デートで着た服すら思い出せないかもしれない 秋豆絹
就活によるストレスで脳を破壊されて以来、記憶力が壊滅的に悪くなった。
どのくらい悪いかというと、昼に家族から提供された話題を、その後外出した先で聞いた話だと思って、帰宅後、家族に土産話として提供し返すくらいだ。
そんな調子なので、記憶力にまつわる悩み事はいくつかあるのだが、最近新しい角度の悩みが現れた。
「前にこの人とご飯に行ったとき、自分どの服着てたっけ…?」である。
まず前提として、私は月3.4回は友人とご飯に行く。そのため、同じ友人と短いスパンで会うこともある。
また、その日のコーディネートを決めるにあたり、この人と会うならこういう雰囲気の服を着たいな、というちょっとしたこだわりがある。1回目は一番雰囲気の合うこの服で、2回目はちょっとギャップを持たせて…など、自分なりに戦略性を持って服を選んでいるのだ。
ここに著しく低下した記憶力が掛け合わさると、同じ友人を前にして、毎回同じ服を着てくる人間が生成される。
これが恐ろしいのが、コーディネートを考えている最中は、私の中のラブとベリーが「バッチリ完ペキ♪」と太鼓判を押しており、いざその服で待ち合わせ場所の前まで来ると、なんか前もこんな感じで待ち合わせしたような…と思い始めるのだ。
取り返しのつかないところでやんわり仕事をしだすポンコツ海馬。おかげで気恥ずかしさと軽い自己嫌悪でクラクラしながら相手を待つことになる。
今度2ヶ月ぶりに会う友人がいるが、既に前回自分が何の服を着ていたか覚えていない。
現在の対抗策としては「相手がどんな服を着ていたかも曖昧だし、向こうもきっと私の服など記憶にないだろう」と念じることである。
何の解決にもならないが、策を講じにくい困りごとは、鷹揚な心で飼い慣らすしかない。
たとえ各方面で「服のレパートリーが異様に少ないorマイメロの頭巾かの如く同じ服を大量に所持している異様な人間」だと思われていたとしても、だ。
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