マガジンのカバー画像

コーチの視点から共に考えるビジネスコラム

107
「Coach's VIEW」はコーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。 コーチ・エィ代表取締役の鈴木義幸をはじめ、東京、上海、バンコク拠点在住コーチが、エグ… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

「年齢」という言い訳~今やらずにいつやるのか

written by 水野裕子 まだ若いから。 もう歳なので。 あとに続くのは、どちらかといえばネガティブな言葉。幾度となく耳にし、また私自身も口にしてきたお馴染みのフレーズです。 最近、この言葉を枕詞に使う時、人はどのくらいのタイムスケールを想定しているのかが気になり始めました。どこから見て「若い」のか? 何と比較して「歳」なのか? そして、何のためにこの言葉を使っているのか? きっかけは、エグゼクティブ・コーチングのクライアントさんの言葉です。 同じ年齢なのにトップダ

あなたの言葉はあなたが思っている以上に影響を与えている

written by 長田祐典 私たちは、毎日、他者と多くのコミュニケーションをとっています。そこでは、多くの言葉が行き交います。 みなさんは、日々、どのくらい自分の使う言葉に意識を向けているでしょうか。また、その言葉が、相手にどのような感情をつくり出しているかに意識を向けたことはあるでしょうか。 「アドバイスしてもいいかな?」という一言が与える影響「アドバイスしてもいいかな?(Can I give you an advice?)」というフレーズだけで、人は、防衛体制に入

行動をデザインする

written by 今城直樹 『ドレスは、あなたを今日一番の敵のところへ向かわせる』 これは、ココ・シャネルの言葉です。(※1) 今回は、シャネルの言葉が意味することをイメージしながら、「行動のデザイン」について考えたいと思います。 行動することが大事なのはわかっているけれど私たちは誰しも「行動」が重要であることを知っています。仕事上での目標、年始の抱負など、考えるだけでは達成できません。本当に達成しようと思ったら、新たに行動を起こしたり、行動を変化させることが必要

誰が組織風土を変えるのか?

written by 桜井一紀 私たちが組織で働く理由の一つは、個人で活動するよりも、より大きな仕事ができるからにほかなりません。一人ひとり能力を掛け合わせることによって、より高い生産性を発揮し、社会に大きな影響力をもつ仕事をする。そのベースには、組織の中で一緒に考えたり、コラボレーションしたりできるという前提があります。ところが実際のところ、それがなかなか難しいのも現実です。 マシュー・サイドは『多様性の科学』の中で「米国運輸安全委員会によれば、30件以上の墜落事故が、

組織への参加チケット

written by 栗本渉 先日、日本の大手IT企業からシリコンバレーの米国企業に転身された方と、Zoomでお話しする機会がありました。 新しい職場でもっとも印象的だった体験を尋ねると、 「君はどんなビジョンを持っているの?」 と、新しい同僚たちに挨拶するたびに問われたことだったそうです。 ご本人はうまく答えられずだんだん苦しくなり、途中から、 「あなたのビジョンは何?」 と相手に質問し始めたところ、誰もが楽しそうに「Myビジョン」を語ってくれたとのこと。

その未来を選ぶのは誰なのか?

written by 青木美知子 『WHO NOT HOW』という本があります。サブタイトルは、「どうやるか」ではなく「誰とやるか」。(※1) この本の著者は、ダン・サリバンという起業家向けエグゼクティブコーチです。彼は「一人でやる」という考え方から抜け出し「誰かとともにやる」という視点の重要性を提案します。 当社のエグゼクティブ・コーチングにおいても、とても大事にしている考え方です。 「あなたは組織の何を変えたいのか」 「そのためにあなたは何を変えるのか」 「誰とやるのか

「生きて」いる人と出会うには

written by 市毛智雄 ウェルビーイング(well-being)の研究者である石川善樹氏は、企業における「人」について、「ヒューマン・リソース=人的資源」や「ヒューマン・キャピタル=人的資本」である前に、「ヒューマン・ビーイング=人」であるという観点が重要ではないかと説いています。(※) 石川氏によれば、どんな会社も、創業時は社員数も少ないため、お互いが「人」であると認識し、お互いに「どう生きるのか」ということについても考えているといいます。しかし、規模が大きくな

