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言葉に波乗り 七緒栞菜

 話を聞いているとき、言葉が身体を駆け巡る。駆け巡るというより、走ったり、止まったり、スキップしたりする。相手から放たれた言葉たちが、それぞれの動きをしながら私の中に留まる。それぞれの言葉の動きに寄り添うように私が言葉を紡げば、淀みなく話せるのだろう。でも、今の私は、言葉たちの予測できない様々な動きに困惑しながらその場に立ちすくんでいるような感じだ。言葉の動きに身を任せるのではなく、言葉を待ち構えて全部受け止めようとして結局どれも受け取れずにおろおろしてしまうような感じ。

 人と話すときにものすごく緊張するのはいつからだろう。何がきっかけで、こんなにも人と話すのにはらはらするようになってしまったのだろう。

 会話のままでいい話を、無理に対話にしようとするようになってからかもしれない。

 会話は反応である。相手の話に相づちを打ったり、聞かれたことに対して素直に答えたりすればいい。それなのに、話をすべて受け止めた上でそのときに考えた頭の中を無理に言語化して話そうとする自分がいる。なぜか対話にしようとする。さらっと話せばいいものを、私自身が難しくしている。口ごもり、結局何を話したかったのかもわからなくなることさえある。
 
 相手の言葉に波乗りするように話せるようになりたい。さまざまな形の波にたじろぐのではなく、言葉の波を捕まえてすいすいと風を切りたい。
 


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