平成ホストくん

激動の平成を駆け抜けたホスト記です。 平成という多少のヤンチャは看過される時代を駆け…

平成ホストくん

激動の平成を駆け抜けたホスト記です。 平成という多少のヤンチャは看過される時代を駆け巡ったホストの実際にあったお話です。 #ホスト #水商売 #歌舞伎町 #ミナミ

最近の記事

草彅シンドローム

この頃自慢の肉体美を見せるためか、ただの趣味か分からないが酔うたびに全裸で営業していた。 俗に言う、草薙シンドロームだ。 ある日そのまま自分の客の席に戻ったら刹那、常連客の枝にパクリとブツを咥えられ、目の前に居た太客切れる。 ついでに常連客も切れる。 売り上げ月200万の損害→以後、脱ぐのはホテルまで我慢した。

    • ホストグランプリ

      2004年の年の瀬、ホスト業界である革命的な出来事が起こる。 全日本のホストの一番を決める大会が開催された。 その大会の名前は ホストグランプリ。 それまでは個人同士の売り上げの対決こそあったものの、それ以外の人としての魅力や力、総合力を量る大会だ。 審査員には加藤鷹をはじめ著名人が務める、本格的な大会。 この大会は開催前から黒い噂が飛び交うことになるのだが、この大会がホスト界に膨大な利益をもたらすことになるのだからそこは暗黙の了解。 この大会にジゴ郎は応援とし

      • ホスクラのせいで職を失ったAD

        全国放送のテレビでもホストの番組が流れるようになり、一般の人にもその大まかな業務内容が知られるようになっていた。 ホストクラブからすればタダで宣伝できるのに対し、テレビ局側も製作費がほぼかからないで製作が出来るのだからお互いにとってウィンウィンであるこの手の番組はかなり増えつつあった。 そんな中歌舞伎町で有名店であるヒモーズにも取材の依頼が来ていた。 まずディレクターが店に現れて、一通り撮影の概要を説明する。 すると下っ端ADがハンディーカムより一回り大きなカメラを持っ

        • 香典泥棒ホスト

          いい奴がいれば、もちろん嫌な奴がいる。 そんなことはこの世の中どこに行っても当たり前だ。 みんなの尊敬の的である東大にだって、極悪人はいる。 ホストなんてアンダーな世界なら尚更だ。 そんな中でも格別にひどい奴がいた。 同い年の尼崎だ。 こいつはむりくり指名客に売り掛けをさせ、その日のうちにお店で借用書を書かせる。 払えないものなら地獄の果てまでも追いかけ、借金や売り飛ばす極悪の守銭奴。 こいつのお客様はよほど痛い目を見たのか、ほとんどのがその後歌舞伎町に現れること

        草彅シンドローム

          親父の死

          親父の癌は予定通り進行し、この頃はモルヒネを服用し、シラフでいる時間も少なくなっていった。 うちの親父は入院を出来るだけ拒否していたから、末期まで在宅だった。 モルヒネでキマッている最中はパジャマの模様をお経のように読み上げたりもしていた。 しかし身体は痩せ細りいよいよまずくなると入院を余儀なくされた。 ジゴ郎も仕事でそこまで飲まない時はいつも病院に行き、差し入れを渡しすこし話をして帰る。 大人の男同士、そこまで話す内容は無い。 そんな日々が一カ月くらい経った頃、

          移籍先のヒモーズ

          前代未聞のトラブルを起こしたジゴ郎は契約解除まで二か月限定という期間を設けられて、ジゴ郎はヒモーズで働くこととなった。 もうすっかりと心はホストから離れ、契約解除期間までの消化出勤だった。 次は何をしようか。 やはり楽に稼ぎたいジゴ郎は羽賀研二みたいに人でも騙して宝石でも売ろうかなと。 そんなことを考えながらの出勤初日。 まさかの展開で最初のミーティングから歓迎を受けたジゴ郎。 さらに働いてみると、同年代の男子達が合コン感覚でホストをしている。 今まで上下関係が

          移籍先のヒモーズ

          第二部エラー完

          エラーに入ってからウマの合わない人間が大多数を占めていたが、その中でも特に合わないのが代表のカストだ。 カストは自称がっつりの九州男児で、我が強く、席では人のことをすぐ小馬鹿にして笑いにするし、人の気持ちのわからない人間であった。 ホストとしてはそこそこ成熟していたが、人間としては未熟児そのもの。 それまでに幾度もいさかいがあったがいつも部下であるジゴ朗が引き下がった形をとっていた。 そんなカストとはいつバトルロワイヤルを繰り広げてもしょうがないところまで来ていたが、

          有料
          200

          第二部エラー完

          出所祝いシャンパン

          社員旅行から帰ってくると、ある一つのニュースがテレビに流れていた。 歌舞伎町二丁目のホストクラブ社長、風俗あっせん法違反の疑いで逮捕。 容疑は台東区浅草のソープランドにあっせんした疑い。だった。 テレビで流れている映像を見る限り、どう見てもエラーの社長。 ホスラブをみると歌舞伎町ホストクラブ『エラー』社長逮捕のスレッドが乱立。 やっぱり、ウチの店だ。 ジゴ朗は思った。 ラッキー☆これで今日は休みだ。 と思ったのもつかの間。 内勤から電話がかかってきて, 本日緊

          出所祝いシャンパン

          社員旅行はハワイ?