「退屈」を超越する新時代のリーダー

written by 内村創 「正解のない時代」といわれるようになってしばらく経ちます。世界情勢は目まぐるしく変わり、技術革新のスピードは加速、それと同時に人々の価値観も目まぐるしく変化します。 クライアントと話していると、この状況ににキリキリした思いでいる人たちもいれば、反対にイキイキしている人たちもいるように感じます。コロナ禍という歴史の新たな局面を経て、それはより顕著になっているかもしれません。 この時代にキリキリしている人と、イキイキしている人、この違いはどこから来

あなたの知らないあなたの「〇〇〇〇」

written by 片桐多佳子 読書の秋、スポーツの秋、リスキリングの秋、そして、コーチングの秋。みなさんはこの秋、何を極めようとしているでしょうか。 5歳になった娘が、今年から友だちと一緒に英語教室に通い始めました。通い始めは、レッスンを待ちわびるほど楽しそうにしていた娘でしたが、数ヵ月前のある朝、突然「行きたくない...」と、もじもじしながら言い出しました。 教室へ通う目的としては、英語を学ぶというより、友だちとの遊びの延長で英語に触れられればいいというくらいに考

好奇心はどこからやってくるのか

written by 鈴木義幸 先日、弊社に中途入社した社員がいます。彼女は外資系のマーケティング会社のトップを10年以上務めた経験をもち、営業が得意中の得意です。自分の参考にもしたいと思って、彼女に尋ねました。 「これまで営業をやってきた経験から教えてほしいのだけれど、人は何で動くものなの?」 彼女は間髪入れずに答えました。 「人は fear(恐れ)か greed(欲)で動くものではないでしょうか。ですから営業では、そこに働きかけるのが大事だと思います」 多くの経

「問い」の可能性

written by 望月寛 クライアントのAさんは、事業基盤を確立するミッションで社長としてB国に赴任しました。B国には各部門から集められた精鋭たちがすでに送り込まれており、Aさんは、多様なバックグラウンドを活かした議論が展開されていることを期待していました。 しかし実際に赴任して目撃したのは、声の大きなメンバーが主張を通し、他のメンバーは口をつぐむという光景です。その状況に違和感を覚えたAさんが各メンバーの話を聞いてみると、「コンフリクト(対立)が起きるとそのあとが大

フィードバックを自分のものにする

written by 稲川由太郎 先日、私のエグゼクティブコーチのクライアントであるAさんと、彼の上司との三者面談の機会がありました。Aさんの上司は、コーチである私に対して、「Aさんにはもっと厳しくフィードバックをしてほしい」と言います。 上司から見ると、Aさんはフィードバックをかわしたり、受け止めたふりをしているように見えるようです。 Aさんの上司の言葉を私自身の「フィードバック能力に対するフィードバック」として受け止めつつ、Aさんがフィードバックをかわしているように

一つ上の視座を手に入れるために必要な、たった一つのこと

written by 大山悠 「高い視座で物事を見れるようになって欲しい」 多くの方が、この言葉を上司や周囲の人からかけられた経験があるのではないでしょうか。また、部下や周囲の人を鼓舞することがあるのではないでしょうか。 「視座」とは、「物事を見る立場、視点(広辞苑)」です。立場が変われば、見えるものも変わります。 エグゼクティブ・コーチングのテーマとしても、「事業責任者から経営者へ」といったように、一つ「上」の立場でモノを見ることを扱うことが、多々あります。 私自

見つからない正解

written by 水野裕子 さっそくですが問題です。 優れた経営者とはどんな人ですか? 会社経営の成功とは何ですか? さて、正解は何でしょうか。 これらの問いに、絶対的な答えがあったら、どんなにすっきりするでしょう。「これさえやれば、あなたも立派な経営者になれる!」「会社経営の成功の法則100」こんなビジネス書があったら、思わず手に取ってしまいそうです。 エグゼクティブ・コーチングを通じて多くの経営者とお話する中で、こんなことを「教えてほしい」と言われることがあ