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コーチの視点から共に考えるビジネスコラム

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「Coach's VIEW」はコーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。 コーチ・エィ代表取締役の鈴木義幸をはじめ、東京、上海、バンコク拠点在住コーチが、エグ… もっと読む
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#エグゼクティブ・コーチング

「急がば回れ」が機能するとき

written by 長田祐典 「変えなければいけないのは 『変化』に対する捉え方だ。リーダーは変化を『時折、偶発的に起こる混乱』と考えるのではなく、『マネジメントの本質』と捉えるべきだ」 これは、Harvard Business Review 2017.10.26に掲載された論文の一説です(※)。あなたはこの文章をどのように解釈しますか。 私自身は、これを「リーダーは"常に"変化について考え、変化について対話し、変化を起こすことが問われている」というメッセージと捉えて

「好奇心」は何によって開花するのか?

written by 栗本渉 「コーチングを受けるのは構いませんが、僕は変わりませんよ。」 金融機関 経営幹部のA氏は初回セッションの冒頭で、こう告げました。 「人の話を聞けと言われますが、正直、気が進みません。自分は社員よりも事業を分かっている。口にはしませんけど、本心ではそう思っています。」 その言葉は、私にも本音に聞こえました。 実は、A氏には数か月前に、現場の社員へのアンケートを通じて、 業績目標への危険信号が届けられていたのですが、本人がそこに「好奇心」を向け

そのネットワークシステム、万全ですか?

written by 片桐多佳子 新型コロナウイルス第6波はピークアウトしたようですが、1日も早い終息を祈らずにはいられません。我が家でも、2月の初めに娘が保育園関連で濃厚接触者になったのを機に、家の中が何者かに侵されているような雰囲気となりました。 2月中旬には、夫と息子がコロナ陽性判定。私自身は陰性ながら、珍しく体調を崩し、それから1か月間、ひどい頭痛に悩まされ続けるという体調不良月間となりました。 このコラムの配信が残り1週間と迫った時、頭痛による睡眠不足はピーク

人は、自分が参加した対話を通じてリードされる

written by 鈴木義幸 先日、当社のイベントで、株式会社商船三井の池田潤一郎会長と対談させていただく機会がありました。 池田会長は、社長に就任された7年前からエグゼクティブ・コーチングを受けていらっしゃいます。昨年、会長になられてからは、自らがコーチとしてグループの子会社に新たに就任された4人の社長のコーチングをされるようになりました。私は現在、その4人の社長へのコーチングをサポートさせていただいています。 親会社の会長が子会社の社長をコーチする。 とてもユニ

あなたは、どのように組織に「社会化」していますか?

written by 稲川由太郎 みなさんは、社会人になって以降、何回くらい、新しい組織や新しいチームに変わった経験があるでしょうか? 転職した人は無論のこと、組織変更や人事異動で環境が変わるたびに、新しい組織、新しいチームに順応する必要に迫られた経験があるのではないでしょうか。既存のチームに新たに参画することになったとき、速いスピードで溶け込むのはそんなに簡単なことではありません。 クライアントのAさんは、昨年役員に昇進し、経営チームの一員になりました。役員という新たな

楽観的な計画を現実的なものにするには?

written by 今城直樹 新しい年を迎え、今年の目標を立てられた方も多いのではないでしょうか?  新年のご挨拶も兼ね、上海で日系企業現地法人のトップをされているA氏とお話しさせて頂く機会がありました。今年の目標を伺ったところ「現地化の推進」とのこと。コロナ禍が始まって2年が過ぎるも、日中の自由な往来が元に戻る時期は未だに見えない。駐在員の入れ替えも以前のように簡単ではない。一方、中国の業績は全社の業績にも大きく影響するため、中国市場でのシェアを伸ばしていくには、中国

「対話会」は対話する場になっているか?

written by 鈴木義幸 「対話が大事だ」と考える経営者はとても多いようです。我々のサービスについてご説明に伺うと、 「社員と対話することは、とても大切なことだと思っています。最近ね、、、」 と、ご自身の対話への取り組みをお話ししてくださる経営者が、かなりの割合でいらっしゃいます。 コロナ前は「〇〇ダイアローグ」とか「〇〇対話会」というタイトルで対面で集まる場をつくり、そこに現場の人や若手を呼んで「対話会」をしていたそうです。コロナ禍で集まることが難しい現在は、

「私とあなた」の関係性

written by 稲川由太郎 職場であなたをいつも悩ませる人は、どんな人ですか。 人の話を聞かない。 「わかった」と言ってやらない。 レスポンスがない。 仕事が遅い。 決断が遅い。 では、相手はいったいどう思っているのでしょうか。 たいていの場合、相手にもそれなりの言い分があります。そう思うと、本質的な問題は、どこまでいっても「相手とわかりあえないこと」なのかもしれません。 そもそも、なぜ相手とわかりあえないのでしょうか? わかりあえなさの原因はどこにあるのでし

今のコミュニケーションが未来につながる

written by 長田祐典 クライアントのA氏のエグゼクティブ・コーチングのゴールは、「共創する組織をつくる」ことです。 A氏は「社員全員で未来を共創する組織」を目指したいと考えていらっしゃいます。A氏がこだわっているのは、「共に何かを創り出し、部分の総和以上のものをアウトプットする」という「共創」のコンセプト。 なぜなら、A氏には自分の会社の文化が、「共創」と真逆に見えたからです。 A氏の会社は親会社からトップがやってくることが慣例となっており、A氏は初めての生

その遠慮は未来を創り出しますか?

written by 長田祐典 2015年に発表された "Dialogical Leadership: Dialogue as Condition Zero" という文献で、著者らは、今日私たちが生きる世界について、次のように書いています。 「極度に透明性が高く、 絶え間なく不確実で、即座に時代遅れになり、不可解なくらいに 複合的 (複雑)」であり、私たちが直面している数々の問題は、「複合的(複雑)で、やっかいな問題がほとんどである」と。 新型コロナ感染症への対応に代表

変容を促すための3つのポイントと2つの条件

written by 栗本渉 "The problems of today will never be solved at the same level of thinking that created them." (今日我々の直面する重要な問題は、その問題をつくったときと同じ意識レベルでは解決することはできない。) これは、アインシュタインの言葉だそうです。 逆を言えば「意識のレベルが変化すれば、問題は解決できる」。つまり、この言葉は、私たちが次元を変えて、視点を変

リーダーがよくなれば、組織は変わるのか?変革の仲間を創り出す

written by 長田祐典 『Whyから始めよ』の著者サイモン・シネックの著書に、『一緒にいたいと思われるリーダーになる 人を奮い立たせる50の言葉』という絵本があります。リーダーシップに関する絵本です。 この本には、そのタイトルの通り、人を奮い立たせる(原文ではInspireという言葉が使われています)50の言葉がちりばめられています。 好きな言葉はいくつもあるのですが、特に私が好きなのが次の3つです。 「ひとりでは何もできない だからひとりでできるというふりをし

エグゼクティブ・コーチングの進化

written by 鈴木義幸 エグゼクティブ・コーチングは、長らく「エグゼクティブである一個人を強くする」ことが目的だと考えられてきました。 「0コンマ何秒の競争にさらされているオリンピック選手のように、エグゼクティブも熾烈な競争に勝ち残る必要がある、だからコーチをつける」 エグゼクティブ・コーチングの必要性を訴えるために、こうしたメタファーが繰り返し語られてきました。アスリートにコーチがつき、その能力を最大限高めるためにコーチングをする。 特にアメリカでは、エグゼ