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バイキング 山中りんたそ

 先日、何気なくテレビを見ていたら、芸能人がバイキング形式で料理を皿に盛り付けていき、その盛り付け方の美しさや取り方の所作を評価するという番組が目にとまった。カレー、唐揚げ、天ぷら、ラーメン、サラダ、寿司、麻婆豆腐・・・。参加している芸能人が、自分が食べたい料理を自由に取っていき、美味しそうに頬張る姿を見て強烈な空腹を覚えた。

「我もその仲間に入れてくれたし。」

やりたいとなったら止まらない性格の我である。もともと、少年悟空が初めて天下一武道会に参加した夜のような、庭師の家で眠りから醒めたカリ城のルパンのような、ドーラとその仲間たちのような食事の取り方に憧れを抱いていた。そこで、さっそく次の日、平日にも関わらず近所のバイキングを訪れた。

近所のバイキングは価格は良心的であったが、味は素晴らしかった。我は迷いなく食べたいものを次から次へと皿に補充していった。以下その品々である。

唐揚げ×6・ポテト・カレー・鳥の天ぷら×3・チャーハン・マルゲリータ×2・サラダ・ヤンニョムチキン×3・豚汁・たこやき×3・豚キムチ・キムチ・クレープ・チュロス・ガトーショコラ×2・コーヒーゼリー

食べた。実に食べた。夢叶ったりである。しかし問題が発生した。食べすぎて動けなくなってしまったのである。食事を完了させてから店で30分。蛍の光に追い出されて駐車場で15分。気合で車を出して帰宅するも降車アクションが取れず車中に40分。その間、言語を発することはできず、ペンギンの赤ちゃんのような歩き方しかできなくなってしまった。

動けない間、反省も込めてここまで食べすぎてしまった理由を考えた。結論、脳のアップデート不足。バイキングにおける料理を取る過程を点検したところ、量を認識するのは主に視覚である(当然だ)。そして、視覚情報をもとに食べ切れる量かどうか判断するのが脳の役割である(当然だ)。ところが、その脳が高校生の頃を最後にアップデートされていなかったのである(それもそのはず、バイキングなど高校生以来であった)。そのため、当時の情報をもとに脳が判断を下した結果、上記の品々を簡単に完食できるとなった次第である。

愚かなり我の脳みそ。お前の判断は不適当であったのだ。やーいやーい。

しかし、これは実に示唆深い(?)。バイキング以外にも、脳のアップデートを怠っている分野はたくさんある。昔の歌手のほうがよくて、最近の歌手はイマイチパッとしないと感じてしまうこの心はアップデート不足。男女の出会いはリアルがいいなと思う心もアップデート不足によるものだろう。今の社会に取り残されないよう、自分を見つめ直していく必要がありそうだ。

そこで我はこの度、大型アップデートに入ろうと思う。10時間くらいのアップデートなのでその間、他の操作はできません。それでは、おやすみなさい。


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