アーティストから見たファンとは

いつだったか、もうずいぶん前のお話。
ひとつの時代を作った某バンドの音楽は8が多かった。
それが、ある時から16の曲を作るようになった。
最初は「これどうノッたらいいん?」と戸惑いもあったが、すぐに馴染んで楽しんでいた。
というより、私が知らない世界を彼らは見せてくれていた。

そんな時に、当時彼らがやっていたラジオ番組に一通のメッセージが届いた。
その内容は「音楽の路線変更で付いていけなくなってきました。別のバンドの方が楽しいです。このまだとそっちに行っちゃいますよ」というような物だった。
このメッセージを送った人はきっと「え~!そんな事言わないで応援してよぉ」というリアクションを期待していたんだと思う。

ところが、彼らはそうは言わなかった。
彼らの口から出た言葉は「それはしょうがないんじゃない?別に引き止めないし、好きにしたらいいよ。そう言われたからって合わせるようなことはしない。俺らは俺らでやりたいことをやるし、それで嫌いになるならしょうがない。」と言う応えだった。

この2ヶ月弱の間、その時のことをよく思い出す。
その当時も今も、それに対して私が思うことは「そりゃそうだ。ファンに合わせる必要は1ミリも無い」と言うこと。
ただ、そんな事を言えてしまうのは当時の彼らの立ち位置がとんでもない所にあったからだと思う。
完全に雲の上の人たちだったから。
そもそも、そんなメッセージは基本的に採用されない。
それを敢えて紹介し自分たちの意思をファンにぶつけるアーティストってすごいなと私は思う。
今なら炎上覚悟じゃければ言えない。
いや、彼らなら今でも言うかな?

そういう厳しいことでもファンに伝えてくれる彼らは、今でもずっと付いていくファンにはとことん優しい。
イベントの応募人数が多く落選の通知を出すのが忍びないと、会場の変更まで検討してくれる。
まぁ、その優しさに甘えすぎな一部の人はどうかと思うが…

5年前の大阪のライブ中に体調を崩してしまい、それ以降は全く参加できていないが、今でも気持ちだけは彼らと共にある。
もう好きとか嫌いとか言う次元の話じゃない。
DNAに組み込まれちゃってるんだからしょうがないよね。

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