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2.4 本物の鬼とは。

節分の日が気になり過ぎて夢にまでみていたらしい、我が家の末っ子4歳。

とにかく、幼稚園やお家に来る鬼さんが
本物かどうかが重要らしい。
どれだけ怖くても偽物なら大丈夫とのこと。

ここ1週間はしきりに
「ホンモノなのかなぁ…ホンモノの鬼さんって何色かなぁ…トゲトゲの棒持ってるかなぁ」

といつも心ここに在らず状態。


今の幼稚園は今年度が1年目なので
鬼事情は私も兄姉も全く知らない。
怖いタイプなのか優しいタイプなのかも分からない。

そこで、謎に私の幼稚園時代の節分の話をしてしまった。
30年程経った今でもあの日の衝撃は鮮明に覚えている。
おばあちゃんに持たされた渋めの紙袋に鬼の工作を施して目の部分だけに穴を開けて鬼になりきりそれをかぶる。
視界最悪の中で幼稚園ホールに鬼さん登場。
支給されたわずかな豆を早々に投げつけ終えてしまい、鬼が近付いてくる大ピンチの時には武器なしの無防備な状態だった。

少し意地悪だったゆかりちゃんというお友達が鬼にもちあげられてしまい(幼稚園の意地悪なんてかわいいもの、ゆかりちゃんそんな風な登場のさせ方でごめん)
助けないと!でももう豆もない。
真っ向から戦うなんて完全なら負け戦。
ということで、ゆかりちゃんを助けることも出来ず、5歳の私はただひたすらにホールのなかを逃げ回った。
ああ、怖かった。本当に怖かった。
先生に助けて欲しかったけど、30人程のクラスを1人の先生がまとめていた。
幼いながらに、何かあった時、先生に助けを求めてもどうにもならない。
と体感した経験でもあった。

5歳の記憶が鮮明すぎて自分でも怖い。
とにかくそのくらい衝撃的だったのだろう。

と、そんなエピソードをまさかの末っ子に話してしまった。
やってしまった。

ということで、その日からというもの
私は末っ子からの鬼さんに対する質問攻めにあっていた。

どこに住んでるのか?
何色なのか?
偽物と本物があるけどなぜなのか?
怖いのか?
優しいのもいるのか?
ピンク鬼もいるのか?
金棒はトゲトゲなのか?
ゆかりちゃんはその後どうなったのか?
豆がなくなった場合の振る舞い方は?
それでも連れて行かれそうな時の対応方法は?

とまさに鬼の質疑応答…。


ごめんやけど、ママそこまで鬼に詳しくないねん。


不安なのは理解した。よく分かった。
そしてごめん。
でももうそれは節分を体験してみたいと分からない!ということで当日を迎え、幼稚園に送り届けた。

結果、幼稚園に来たのは
ニセモノの鬼さんだったらしい。(末っ子談)
だから、怖くなかったとのこと。
泣いてる子もいたらしいので、それなりの迫力はあったんじゃなかろうかと思う。

でも、末っ子の1番の問題点は本物かニセモノか?ということ。
その点、ニセモノだと分かった瞬間に怖くなくなったのだろう。

なんという、人間への信頼感。
(人間がいちばん怖…おっと)


節分についてのお話はしっかり幼稚園でしてもらったようで

「はるまきを食べる時は心のお口を出さないんやで」

と教えてくれました。
言いたいことは充分伝わるから愛おしい。


あ、恵方巻きのこと?と言っても
「あーそうそうそれが言いたかってん」
と言うのに、2分後にはまた「はるまき」の話をしている。

もう修正するのもやめて泳がせることにした。


だって今日の我が家は手巻き寿司だから。
寝てる時意外は強烈に騒がしい我が家も
恵方巻きを食べる時だけは黙って食べるという習わしをきっちりと守る。

もはや恵方巻きではなく手巻き寿司だけれど
南南東(だと思われる方向、我が家で言うテレビ横のトランポリン)を見つめながら黙々と食べた。

年に一度だけ訪れる夕食時の静寂。
とても感慨深い。私、節分が大好きかもしれない。


幼稚園から(正式には消費者庁から)5歳以下には豆を食べさせないようにと注意喚起があった。
長男長女の時はもっと小さい頃から食べていたし、末っ子も去年あたりから食べていた。

でも、命に関わるかもしれないこと。
我が家はこの注意喚起を受け入れることにした。
末っ子は食べられると思っていたし、幼稚園でも年の数だけ食べるという話を聞いてきたらしい。

でも、やっぱりそこは譲れなかった。
命に関わることは、泣いても喚いても私はやっぱり譲れない。
チャイルドシートとか、自転車のヘルメットやベルト。
そして今回新たに仲間入りを果たしたのが節分の「豆」
こう並べてみるとカテゴリーが1人だけ違いすぎるのが少々気になるが、まぁいい。


あ、プチトマトやぶどうも絶対に半分に切ったりしてるしそのカテゴリーかな。そうね、そこだわ。


と、ここで起きる問題はお察しの通り

「お豆食べるのーーーー!!!!泣」問題。


パパもママもにーにもねーねも食べられるお豆。
しかもよりによって末っ子が選んだ鬼滅のパッケージの豆。
絶対食べたいやん、そんなもん。

でも、ここは心を鬼にして顔色を変えない努力に徹した。
色々を演技力たっぷりに説明した後、何をどう言われようと無理ですスタンスを貫いた。

というか、私の選択肢は無理です無表情スタンスを貫くということしかなかった。

が!!!!

ここで、神の声ならぬ長男の声。
「きな粉にしたら食べられるやんっ!」


と。
え、神様なの?

「一緒に作ろ!」

と。
神様確定。


本人が作りたいだけ説も有力ですが、それでも良い。末っ子もめちゃくちゃ乗り気!


そして、数分後。
リビングのあちらこちらを粉々にしながら
すんごい美味しいきな粉が完成。

綿棒で潰し(ここでリビングのテーブルと床が終わる)
それをかき集めて(キッチンの床終わる)
ブレンダーに投入、さらに粉末を滑らかにした後
砂糖と塩を少しだけ混ぜて、完璧なきな粉が完成していた。

我が子ながら、すごい。
びっくりした。
ちなみにその間私はずっとインスタライブを三角座りで見ていたので何もしていない。


そして、むせ散らかしながらきな粉を子ども達3人が満足そうに食べていた。
あー、私が厚かましながら、いつも子ども達に体験して欲しいな〜って思ってるのはこういうことだわ。
見たいのはこういう達成感に満ちた顔だわ。

ときな粉を舐め回す(汚い)子ども達と汚すぎるテーブルと床を見つめて思った。


今のこの状況をいかに面白がれるか。
どんな状況でも自分達の行動次第でどうにでも転がせるってことを知っておいてほしい。

あと、欲しいものは例え形を変えてでも手に入れたる!くらいの気持ちも持ち続けてくれたらいいなと勝手に思っている。

またお節介と思われそうだけども。


そんなこんなで、今年の節分も良い日になった。
また来年。

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