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ゴールデンサークル理論とMVCで考えるコミュニケーション戦略

はじめまして。アパレル業界に約8年在籍し、ひょんなことからAI翻訳の業界に転職、今はマーケティング会社で自社マーケをしております牧野と申します。

社会人4年目のアパレル時代。先輩との飲み会でベロベロでタクシーに乗って帰り、翌朝昨日履いていた靴がないことに気づきました。先輩に確認すると、タクシーが去った後なぜか靴が揃えておいてあったとのことで、どうやら家と勘違いして靴を脱ぎ揃えてタクシーに乗ったようです。酔っても作法を忘れない、そんな律儀な男です。

さてはて。

このnoteを書くことになったのは、BtoBのマーケティングにこそブランディングが重要だと思うきっかけがあり、実務に活かせるノウハウの必要性を感じたのでまとめてみました。

直近で3,000名規模のカンファレンスを開催予定で、このノウハウをベースに企画していますので、事例の一つとしてご参考まで。

「セミナーの集客や反応が悪くなってきた」
「コンテンツ発信をしているが反応が少ない」
などの課題感をお持ちの方の何かヒントになれば嬉しいです。

このnoteで使用したスライド抜粋

カンファレンス?「com/PASS(コンパス)」とは

https://www.plan-b.co.jp/conference/compass_202311/

ポジショントークはNGで「試したくなる知識」×「ホンネ」を各業界のリーディングカンパニーに語っていただくということをモットーに企画をしたカンファレンス「com/PASS(コンパス)」。

念すべき第1回目は「生活者に選ばれる新たなブランド体験の創造」と題し、ByteDance、LINEヤフーなどのプラットフォーマーやSNS業界を牽引するベンダー企業、さらにはクリエイティブ業界を牽引するThe Breakthrough Company GOなど、名だたる企業が登壇。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000223.000068228.html
(一部要約)

この直近で開催するカンファレンスのcom/PASS、“プロジェクト名“であり、カンファレンスだけの名前ではありません。その理由こそが本noteでお伝えしたいことです。

それでは解説していきます。

企画に至った背景

com/PASSを企画した理由は大きく3つ。

BtoB業界におけるコンテンツのコモディティ化

ユーザーにとって有益なコンテンツを届けることが本来の目的であったコンテンツマーケティングですが、マーケターの意識はセッション数、CV数、商談化率、有効商談数など自社のKPIに意識が向き、いつの間にかどのように効率化するかなどベクトルが内に向いてるのでがないかと思うようになりました。(ブーメラン)
AIの台頭もあり、ますますこの流れは加速しているように思います。

そんなことを思ったきっかけは、とある日セミナーのタイトルを考えるために「似たテーマで画像検索して参考にしよっと♪」と思い、画像一覧を見たときふと思いました。

「ほぼ一緒やん、、」

同じ様なタイトル、中を見ると同じ様な内容、ポジショントーク、⾃社サービスの出⼝ありき設計、、

あれ、、ちょっと、お腹いっぱいかも、、、

「過去に申込数多かったから」
「獲得効率よいから、また同じ内容で配信しよ」(耳が痛い)
リード数や商談数がKPIであれば、仕⽅がない視点ですが⾒る側からすると、同じセミナーばかり。

同じようなものなら、「信頼できる企業(知名度がある企業)から情報収集した⽅が良さそう」となってしまうなぁとその時感じました。
(オンラインセミナーという形式がもの新しかった時期ならよかったですが、今はそうではない)

これはセミナーだけじゃなく、様々なコンテンツにも言えることで情報が同質化することで、情報ではなくその他の部分で評価するのではないかと思いました。

以上から同質化したコンテンツマーケティングに危機感を感じた、というのが背景の1つ目。

情報の飽和により信頼できる情報源の価値が高まっている

コモディティ化していることに加えて、コンテンツの量はすごいペースで増えている。本当に価値ある情報を得る難易度は年々増している気がします。

ユーザーからすると、情報の選択にコストをかけたくないが、失敗はしたくない。だから信頼できるものを頼る。(口コミが重視されているのもこれ)
⇒情報多すぎて消化しきれない。なにが良いのかわからない。

