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もう仕事辞めるのに、今更楽しいなんて思わせないでくれよ

とても大好きな会社で、辞める啖呵を切ってきた①【HSP退職】|紅葉 (note.com)

上記の記事でも書かせてもらったのだが、会社に8月末で退職することを告げている。

申告から退職まで約2か月間。シフトの問題や、売上の低下。伴う原価率、人件費の上昇。崩壊へ緩やかに進む店舗をなんとか立て直すために奮闘する毎日。


毎週のシフトを見ても、アルバイトから不満をこぼされても、店長会議で数字を指摘されても、ストレスはもちろん溜まる。でも2か月間という決まった期限が、「あと少しで解放される」と緩和してくれる。

だからこの2か月間はずっと陰鬱な気持でも良いと思ったし、それはなんというか僕に最後に残された使命であり、仕事を最後までやり切れぬ罰のようなものだと覚悟していた。
していた。の、だが。


「店長は、良い上司ってやつですね」

アルバイトスタッフである高校2年生の女の子に言われた。驚いたので理由を聞いてみると、「だって怒らないし、優しいです。あとめっちゃ褒めてくれるし、やる気が出ます。」
笑顔で答えてくれた。


違うんだよ。僕は、それが出来ないから辞めるんだよ。


間違ってることをちゃんと指摘できなくて、嫌な顔されるのが怖くて、褒めるしか能がなくて。

だからクセが強くなってきてどうすることも出来なくなったアルバイトを何人も切ってきたし、上司にもちゃんと注意してますって嘘ついて。器じゃないんだよ。人の上に立つような。


アルバイトのことは全員好きなんだけど、それを束ねたり、責任を負うことにもう無理になってしまったんだ。


今日だって、店長会議で一言も発言できなくて。人の多さと空気に疲れ切って。あの場では大丈夫を装ってるけど帰ってきてベッドに倒れこんで4時間も寝てた。アラームにも気付けなくて。



「えーめっちゃ嬉しいんだけど!ありがとね!○○ちゃんの頑張る姿、もっと見たいからこれからもよろしくね!」


心にある負の感情を1ミリも出さないで笑顔で答える。
何年もやってきて、僕は本当にこれが上手だなと改めて思う。


「はい!あ、店長!来週の土日は祭りでシフト足りないですよね?私、土曜日祭り行くので日曜日出ますよ!」

「店長と△△さん(部下)、祭り行けないでしょうから、土曜日に何か屋台で買ってきます!何がいいですか??たこ焼きですか?りんご飴とか??」


ごめんね。その祭りのすぐ後に発表するんだけど、もうすぐ店長は辞めちゃうんだ。


君はどう思うのかな。いや君だけじゃない。この店で頑張ってくれてる君たちはどう思うのかな。


逃げるんだって思うのかな。嫌ですって思うのかな。やっと頼りがいのある店長が来てくれるって思うのかな。


今まで笑顔で楽しそうにやってたのになんでって思うのかな。
一人でも、それくらい大変な役職なんだって思ってくれるかな。なんて。


最近、営業を楽しいと思う日が増えるほど、夜は考えてしまう。


こんなに良い子達だとて、一緒に仕事が出来ないのかと。自分はなんて社会に不適合なんだと。やはりお店に行くのはまだ嫌だし、疲れてしまう。


だから仕事が楽しいなんて思わせないでくれよって最近は思ってしまう。
楽しいと思えば思うほど、馴染めず楽しめない自分に失望し、つらくなる。



シフトに凄く貢献してくれるスタッフがいたり、出来ないことに挑戦してみて、出来た喜びを肌で感じさせてくれるスタッフがいる。
学校が辛い中でもなんとかバイトに来てくれるスタッフもいれば、テスト習慣が終わったからまたバイトを頑張りたいとLINEをくれる新人スタッフがいる。


退職発表の日が、あんなに来てほしかったのに今は来てほしくない。
だからといって退職を取り消したい訳ではない。


「人」に疲れてこの仕事を辞めるけど、
今まで救ってくれたのも「人」なのが、世知辛い。

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