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盲腸になった話 Episode4

※2021年の3月に盲腸になった時の話です。

相部屋へ


見知らぬ天井。入院って感じだ。

手術も無事終わり、手術後は個室から四人部屋の相部屋へと移った。
が、部屋には実質二人しかおらず、私を入れて三人になる。
私は窓際の部屋で対面の部屋には誰もいなかった。
そして手術直後後の私はただ寝ていることしかできずにいた。
点滴や手術後の血栓防止につけられたフットポンプに、パルスオキシメーターに身を包まれている。ザ・病人感がある装備だ。

まだ手術前から痛むお腹の圧迫感にプラスして、手術後の痛み、そして腹部の痛みが肺?のところまで登ってくる感覚があった。
何年か前にインフルエンザに罹った時に物凄い咳に見舞われたのだが、その時に感じる肺の痛み?筋肉痛のような痛みがある……。
怖いよ~~~~~~~。

とりあえずベッドのリクライニング機能で上半身を起こしているのに精いっぱい……。
少しでも動くと痛いのだ。
前回でも書いたが、病室内は空調が完備しているため、室内は温かいのだがそのせいで非常に乾燥する。
喉が咳き込んだ拍子に傷口や体全体に響く……。
この咳が中々厄介で、死活問題となる。
咳き込む時が本当にしんどくて、こまめに吸い飲みで喉を潤す作業も怠らないことも必須だった。
脚には、血栓防止のためのフットポンプがあり、自由に身動きは取れない。

ピンチ

余談になるが、この時持参した延長コードとスマホの充電器をベッドの下付近のコンセントに挿していたのだが、その延長コードが落ちてしまった。
身動きが全く取れない状況なため拾うこともできずに途方に暮れてしまう。
これだけのためにナースコールなんて鳴らせないため、自由に動けるようになるまで待つしかない。

終わった……。


悲しすぎるLINE報告

術後の経過


看護師さんが代わる代わる点滴や検温などに来てくれる。
こういう時入院してるなぁと実感する。
外科の先生がやって来て、説明や様子を見てくれる。

先生「動いてくださいね!」

術後、しっかりと動くことは大事らしく、それでも少しでも動くと激痛が走る。
しかし、動かなければ悪化する可能性もあるので運動も必要なのだ。
頑張って動くことをしなくてはならない。それにしてもクソ痛い。地獄か?

また、先生曰く、盲腸を発見したと同時に私の胸に腫瘍が発覚したらしく、後日それに対しても検査することなる。
(※後日、検査をすませ結果からいうと良性の腫瘍でした。)

数時間後に、足に巻いてあるフットポンプを外してもらい、トイレなどにも行く。
この術後初めてトイレに行ったのだが、やっぱりトイレをする動作さえも痛くて、かなりのスローペースになる。
普段普通にできることがこんなにも困難になるなんてな……。
術後の痛みもそうなのだが、ずっと点滴をしている状態ではあるので、それも加えて不便が増すのだ。

トイレをするのにも、かなり慎重になりながら動かなければならない。
さながらミッションである。
「やれやれ……」と用を足している時に、遅いと思った看護師さんがドアの向こうから

「ぽにゃにゃにゃんさん!! 大丈夫ですか!? 中で倒れてないですか!?」

私がスローペースなために、看護師さんが心配したのである。
鍵のついたドアをガンガンと音を立てて開けようとしてきた。

私はいたって意識もあるし、スローペースではあるが、ただトイレをしているだけなので、その時びっくりして「うおおおお!? だっ、大丈夫です! 生きてます!」と生存確認した。
驚かせてしまってすまない……。
トイレをするのも命がけである。
術後だから、何かあるかわからんからね……。
看護師さんを驚かせてしまったが、本当に術後のトイレは大変だった。
無事トイレも済ませてベッドに横になる。

