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盲腸になった話 Episode1

コロナ禍真っ只中に盲腸になった話。
※2021年の時の話です。当時のエッセイを載せています。


先日盲腸になってしまった。
初めての盲腸。初めての入院。初めての手術。

何から何まで初めてばかりので、病人にも関わらず、ちょっとした冒険みたいな気持ちを抱きながら入院してしまった……。
日頃何の変哲もなく刺激もない人間なので、人生で初めて体験することに
驚きもしたと同時にわくわくしてしまったのも否めなかった。
盲腸で激痛ではあったが……。

始まり


3月某日午前。
寒気と腹痛を一気に感じて起きた。
まだ午前中だと気温が寒く、寝返りをしていたせいで掛け布団が外れ、体が冷気に晒されていた。
冷えた寒さで起きるのと同時に腹痛を感じた。

その時は『体が冷えたからお腹痛くなったのかな~~~』などと呑気に思っていた。
体の中では大変なことが起きているとも知らずに……。

時間が経つにつれて、腹痛の波がずっと続いて流石にこれはなんか変な痛さだなと感じ始める。
例えるなら物凄いお腹にガスが溜まってる感じだった。
お腹が張って、それに変な鈍痛が加わった感じだった。
普段から結構お腹にガスが溜まる性質で、前にはガスが溜まりすぎて破裂するんじゃないかと思って苦しんだことがあった。
さながらドラゴンボールのセルのような気持ちだ。
どうでもいいが私はお腹の中に溜まったガスが酷い状態のことを勝手に「セル状態」と呼んでいる。

だから、前と同じ感じ来たか~~~と前回の戦いを思いだし、常備薬となっている小林製薬から発売されているガスピタンをふらふらになりながら、服用した。
毎回これを服用する度に味の薄いヨーグレットだよな~と思う。
なんとかガスピタンを服用して、これでまず大丈夫だろうと安心していた。

あとは、昔学生時代に友人(酷い便秘持ち)が、教えてくれた尻を天高く上げた土下座のような体勢をしたらガスが出てくるという裏技みたいなのをしたらもうこの戦いは終結だ。
短い戦いだったが、こっちはガスを溜めるなんて日常茶飯事。
痛さも慣れてる。場数も踏んでる。

は~やれやれ……。
と、思っていたのだが、普段ならすぐ効果があるはずのガスピタンの効果がいまいち出ない……。
こんなことはあまりないため、あれれ~~おっかしいな~~~?と頭の中でコナン君が言う。

お腹の圧迫感と、一定のリズムで襲ってくる痛み。
今回のお腹のガス、強烈すぎんか……!?

「おいこれシャレにならんぞ……」

今まで感じたことない引かないお腹の圧迫感と痛みに、徐々に焦ってくる。
それどころか、仰向けになっても、横になっても、楽な体勢が無い。
一体どうすればいいの?と焦りながら、友人から伝授してもらった尻上げ土下座の体勢をして体内からガスを出すしかない。

「出てくれぇーーーーーーーーーーーーーッッッッッ」

叫びながら尻を突き上げるも、お腹の圧迫感に重圧をかけるだけで、逆に苦しくなって、尻上げ土下座は断念した。

「出ねぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッ!!!!!!!!」

どうやってもガスが体から出ない。本当に全くもって出ないのだ。
腸内でガスがぎゅうぎゅう詰めで喧嘩してる状態。
凄まじい満員電車の中でひしめき合い怒鳴りあう感じ。押さないで押さないで。
圧迫感と痛みで我慢できなくなってきた。
さっきまで余裕ぶっこいていたが、流石に余裕がなくなってくる。
もう一度ガスピタンをまた追加。
それでもガスは一向に出ないし、痛みもどんどんいっくよー!と痛みのリズムを上げてくる。辛い。
もう苦しい、痛いという感情しかなく、正常な判断さえできなくなってくる。
効かないガスピタンに「これ実はヨーグレットと間違えて食べてるか?」
とすら思えてくる。

(※タイトルでもわかる通り盲腸ですので、ガスピタンはこの場合効果がないため、ガスピタンは通常時にはとてもよく効く素晴らしい薬です。小林製薬様には頭が上がりません)

お腹の苦しさ、痛み、じわじわと滲み出る汗。瞼もまともに開くことができなくなる。
焦りと不安とパニックと、こんなのってないよ~~~!っていう感情しかなかった。

一応トイレでも行っとこうかなと思い起き上がるものの、起き上がる動作でさえしんどい。
起き上がる時に、腸内が破裂するんじゃないかと頭を過った。
トイレに行っても、全く出る気配もない。
なんなんだろうこの痛みと苦しみは……。
原因が全くわからずにいると、今度は痛みから胃からせりあがってくる感じがした。
そのまま痛さで吐いた。この時本当に訳がわからなかった。
普段そこまで吐くという現象が起きないせいで、自分が吐いたことに驚いた。

「えっ何年振り……?」

吐いた後に咄嗟にそう思ってしまった。
本当に吐く行為が久々すぎて旧友に再会したみたいな感情が出てしまった。
自分が吐いたという行為に驚き戸惑った。
それと同時に「おいこれシャレにならんぞ」という領域に入ってくる。