コンテンツありきではなく、世の中の潮流や求めているものから、どのように届けるか。ここを考えない限りは、作ったコンテンツは埋もれてしまう。

世の中が求めているであろう、信頼できる情報源の必要性が2つ目です。

競合優位性の押し出し

PLAN-Bという企業は、「圧倒的な顧客志向」を体現するデジタルマーケティング会社。顧客志向を謳う企業は数あれど、実際は顧客志向に反したことをしていることはざらですが、PLAN-Bは顧客志向を地で行く稀有な企業だと思っています。

長ったらしく書いても伝わらないので割愛しますが、この企業文化を広めたいと思うほどに良い会社だと僕は思っているのですが、いかんせん伝わりづらい。

デジタルマーケティングのサービスを選ぶKBFに顧客志向を重視している企業など殆どない。自社に相談をもらってからは良さが伝わり評価いただくことが多いのですが、問題は接点を持つ前。コンペ勝率は良くても、そもそもお声かけされなければ意味がない。

こういった課題感から、どのように自社の強みを発信するか、差別化をするか、ということに悩んでいました。

以上がcom/PASSを企画することになった3つ目の背景です。(長い)

まとめると

①BtoB業界におけるコンテンツのコモディティ化
②情報の飽和により、信頼できる情報源の価値が高まっている
③圧倒的な顧客思考の伝わりづらさ

となり、図解するとこんな感じ。

この2つの円の重なりをどのように考え、伝えるか
これらが前提にあり、com/PASSの企画は進んで行きました。

そこで共感を生み行動を促す「ゴールデンサークル理論」と理論の根幹であるWhyを掘り下げるフレームであるMVC(ミッション、ビジョン、コンセプト)をベースにコミュニケーション戦略を一から考えていきました。

共感を生み行動を促すゴールデンサークル理論

優れたリーダーはどうやって行動を促すか
https://www.ted.com/talks/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action?language=ja&subtitle=ja

ゴールデンサークル理論とは、「Why(なぜ)」→「How(どうやって)」→「What(何が)」の順で物事を語理、「何をするのか」ではなく「なぜするのか」を優先して伝えることが共感を生み、人の行動を促すという理論です。Simon Sinek氏による2009年のTEDトークにて提唱された理論で、Appleをはじめとしたイノベーションを起こす企業が共通して持つ特徴として紹介されました。このSimon Sinek氏のTEDトークは、2022年現在5,800万回も再生されており、数あるTEDトークの中でも4番目の再生回数を誇ります。

https://www.unprinted.design/branding/golden-circle/

考え方は至ってシンプル。
何を(What)→どのように(How)の順番で考えるのではなく
Why(なぜ)→どのように(How)→何を(What)の順番で考えるということ。

アップルとその他の企業で比較されることが多いので、以下図にしておきます。

なぜこの考え方が人の行動を変えやすいのか。
それは、人間の脳は論理や分析を司る「大脳新皮質」、感情と行動を司る「大脳辺縁系」の大きく2層構造になっており、後者に働きかけるのがWhyだから。

https://www.unprinted.design/branding/golden-circle/

このあたりに詳しい方はこそっと教えてください。

Whyを強固にするMVC

Whyから考える重要性は先ほどの通りで、そのWhyをどのように深掘るのか。それを考えやすいフレームがMVC。
MVCというのはMission、Vision、Conceptそれぞれの頭文字をとったもの。
それぞれが決まれば、物語りやすく共感を生むWhyが強固なものになります。

MVCは事業や組織などに使われることが多いですが、今回はコミュニケーション戦略を固めるWhyのために使用。

組織=コンテンツで置き換え、このフレームを活用しています。
※ただしMissionは組織と同じもの、もしくはコアが同じである必要があります。

それぞれの関係性はこんな感じです。

ミッション(現在地、何者なのか)とビジョン(成し遂げたい未来)の差分を埋めるためにあるのがコンセプトという考え方で、横に時系列でイメージした方がわかりやすいかと思います。

この考え方はTBWA\HAKUHODOのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、細田高広さんのもの。

TBWAが掲げる「想像的破壊」のプロセスDisruption®︎。細田さんの「コンセプトの教科書 あたらしい価値のつくりかた」、もしくはNewsPicksが配信している動画コンテンツ、とても面白いので見てみてください。
※TBWAの回し者ではありません。

