今のコミュニケーションが未来につながる
written by 長田祐典
クライアントのA氏のエグゼクティブ・コーチングのゴールは、「共創する組織をつくる」ことです。
A氏は「社員全員で未来を共創する組織」を目指したいと考えていらっしゃいます。A氏がこだわっているのは、「共に何かを創り出し、部分の総和以上のものをアウトプットする」という「共創」のコンセプト。
なぜなら、A氏には自分の会社の文化が、「共創」と真逆に見えたからです。
A氏の会社は親会社からトップがやってくることが慣例となっており、A氏は初めての生え抜きの社長でした。これまでは「親会社」の存在があったせいか、
- トップの意向に従う
- トップの持つ答えに当てに行く
つまり一つの「正解」に合わせて全体が動いているような雰囲気があったのです。
A氏は、目指す組織の姿について経営チームとも話し合ったうえで、その実現に向けて自らのリーダーシップを高めることをテーマに、コーチングをスタートしました。
しかし、コーチングが始まってしばらくすると、A氏が浮かない表情をして現れることが数回続きました。そして毎回「何度言っても伝わらないんだ・・・」と、頭を抱えるのです。
「何度言っても伝わらない」の後ろにあるもの
何回かその言葉を耳にした私は、違和感を覚えて、A氏に問いかけました。
「Aさんは、毎回『何度言っても伝わらないんだ』と言いますが、その言葉は、Aさんのどのような考え方からきているのでしょうか?」
私の問いかけに、A氏は最初、何か言いたそうな表情をしたものの、苦笑いをしながら言いました。
「結局、私も、これまでのトップと変わりませんね。『共創』と言いながら、私の答えが正しくて、それに従わせたいと思っている」
さらにA氏は続けました。
「実は『何度言っても伝わらないんだ』というセリフは、経営チームの議論でもよく出てきます。でも、まず私たちが変わらないと、共創する組織は実現できませんね」
コミュニケーションが変わらなければ、人の意識も組織も変わらない
A氏の言葉を聞いて思い浮かんだのは、「コミュニケーションが変わらなければ、人の意識も組織も変わらない」というコーチ・エィの組織変革の哲学でした。
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筆者情報: 長田祐典
株式会社コーチ・エィ 執行役員
国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ
一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。株式会社資生堂の営業担当として、化粧品専門店の売上拡大のためのソリューション営業を実施する。その後、コーチ・エィに入社。1万人近いビジネスパーソンへコーチングのトレーニングを実施する。現在はエグゼクティブコーチとして、多くのクライアントの目標達成を支援。組織の風土改革や社員の意識改革といった組織変革に向けた大規模プロジェクトを多数手掛けている。
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