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英語は文法から3 読解

英文法の参考書・問題集を立ち読みしてて、「肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編」という本に目がとまり、買ってしまった。

要は、英文の構造を把握して文を読めるようにするための教本である。英文は、使われている単語の意味をすべて知っていたとしても、文の構造を正確に把握できていなければ、内容を正確に理解することはできない。文の構造は、文法的・語法的知識を用いて分析していく必要があるが、その分析の手法を身につけようというものである。

自分が受験生だった35年くらい前は、こんな教材はなかった。あったのかも知れないが、使っていなかった(「英文解釈教室」はそういう類の本だ)。では、どうやって身につけたのかというと、知識と経験というよりほかない。文法事項を確実に身につけるとともに、英語の構文150英語標準問題精講といった副教材に触れていれば(定期試験の課題とされたが目を一回通しただけ)、動員できる知識の引き出しが増えていって、長文は読めるようになったし、難解な構造の文でもなんとか読むことができた。知らない構文(倒置とか)もたまに出てきたが、模試で間違えれば確実にインプットできた。お姉ちゃんの受験の際に「英文読解の透視図」という参考書を知ったが、今、自分が受験するなら、長文・過去問の演習が相当程度終わった時点で、復習(あの模試で出てきたっけなあ)と抜け漏れの補充(へえ、こんなのもあるんだ)として利用するだろう。読解系の参考書が、上位層の受験生を対象としたものから出版され始めたのも、こういった利用方法を想定していたからではないか。

さて、肘井である。内容的には、基本的な文法事項や語法の説明であるが、この本の新しいところは、それを文構造の分析という観点から並べ替えているところである。たとえば、thatは、関係代名詞that、名詞節を作るthat、同格のthat、so that構文など、文法書ではいろいろなところで出てくるが、1箇所にまとめられている。しかも、こんな場合があります、あんな場合もありますと列挙するだけでなく、どの場合に当たるかを識別する方法を示そうとしてくれている。なるほど、この本をマスターすれば、どんな英文でも読めてしまいそうである。
さらにうれしいことには、例文に用いられている英単語がやさしい(少し難しい単語には訳が付されている)。これなら、文構造の分析に集中することができる。
各動画チャンネルが絶讃するのもうなづける。

しかし、これだけで長文がスラスラ読めるということにはならないだろう。テーマが分かっている中で、せいぜい2、3行の例題や確認問題ならば、瞬時に文構造を識別することができようが、長文の中でこの本で学習した知識を総動員できるということにはすぐにはならないだろう。そのためには、ある程度の長文演習が必要だ。この本は2周くらいで終えて、早々に長文演習に入るのがよかろう(入門英文解釈の技術70くらいを長文の前に噛ますのもいいかなとも思う)。

とはいえ、長文への架橋として良い本だと思う。文法の横断的な復習にも良いだろう。
ただ、大岩とのギャップは大きい。英文法問題Solution1ぐらいを噛ますべきか。同じ著者だし相性もよかろう。



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