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チームのムードを変えるメタ・コミュニケーション
チームや組織に影響を及ぼす「対話」とは、具体的にどのようなものでしょうか。書籍『新 コーチングが人を活かす』から、その視点と事例をご紹介します。
チーム内のコミュニケーションには "慣性" が働きます。 なんとなく、昨日までのコミュニケーションを今日もチームの中で続けてしまう。
出だしは、ひとつの目標に向けて、意見を出し合い、とても活性化していたチームの雰囲気が、徐々にだんだんと悪くなる。意見が少しずつ出なくなり、微妙に関係が希薄になる。
いきなり起こった喧嘩は解決できても、だんだんと悪くなる雰囲気を改めるのは難しいものです。 "ゆでがえる" ならぬ "ゆでチーム"ーーそんなときに、チームに対して、メタ・コミュニケーション(※)をできる人がひとりいれば状況は変わります。
2015年、ラグビーワールドカップで日本代表は南アフリカに勝利し、世界の番狂わせと言われました。エディー・ジョーンズ監督やリーチ マイケルキャプテンのリーダーシップやマネジメントについては多くが語られていますが、影の立役者は "小さな巨人" スクラムハーフの田中史郎選手でした。
著書『負けるぐらいなら、嫌われる』(KKベストセラーズ)を読むと、いかに田中選手のコミュニケーションがチームを鼓舞したかがわかります。
たとえば、チームに真剣味が足りないとき
「なんで100パーセントの力でやらないんや!」と苦言を呈する。
チームを俯瞰してその状態を認識し、恐れずにそれを口にする。田中さんの強い言葉に、チームは何度も目を覚まされたそうです。
コーチング的には、認識したことを質問して投げかけます。 心の目を、少し宙に浮かせてチームを眺め、そして、気づいたことをチームに問いかける。
「最近、それぞれが意見を口にしていないと感じるんだけど、みんなはどう思っている?」
そのひとつの質問が、チームのメンバーの目を同じように宙に浮かせ、どこかで薄々気づいてはいたけれども、しっかりとは言語化できていなかったチームの状態を認識させる。
そんなメタ・コミュニケーションが、チームの状態を変えるかもしれません。
田中選手の言葉のように。
※メタ・コミュニケーション:今ここのコミュニケーションを "離れて" 観察し、そこで気づいたことをベースにコミュニケーションを交わすこと。
〜『新 コーチングが人を活かす』Skill57より抜粋編集
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