入院生活って本当に自由にできないので、無の時間になってしまう。
個室の時はテレビを自由につけられたが、相部屋になってからはテレビカードが必要になってしまった。
当たり前だけど、Wi-Fiも無い。終わった~~~~~~~。
完全にネットジャンキーなため、Wi-Fiの無い環境に放り込まれると、
途端に行先の失ったレース鳩のようになる。無力鳩。

相部屋の洗練

相部屋に移り、私の隣には患者さんがいるのだが、突如部屋に響き渡る音がした。

\ゲエエエエーーーーーーーーー!/

盛大なゲップである。
おお……。これが相部屋か……。
さっそく相部屋の洗礼を受けることとなる。
その後も、トロンボーンのようなおならまで聞こえてくる。
完全な仕切りがないので、生活音が丸聞こえなのである。
結構な音のおならは盲腸の手術をした後の私にとっては羨ましい限りだった。
この時点で私はまだおならが出ていない。
本当にどうしてしまったんだってくらい、おならは出ないでいるので苦しい限りだ。
早くおなら出てくれ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!と願う。
そういやこいつずっとおならに悩まされてんな。(盲腸だもの)

消灯時間が22時なために、入院初日は消灯時間が早いことが不便だった。
病室内は電気が消されて真っ暗なので、トイレを行くにしても手元の明かりがマジでないので、これクソ不便すぎるんだが……。と地味に真っ暗な空間も困った。
あたしゃ夜目が効かないんだよ……!!!!!!!!
睡眠時間がほとんどなかったが、痛みもあるため目が覚めて落ち着かなかった。

それと、隣の患者がおならに続き、結構ないびきを奏でるため、そっちにもびっくりした。
例えるなら、椅子を床に引きずるような感じのいびきだ。
いびきがダイレクトに聞こえるために、耳にイヤホンをして何かしら聞いていないと無理だ。
この状態で「さぁお眠りなさい……」と言われても、無理ゲーである。

また別の機会に書くが、入院時に必要な持ち物の中で、耳栓は必須だと言えよう。
特に相部屋だといびきをする人もいるので、他人のいびきで寝ていられないという状態になる、と経験者は語らせていただきたい。

入院2日目

盛大ないびきのオーケストラもあったが、いつの間にか寝ていた。
朝の目覚めはやはり術後の痛みがまだある。
だが、ずっと動けないというわけではないので、顔を洗いに行ったり、離れた場所にあるトイレに行って歩くことを意識し、なるべく動くことをする。

そして初めて同室の一人、私のお隣の患者の方と接触することとなった。
部屋から出てトイレに行こうとした時に鉢合わせたのだ。
可愛らしいグランマで、向こうからにこにこと挨拶をしていただいてこちらこそ恐縮だ。

優しそうなグランマ「うるさくしてごめんなさいね!テレビ見て笑っちゃったりして!うふふふふ」

口元を上品に手で覆い隠し可愛く微笑む。
しかし、うるさいのはそこではないことを、グランマは知らない……。
この可愛らしく笑うグランマが、どでかいゲップ、おなら、いびきの3コンボを連打する騒音の達人だとは……。

私も人の振り見て我が振り直せの精神で、なるべく小さいおならの音を出そうと心掛けた。
肛門活用筋と相談して調整するしかないな。


入院……そして初めての食事……!!


そして、お昼には術後初めての食事となる。
丸二日何も食べれていなかったのは初めてだ。
しかし不思議とそうそう痩せないのは何故だ。
それはそうとメニューは流動食である。

【昼食メニュー】
重湯、スープ、高栄養流動。

絶食なのでスープと重湯。この時出されたコンソメスープが胃にも心にも沁みた。
人生で一番上手いコンソメスープだった。
空腹……というか激痛の中の絶食が最高のスパイスって知ってた?