MVCの例として細田さんがよく解説されているエアビーはこの通り。

Mission : テクノロジーで人々を一つにする
Concept : 世界中を自分の居場所にする
Vision : 誰もが世界中に知り合いをもつ時代

それぞれを考える際ルールやポイントがあり、それらを踏まえcom/PASSは以下のように定義しました。

Mission : イノベーターを支えるイノベーター
Concept : 「試したくなる知識」と「ホンネ」
Vision : 「目的を達成できるマーケティング思考」をあらゆる人が身に付けられる時代

Missionの理由

これは自身が担当するSaaS事業のMissionであり、PLAN-Bという会社に紐づいたものであり、僕自身も共感するところ。

世界中の人々に「!」と「♡」を
私たちは誰もやらない、やるべきことに向き合い
今ある常識を変え、これからの常識をつくることで
顧客の想像を超える感動を届ける。

https://www.plan-b.co.jp/philosophy/vision/

共感する理由はアパレル時代の原体験。アパレル時代はバイヤー志望。「自分が本当に良いと思えるものを社会に届けたい」という気持ちがあり、その時から変わらず熱意ある人が生み出した生活を豊かにするものを応援したいという気持ちを持ち続けています。

Visionの理由

熱意ある「売れるはずだったもの」をなくすためには、マーケターが本質的なマーケティング思考を持つことはもちろん、あらゆるステークホルダーがマーケティング思考を持つことが重要。

これは刀の森岡さんと恐れながら全く同じ気持ち。

“本物の”マーケティングと私が申し上げているのは、広告宣伝活動をどうやるかという1部署のテクニックの話でも、1人のマーケターを雇えば解決するような個人技レベルの話でもない。それら”狭義の“マーケティングではなく、どうすれば社員一人一人が「ブランド」の完成形を意識して、個人や部門などの部分最適を超越した全社連動によってより大きな価値を生み出すのか?という、企業全体の能力の話だ。マーケティングは、マーケティング部だけでやるものでも、できるものでもない。マーケティング部だけがマーケティングをやっている会社は、実は脆弱である。

 今、多くの会社が、『本物のマーケティング』ができておらず、全社連動できずに本来の力を発揮できていない。運動会の綱引きで、個々人がどれだけ一生懸命に綱を引いても、自分の手元ばかり見つめてバラバラに引いていては勝てないのと同じだ。部分最適を考える人ばかりが1000人いても、全体最適を考える人の割合が少なければ戦いには勝てない。本物のマーケティングとは、その1000人全員に全体最適である1つのブランドの完成形を意識させて、全社の全集中によって成果を導くためのノウハウとも言える。

森岡毅が語る「売上が伸びないのはなぜか?」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00279/040800002/

Conceptの理由

本物のマーケティング力を磨くためには、テクニック偏重の知識や自社のサービスありきの情報提供ではなく、フラットであり、本質的であり、最先端の知識であることが重要と考えました。

ただ、良い知識であっても届かなければ意味がない。正論だけでは見られる理由になり得ない。

その点で、企画した背景でお話した「信頼」が重要だと思い、信頼を醸成するポジショントークNGのホンネをコンセプトに据え、情報を発信していこうと考えました。

差別化したコンテンツを発信するつもりがプロジェクト化??

MVCを整理したところで、ふと気づいたことは、コンテンツという点で考えるのではなく、Conceptを中心にコンテンツやコミュニケーション設計をすべきということ。

チャネルありきではなく、コアからチャネルをプランニングし、発信することが重要と考え、com/PASSは”プロジェクト”としました。

今後com/PASSは「目的を達成できるマーケティング思考」をあらゆる人が身に付けられる時代というVisionを達成するために活動してまいります。

この価値観に共感いただける企業様のパブリックドメイン的な役割になれればと考えています。

この価値観に共感いただける企業さまがいらっしゃれば、ご一緒にお取り組みができますと幸いです。※お気軽にDMください!

Visionという目標に向かって様々な施策を行い、自社のアセットでは難しい部分を
様々な企業さまと連携を強めていく。

最後に

noteに記載した内容はブランディングのコアな部分でありながら、一部分にすぎません。見ていただいた皆様が、ブランディングに興味を持ち知識を深めるきっかけとなれば幸いです。

最後の最後になりましたが、
このノウハウを得るきっかけとなった、The Breakthrough Company GOが運営する「The Creative Academy」を案内いただいた田中陽樹さんに、今一度御礼申し上げます。(いつもありがとうございます)


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