秋の空と冬の冷たさ

朝、目覚ましが鳴る少し前に目が覚める。

少し経ってから登録してある音楽が
大音量で鳴り響いて起き上がった。

毎朝のことなのに、
これだけはいつも忘れてしまって
なかなか慣れない。

昨日の夜洗っておいた食器が乾いていたので
元の場所に戻す。

その間に沸かしておいた水が湯気を出し、
カチッという音で知らせてくれる。

まだ冷め切らないままそれを口にすると、
2秒後、舌が痺れた。
これは1日続く痺れだなと
またも忘れていた猫舌を思い出した。

家を出ると、陽の光が大きい雲に当たって
ところどころオレンジ色に色付いていた。
空の青とその色付いた雲は
1日の始まりを明るいものにしてくれた。

駅までの道では、
緑色から黄色に変わった木々が秋の風に揺られ
たまにその葉を足元に落としている。
綺麗に隅に寄せられたその枯葉たちを踏んでみると
ザッザッという音が鳴り
小さい頃に戻ったような気持ちになる。

12月に入り、年の瀬に向かって歩き出した私にも
空を見上げたり下に集められた枯葉を見て
心が躍るような余裕がまだあるのだと安心した。

気付いたらカメラロールは
スクリーンショットでいっぱいになっていて
あの頃よりもずっと無機質なものに
変わってしまっていた。

その寂しげなカメラロールを、
今朝見た風景たちで埋めて
もう必要のなくなったものたちは消した。

今月はきっと、
たくさんの幸せで埋められるであろうその中を
少しでも多く空けておきたかった。

毎日が同じように過ぎていくことに
嫌気をさす日々だけど
見方次第で過ごし方次第で
きっと変わっていくものがあるよね。

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