          エラーに移籍してから間もなく、社員旅行があった。 しかし今回は前回の社員旅行のような楽しみなど一つもなかったため、本心は行きたくなかった。 理由は単純で仲のいい人間がいなかったからだ。 しかし、 そんななか朗報があった。 ちょうどその頃付き合っていた彼女がロスに住んでいたから、国内線でハワイに来てもらうことになった。 彼女が到着して間もなく、おかしな光景を目の当たりにするのである。 ハワイに到着した彼女は何故か男と一緒だったのだ。 彼女曰く、その男は多少モーホー

          社員旅行はハワイ?

          社長の写真名刺

          連日起こる社長との攻防(防戦一方)の末、弱者だからこそのテロの方法を思いついた。 武器は社長の武器でもある写真名刺だ。 相手の武器をこっちの武器に変えるとは我ながらなかなか名案。 その写真名刺を手に入れてから直行した場所は、歌舞伎町のとある駐車場。 ここで何をするかというと、ナンバープレートを見て一目で堅気の車じゃないとわかるようなフルスモークのベンツやセルシオが目的だ。 その車のワイパーの内側に、ワイパー使用時にちゃんと顔が見えるように挟む。 これはドライバーの

          社長の写真名刺

          社長のリシャールを飲み干す

          酒の強い弱い関係なく飛ばすジゴ郎は、当然のように毎日潰れる。 自宅マンションに帰ることもなく、店泊をするのが当たり前となり店にはマイ枕まで用意してあった。 その日はたまたま社長に叱咤を受け、気分が悪かった。 そして不味い酒を飲み、ふて寝(5時間)をすると 鍵係の南がいつものようにジゴ郎の帰りを待ってふて寝していた。 南も先日は飲んだようでイビキをかきながら寝ていた。 ジゴ郎は南をたたき起こし、まだ寝惚けて状況の掴めない男に対し 「おい、ここの社長むかつかね??社

          社長のリシャールを飲み干す

          優勝賞金100万円の野球大会

          エラーに入店してから一つだけ楽しみなことがあった。 それは野球チームがあり、ホストクラブ同士でよく交流戦が行われていることであった。 HOSTは他との交流も少なく、スポーツなど健全なことには無関心であったために野球の野の字も出てこない。 HOST時代からキャッチ中によくバッティングセンターに通っていたジゴ郎は この日をいつかいつかと待ちわびていた。 そしてどうしてもレギュラーで出たかったため、とんでもない嘘をついてしまうのである。 「東京代表の4番ピッチャーで甲子

          優勝賞金100万円の野球大会

          アウェーの洗礼

          移籍して初日、HOSTでナンバー1だったこともあり、ジゴ郎は当たり前のように周りからは注目される。 人生でどんな場面でもプレッシャーというものを感じたことのないジゴ郎は平然と自己紹介をし、自分の仕事に就く。 ホストクラブというものは、売り上げがあるやつやイケメンだけでは絶対に成り立たない。 (例外としてよっぽど色恋、本営が上手な人材が揃っている以外) そこで、お店を盛り上げたり会計を上げたり色恋ホストのサポートをするヘルプという役割を果たすホストが絶対不可欠で、お

          アウェーの洗礼

          第二部 エラーグループ

          エラーの社長のエラ男はファッション雑誌等に出ていたジゴ郎に元々興味があったらしく、移籍の話はスムーズにすすんだ。(共通のセフレからの紹介というのはナイショの話) おたふくというおでん屋で待ち合わせをして、その場には綾野という同世代のホストも同席した。 よく見るとその綾野はHOSTとエラーの喧嘩の時にトイレに案内したホストだった。 「君がジゴ郎ね。うちの店を選んでくれてありがとう。これうちの綾野ね。同世代だし歌舞伎町の歴も同じくらいだから仲良くしてね。」 そうエラ男が切

          第二部 エラーグループ

          さらばHOST

          ジゴ郎売れっ子ということもあり、移籍は容易ではなかった。 社長に移籍の交渉を申し込むとその日から幹部達から毎日説得や接待を受けた。 しかし、揺るがない。ホストで一攫千金という夢。 結局喫茶店で社長の私選弁護士を通し、一年の修行期間という内容でエラーへの移籍が認められるのであった。 辞めるのが決まってからはガングロ筆頭にHOSTのメンバーはジゴ郎に対して冷たかった。 千羽鶴まで作ってくれたあの優しい方々が千賀のフォークぐらいの落差で接してくる。 しかし彼らが冷たい

          大手との喧嘩

          HOSTは同業の付き合いなどを一切行っていないお店で、はっきり言うと歌舞伎町で孤立していた。 イベサーの人間や薬中がこんなに勢ぞろいしている店も歌舞伎町どこ見渡しても存在しないのでその存在自体孤立していたのかもしれない。 そんなHOSTにも一応付き合いはあった。 それはお店単位というより、ホスト個人が個人同士で付き合いをしていて徐々にその関係が深くなり、広がっていくようなものだった。 エラーとの関係は最初は個人同士がお互いの店に飲みに行ったり、一緒にクラブに行ったりす

          大手との喧嘩