重湯はおかゆのもっとうっすくしたやつだが、初めて食べると不思議な感じだ。
”飲める米”というようで、米……だよなぁ……というような味わいがある。
触感は米の粒は全く無くすために、どろどろと米の味の液体を飲んでいるといった感じだろうか。
重湯という存在は知ってはいたが、いざ自分が食べることになると、「あなたでしたか……」というような感想になる。
地方で活躍する芸能人を間近で見たような感じだ。

スープがコンソメの野菜スープ(具なし)でこれが凄く美味しかった。
めっちゃ美味しすぎる。これどこで売ってるんだ……。
どこのメーカーのコンソメなの……と病院から出されたコンソメのファンになってしまった。
病院で使われるコンソメと市販のコンソメの味が違うような気がしてきて、今でさえあの時に飲んだコンソメの味を求めて彷徨っている。コンソメファンクラブ。

高栄養流動は「メイバランス」と言われるジュースみたいなやつだった。
バナナ味で優しい味で美味しい。

いきなり胃に入れても大丈夫なラインナップだが、食べるというより飲むになるが、ドキドキだ。
ゆっくりと流動食を口に入れる。
流動食を口に入れて飲み込むと体に入っていくのがしっかりと感じる。
するする入って、今胃や腸に入っていってるね!?という実況感がある。
普段そうそうそんな体験ができないと思う。
二日ぶりの食事は、全て完食することができた。
ありがとう流動食。私の血肉になってくれ。

【夕食メニュー】
重湯、ポタージュ、葛湯、野菜ジュース重湯、再び。

画像が荒いのはご愛嬌だよ

二回目の重湯も飲めた。
ポタージュもまた美味しくて最高だった。
この中で一番美味しいのはポタージュ。
このメニューの中で一番美味しかった。
ポタージュさんありがとう……とポタージュに感謝したかった。
そして、私が入院していて、きつかった病院食は葛湯だった。
独特な味?初めて葛湯を飲んだ気がするのだが、どろっ……としていて、癖のある味(個人的な感想です)な上、茶碗いっぱいに注がれた量が多かったので、途中からハァハァ息を切らせながら飲んだのを覚えている。

とにかく、茶碗いっぱいの葛湯をただ喉に流し込む作業……になってて、少し辛くなってきた。どろどろと喉に流れる。癖のある味わい……。
バリウム飲んだことないけど、バリウムってこんな感じなんだろうか……。ちなみに私に残すという言葉はないのである。(ただの卑しい奴)

入院中の過ごし方


夕食も無事終わり、あとは消灯時間までに色々なことを済ませねばならない。
入院して初めて自販機のある場所を知り、夜中に咳き込み防止のお茶を購入する。
病院で無料でお茶が貰えることもあるが、それだと足りないため、自販機でお茶(カフェインゼロ)を用意しておく。
それと同時にテレビカードを購入する。
1枚1000円くらいで購入することができるだ。
しかし、テレビカードを購入した私に後に悲劇が襲う……。

テレビカード購入後、さっそく部屋にあるテレビの横にある機械にテレビカードを挿入する。
このテレビカードを挿入する機会が結構な機械音(ウィッ ガガガガッ ヴィーンッ!!)を轟かすので、小心者の私はビビる。
起動したテレビを点けて一通りチャンネルを変えるものの、見たいテレビがない。
テレビカードの残量はもちろん削られていく。
見たいテレビがなかったらすぐにテレビカードを抜いてなんとか消費を防いだ。
これは全国の病院あるあるなのかわからないが、テレビカードの残量が残ったら返金できることも可能だったのでなるべく消費しないようにも徹底した。
そこまで長い入院生活ではないため、少しでも節約したいのだ。

トラブル


いつでも一緒だね、な点滴。入院中は相棒だった。

22時の消灯時間を迎え、12時を過ぎた時である。
そして、悲劇が起こる。
夜中に点滴をしてもらっていたのだが、なんだか腕に違和感が……。
点滴が漏れに漏れて、腕がポパイさながらの大きさに膨らんでいたのだ。

