このDVDのタイトルは64(ロクヨン)
三上は刑事部時代
昭和64年に起こった
翔子ちゃん誘拐殺人事件の捜査にあたり身代金2000万円を運ぶ車両を追尾していた
しかし、結果として身代金は奪われ、翔子ちゃんは遺体となって発見された
未だ未解決事件である
 三上は遺族の悔し悲しみ、力を落とした姿を目の当たりにし、広報部に移った今でもロクヨンはまだ終わっていないと心に決めている

だから情報の公開には積極的に取り組む姿勢で広報の室長となったが
三上自身の娘のこともあり、刑事部に強くあたれない

上からは逆に娘さんの情報をもっと歯型や治療痕なども公開せよと言いよられてしまう
確かに上層部の指示で全国の警察に情報は提供されるが
不確かな遺体の確認に行くことでどれだけ妻の美那子が体力を奪われるかが分かっているから
そこまでの情報提供に至っていない
そんなとき警視庁長官視察の連絡が入る
長官視察の目的はロクヨン遺族に会うことだと
指示で遺族に了解を得るために家を訪れるが何度行っても断られる
三上ですら家に上げてもらえない状況だった
犯人は必ず逮捕します
それしか今は言えなかった
しかし逮捕への強い気持ちに嘘はなかった
 

翔子ちゃん誘拐事件当時、自宅で逆探知に当たった若い警官が機器の操作を誤り犯人から二度の電話うち一度が電話の際、逆探知機が作動しなかった
操作ミスだった焦った、間に合わなかった
若い警官は落ち込み先輩警官に肩に手を当てられていた
班長の現場入り前の出来事
その事は班長に報告し揉み消された

翔子ちゃんは殺され身代金は奪われてしまい犯人も捕まらなかった

若い警官は警察を辞め自宅にそれ以来引きこもっていることを当時の捜査関係者から三上は聞き
何とか話がしたいと家に通うが母親も精神的に参っていて半狂乱状態で対応するさまである

そして第二の翔子ちゃん誘拐事件が起こった!
身代金の額も同じ受け渡し場所へのルートも同じ

身代金輸送車の追尾に特殊車両を使いGPS、各車両、刑事部との情報を共有と同時に記者クラブへの対応も行われている
全て情報は公開するとの取り決めを行ったのである
記者クラブを全くの敵にまわしてはメディアに広がらない

刑事部では記者会見場が設けられ
全く畑違いの捜査二課長が15分おきに入ってくる情報で記者クラブの質問に答えることになった
記者の質問の分からないところがあれば刑事部と記者会見場を階段で何往復もする
息も上がり、喉もカラカラ
へとへとになりながら状況を話す
捜査二課長も体力的に限界にきている
脂汗で顔はひかり、ネクタイは解けかけている
机に体を任せマイクを握りしめ、今にも倒れそうな息遣いで会見に臨む
しかし、記者クラブの質問に容赦ない………

三上の娘は帰ってくるのか…
犯人は同一犯なのか…

下手くそな文章を読んでくださり感謝してます


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