よく嘔吐で表現されるオロロロロロみたいなのあるけど、本当になるんだね……。
こんなの初めて……。
勢いが止まらない時に、ふとまた頭に過ったのは、「食中毒、違うか……!?」だった。
実は昨日キムチと納豆のたらこパスタを作って食べたんだけど、その時に
たらこが痛んでいた可能性があるかもしれないと思った。
それと同時にキムチと納豆の組み合わせが悪すぎたのかと思った。
美味しいと美味しいの組み合わせで最強だと思っていたのに……。
悪魔の組み合わせだったのか……。

食中毒の可能性もあるな……という推理に妙に納得してしまった。
そして、一緒に食べた家族は大丈夫なのか……?と思い、家族の安否が気になってLINEした。

「体の調子どう?
吐いたりしてない?
私はなんか腹痛がして、多分お腹にガスが溜まってる状態かも
しれないけど、吐いたりしたから、どうかなって思って。」

家族からは「大丈夫です」と返信があり、安心したが
じゃあ私だけこんなんなんだ~と納得しつつ、またオロロロロと旧友と再会した。

とにかく痛くて苦しい。吐いていてもなお下っ腹からの圧力がやばい。体内パワハラだよ。
一通り吐き終わったものの、時間が経っても痛さと苦しさは同じだった。
むしろ時間が経つにつれて悪くなってないか?マジで私の体どうした?
とりあえず、痛みが我慢できない。
ロキソニンを飲むと一時的には少しだけはマシになり、ふっと痛みから離れた気がした。
が、ロキソニンの効果も長くはなく、秒で痛みがやってくる。(こんにちは~)

めちゃくちゃしんどすぎて、この時の記憶がなかった。
目が開けらんねーーーー!とずっと横になってはうんうん唸っていた気がする。

痛みには強いと自負しているのだが、これには我慢ならんと
長年通ってる内科・消化器内科に行ってみることに。

かかりつけの病院へ

先生~~~~!助けて~~~~!と顔なじみの先生の元に駆け込む。
病院に着いたところで、ぐったり。マジで目も開けられない。

そして先生にお腹の圧迫感と嘔吐などの病状を訴えた。
喉を見られた後に診察台に寝るように言われ、お腹を叩かれる。
確認している時でも痛みは変わらない。

先生「ガスが溜まってるね。喉が赤いから風邪から来るものだと思うよ。
ガスが出る薬と整腸剤と吐き気止め出しておくね」

診察が終わり、これで薬を飲めば楽になるんだ~~~~!と
病院に行ったという安心感に身をゆだねてしまった。まだまだ痛いのに。

自宅に帰り速攻で飲む。(ちゃんと手は洗ったよ!)
これで痛みからは解放されるんだ……!と処方された薬は希望だった。

だが、薬を飲んでも全く良くならなかった。
むしろ、「あれ?痛み酷くなってね?」感が半端ない。
マジでなんで?ともうロキソニンを飲む。ロキソニンしか信じられなかった。

うんうん唸っていた苦しさから、今度はうわ言で「タスケテ……ダレカ……タスケテ……」という状態になってしまった。

救急へ

見かねた家族が救急に行くぞと連れて行ってもらった。
実は成人になって救急に駆け込むなんて初めてのことだったので、なんか大変なことになっちゃったゾ……ともう引き返せないやばさを感じる。

救急に着くと、問診を受けるが、すでに痛さで頭が回らないし、目も開けられないわで答えるのに精いっぱいだった……。

医者から「胸の部分は~」と言われているのに、「えっ?腕?」と聞き間違えるし……。
とにかく痛みで集中できない。耳も正常に聞こえない。
同行してくれた家族が翻訳してくれてなんとか答えることができた。

食べた物を聞かれたのだが、
実はキムチ納豆たらこパスタの他にも別に食べた物があり、茹でたレバーだったり、砂肝も食べていたんだった……。
聞かれた際にいざ答えるとなるとなんていう組み合わせとラインナップなんだろうかと恥ずかしかったな……。
自分の家の冷蔵庫の中をまざまざと見られる感じだ……。
まさかこのラインナップを人に話すことをするなんてな……!?

そして検査

検査のために行うレントゲンやらCT検査の機械やらの凄まじい医療器具達に出迎えられる。
デカめの医療器具とか見るとしみじみと凄いなぁと毎回思ってしまう。
それと同時に凄い器具に体を通されながらほんとにどうなっちゃうんだろ……。私の体は……。
とりあえず痛みの原因がなんなのかこの痛みとはよ決別したい気持ちでいっぱいだ。

余談だが、造影剤を入れられた時に「体が熱くなりますよ~」と言われて
マジで体がじわじわと熱くなっていき、「体が……!熱い……!」状態になった。
後日調べたら、造影剤を注射すると血管の拡張が起きて体全体に熱感がおこる生理現象だとか。
人体すげ~。

医療器具のオンパレードも終わり、医者からディスプレイに映し出された
スキャンした画像を見せられる。
「白血球が通常の三倍になっています」とか、
「虫垂の部分が、通常よりも大きく……」などと説明を受ける。

検査結果

そして診断結果は虫垂炎・盲腸となった。

よく盲腸というワードを聞いていたが、あの盲腸に自分がなったのかー。
そして盲腸ってこんな感じなのか……。
診断結果を言われて安心?はしたが、

医者から
「手術となるので入院です!」

手術!?入院!?

いきなりの展開に私どうなっちゃうの~~~~!?

【速報】盲腸発覚直後の記念撮影(LINEにて報告)


~入院・手術編に続く~

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