「う、うお~~~~~~!」

力こぶのようにこんもりとなっている。触れるとパンパンである。
かなりびっくりしたが、慌てながらもスマホで

【点滴 漏れる】

と検索して気持ちを落ち着かせる。(ネット中毒者の行動です)
画像一覧を見て自分と同じような症例を見つける。
点滴が漏れるとこぶみたいになるのかー。と新たな発見をする。
よ、よかった……。これは別に普通(⁈)なことなんだ……。とわかり、慌てて看護師さんへ報告する。(順番が逆だろ)

夜に担当してくれる看護師さんは忙しいようで、一旦待っていてくれと言われて待つことになる。
左腕が面白いくらいにパンパンだ……。
おもしれー腕……。(おもしれー女)写メっとこうかな……と気持ちが揺らぐが、面白博覧会に提出することもないため、やめておいた。
(※書いてて思ったのだが、今はまだ写メは通用するのだろうか……。)

しかし、待っていてくれと言われて、なっかなか看護師さんは来ないのである。
既に時間は消灯時間を過ぎた深夜1時を過ぎているのだ。
しばらくの間真っ暗な部屋で待つのはちょっと忍びないので、イヤホンをしてテレビを見ながら待つことにする。
それにしても入院ってのは不便だなぁ……とつくづく感じる。
とにかく点滴をしながら生活をしなければならないため、こうやって点滴が漏れる事態にも見舞われる。
左手がポパイの腕状態になってだいぶ経っていると、ようやく看護師さんが登場。
別室にて、点滴をしてもらう。

しかし、私がしてもらった看護師さんは点滴が苦手なようで、一度失敗した左手の点滴を抜いて、別の箇所を刺すのだが失敗。
右手へと点滴を移すことになったのだが、中々入らないので、4か所くらい場所を変えて点滴を打ち直したのだ。
それがもうクッッッッッッッッソ痛くて……。
注射は我慢できる方なのだが、点滴が上手く入らず、針が腕を何度も行き来し、ダメだとわかると、もう一度最初からが続くと、流石にしんどい……。
あと、体がキンとなる痛さが貫き、ご、拷問……!!!!!!!!!!というようだった。
刺す側も大変だが、針が体に行き来するのも中々辛い。
声を上げていいのなら、叫んでいた。
だが、歯を食いしばったりして耐え抜いた。
いくつになっても注射っていうもんは慣れねぇなぁ……。

結局、腕ではダメだ!!となり、右手の甲に点滴を打たれることになる。
利き手な上、めちゃくちゃヒットポイントに使いずらい場所をチョイス!!!!!!!

私「これって生活する時に大丈夫ですか?利き手なんですが……」
看護師さん「めちゃくちゃ不便だよ」

思わず聞いてしまったが、使いづらさの太鼓判を押される。
アッハッハ。マジか。いてぇし、使い辛ぇし、マジで入院生活始まったな!!
ぐっさりと太目の注射針が右手の甲にぶっ刺さってる。
点滴なので、当たり前だが、こっからどんどん点滴が入っていくのがわかる。
痛みとともに……。

はちゃめちゃに痛みが加わり、点滴が無事終わるとへろへろになりながら病室へ戻った。


青あざだよ~!とLINEで報告した。
何故かGIFで。

───トラブルは続く


部屋に戻ると、痛さでこれで眠ることができないので、少しテレビでも見てみようと思いテレビをつけると、テレビが点かない……。
テレビカードはしっかりと入れているのだが、テレビの画面が点かないのである……。
リモコンのみで操作できるテレビなのだが、うんともすんともいかねぇのである。
なんということだろう。
テレビ画面が真っ暗のまま、鏡のように自分を映すのみの物になってしまった……。

突如怪奇現象に見舞われ、ボロボロの両手で愕然とする。
仕方が無くそのまま就寝することになるのだが、それにしても注射された腕や手が痛い!!
術後で腹部も痛いが、両手が痛い。
満身創痍で入院2日目が終わる。


利き手が青あざまみれになる。
これも入院という勲章だ。

つづくのか……。

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