40歳、ハラスメントはもう我慢しないと決めた瞬間
バイト先のオーナーによるパワハラのストレスがピークに達したころ、私は家庭でもハラスメントによるストレスと闘っていたのだった。それというのも我が家の子供たちの不登校問題、、、から派生した夫との意見の対立だった。
子供たちの日常的な困りごとについて
我が家は小4長女と小2長男の二人の子供がいるが、二人ともまともに学校へ行っていない。それでも長女はこの1年ほど、順調に学校の相談室へ通うことができており勉強は少し遅れながらも以前と比べればかなり安定して過ごしている。
息子はというと、1年生の三学期から突然激しい癇癪を起こして一切学校へ行かなくなった。勉強もほぼしていない。
困り事が増えてきたタイミングで児童精神科を受診したら、二人ともASD(自閉スペクトラム症)という診断がおりた。私としては、そうでしょうねという感じだったので、診断がおりてむしろ安心したのだった、これでもし「問題ありませんよ」と言われたらそれこそどうしたらいいのかわからなかっただろう、、、。
二人の子育てについては別で詳しく書こうと思っているのでここでは簡単な説明で進めるが、とにかく私は二人のASD児を育てるのに疲弊しきっていた。夫は朝7時に家を出て夜20時、21時、子供らが小さいときは22時とかに帰って来ていたので家事育児はほぼ全て私がしていた。
ASD児を二人育てることのしんどさ
特性の強い、それも別々の特性を持った子2人を1人でみるのはどうしたって難しかった。ちょっとでも気に入らないことがあると癇癪を起こして泣き止まない、ごはんは毎食それぞれ別のメニューを用意しなくてはいけない、それでなくても気に入らないことが多すぎて毎日様々なことに細かく対応しなくてはならない。
学校へも頑として歩いていかないので毎日送り迎えをして、先生とも何度も面談をしたし、何度も頭を下げた。
私自身何度も体調を崩し、心療内科へ通ったりもしたが改善しなかった。
あまりにしんどくて、夫に「もっと早く帰れる仕事に変えてほしい」とか「せめて職場の近くに引っ越したい」(夫は自宅から職場まで片道1時間かかる)と何度か訴えたこともあったし、自分だけ家を出ようかと考えたこともある。
でも夫は「自分くらいの年齢の男性ならどんな仕事をしたってこれくらいの時間働いている」と言って譲らなかったし、私も子供と離れるという選択肢はやっぱり取れなかった。
何度も話し合いをして、22時だった夫の帰宅時間が20時くらいまでにはなった。しかし慣れてくるとまた21時ごろの帰宅になったりと不安定だったし、それ以外のことは何を言っても跳ね返されるだけで、しんどさだけが積もっていき、夫への信頼感もほとんどなくなった。
私の考え、夫の考え。
しかし、息子が学校へ行かなくなったのが夫には余程心配だったらしい。夫もたまに仕事を休んで学校へ連れていってくれたり、夜帰宅した後で子供の勉強に付き合ってくれたりはしていた。
そのころ、私は子育てについてひとつの答えのようなものを見出した頃だった。
『今はとにかく子供の心に種まきをするとき。学校の勉強をしないのなら、今はそれ以外の教養を身につけさせること。そして心を育てること。』
決してぼんやりしたビジョンではなく、そうして育てていけばきっと大丈夫と自分でも信じることができたし、学校の先生、スクールカウンセラーさんや児童精神科の先生とも話して、そういう方向でいけば大丈夫でしょうと皆さんおっしゃってくださったことも私の自信になった。
しかし夫だけは別の考えだった。
夫は、とにかくきちんと学校生活に乗せることだけが何より大事だと思っているようだった。給食も我慢して食べる、勉強も遅れずにやる。毎日学校へ行く。
私だって最初はそうなるように色々な方法を試したが、どれもだめだったからこそ今の状態になっているわけだけれど、夫から見ると私のやり方が悪いということだったらしい。
そして言われた一言
それである日、とうとう夫と口論になった。もう少し子供の心に寄り添ってほしいと訴えた私に、夫は「もういい。クレジットカード置いて出てって。」と私に言った。夫は私を見限ったのだった。生活費を渡すのも嫌だったらしい、家族カードを私に使われるのも許せなかったのだ。その何日か前に、夫から生活費を使いすぎではないかと言われたところだった。(ちなみに私は家計簿をつけていて、1ヶ月の食費も4万5千円でやりくりしている。このご時世に結構頑張っていると自分では思っていた)
私はショックだったけれど負けずに「出て行くのはいいけど、子供は連れて行く」と言った。すると夫は「お金稼げないのに、無理でしょ。」と冷たく言ったのだった。
がーん。ショックだけど事実、だけどショックだった。でも、これはモラルハラスメントというものではないか。
しかし考えてみれば、結婚した時から私は夫からモラハラを受けていた。いつも夫から人格を否定するようなことを言われ続けていたが、私は自分が悪いんだと思い込んでいたのだった。振り返るとほんとうにおそろしい。
その上、夫は私に「子供がこんなふうになったのもみんな君のせい。毎日家で何やってるの?何にもしてないだろスマホばっかり見て。こんなの育児放棄だ」とまで言い放ったのだった。
がーーーーん再び。こんなに日々疲弊しながらあちこち相談に行って、子供の世話に時間と体力とを取られているのに、育児放棄だなんて。。。!
夫が私について「スマホばかり見て」、と言うのは、確かにそういう面もあった。だってこのしんどい生活の中で、スマホだけが唯一の現実逃避だったんだもの。辛すぎるときは、そうやって一時的に逃げるしか私にはできなかった。
それに、夫が帰宅する20時なんて主婦はもう1日のおしまいで、家事育児も終わって疲れ切ってソファでスマホ見てる時間なのだ(主婦友達はみんなわかると言ってくれた)。その時間に余力などもうない。
夫だって、帰宅したら自室に篭ってリクライニングチェアに身を委ね、アマプラとか見てるくせに。
私には寛ぐための自分の部屋も無かった。
夫は子供が産まれてからも変わらずずっと一人の部屋で寝起きし、自室で毎晩趣味の時間を持っていた。朝もゆったりと一人で風呂に入っていた。
そんな人には私の気持ちなんか絶対にわからない。
そしてブチギレた
今まで、ずっと私にも非があると思っていた。つい子供にひどく怒ってしまうし、スマホに逃げると言うのも事実だったし。けれど「育児放棄」とまで言われて流石にそこまで言われる筋合いはないと思った。これはもうあかん、別れようと思った。
バイト先でオーナーのパワハラに悩んでいたのもちょうど同じ時期でストレスは限界だったから、バイトを辞めようと思ったのも同じタイミングだった。
なぜ私ばかりこんなに我慢する必要があるのか、私は自分なりにほんとうに一生懸命やっている。
こんな人たちから否定されたからと言って自分を蔑ろにする必要なんてない。
私がハラスメントに対する一切の我慢をやめようと思った瞬間であった。