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ショートショート オバケレインコート

「アーメン」
日曜日の礼拝で、神父様が言いました。
「アーメン」
集まった村の人たちが両手を組んで唱えます。
「足元にお気をつけて。良い日曜日を」
神父様が手を振ります。ざあ。開いた教会の扉から雨の音が聞こえました。

「で、君は?」
村人たちがいなくなった教会で、神父様が言いました。ゆらり。部屋の隅で影が揺れました。
「見えてたんだ」
「見えていたよ」
レインコートを着た男の子が現れました。体の向こうが透けていました。

 先月お葬式をした子供だ。神父様は思いました。雨の日に馬車に轢かれたのです。
「お祈り、よく平気だったね」
「平気。どうしてかはわかんないけど」
「コート、気に入ってるの?」
「もう、濡れるの嫌なんだ。雨から守ってくれるから」
雨か。神父様が苦笑いします。
「脱いでも大丈夫だよ」

 雨音が止んでいました。入り口から暖かい光が男の子を照らすと男の子が溶けて消えていきます。笑っているように見えました。
「晴レルヤ」
神父様が言いました。

ショートショートNo.700

たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週のお題は「オバケレインコート」です。


先週のお題は「深煎り入学式」。小粋でポップなヒスイさんも書いています。

高校生の頃、私は紙コップの自販機は飲みませんでした。量が少ないからです。紙コップじゃないものでも、コーヒーは飲まなかったように思います。繰り返しになりますが、量が少ないから。この子達は、オシャレカップルだと思う!(全力の田舎者)