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心の中にさみしがりやの虎がすんでいる styska se mi po tobe

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『ファウスト』【映画鑑賞記録#10】

ヤンシュヴァンクマイエル監督・脚本作品、『ファウスト』を鑑賞。チェコの鬼才と謳われるヤンシュヴァンクマイエル。彼の作品のうち最も有名なのは『アリス』(1988)だろうか。 あらすじは、ゲーテの『ファウスト』とはおおよそ異なる。原作が救済で終演するのに対し、こちらの『ファウスト』は悪魔の勝利で幕を閉じる。 また、主人公ファウストの悪道も強調されていない。原作の主題はそのままに、現代におけるファウスト博士の苦悩を描いているような印象。 というわけで、内容は極めてシンプル。ただ、そ

    • 去年見た夢

      うたた寝していたら、子供がいる夢を見た。 でも、その子供の記憶一切が頭から抜け落ちていて、名前さえ思い出せない。罪悪感でいっぱいだった。 家に届いていた封筒を確認したら、送り先は小学校だった。どうやら翌日から新学期が始まるようで、春休みの宿題が封入されていた。子供の名前が思い出せない。 優太だった気がして、その場にいた母親に優太のことを尋ねたら、「優太って誰?」「子供の名前すら忘れたの?」、そう難詰された。願太だったらしい。 2階の願太の部屋に入って、宿題のことを話した。申し

      • 背中に生えた羽根について考える

        スピッツの「僕の天使マリ」、その曲中のワンフレーズについて、数年前からながいこと考えている。 私は、こちらに背中を向けたマリが肩甲骨を見せている情景を想像していた。 時刻は午後の23時ごろで、消灯した薄暗い部屋に差し込む街灯の明かりが、マリの背中の輪郭をなぞる。 マリは、背中に天使の証が刻まれているらしい。 私にとって、肩甲骨は翼。ふたつの逆三角形を搭載した胴体は、腰にかけてなだらかに狭まっていく。そうして描かれる曲線を綺麗だと思う。 イカロスを宙に浮かべたような、蝋の双

        • しあわせとまどい

          実生活が充実するのはよいこと。でも、日常にこころが侵食されて創造力が擦り切れることが何よりもこわい。わたしの1番大事なもの、たぶん空想の中にある。 先述、今日の所感。 自分でもおかしな気がする。ただ、どうおかしいのか、その理屈が判然としない。延々と探し求めているのはそれ。 意味は言葉どおり。お陰様で最高な毎日を過ごしているが、その反面切り捨てられた何かの存在を想定して、焦燥感に駆られる。 私、どこをどのようにして生きているのかいまいちわからない。ずっとふわふわしている。その

        『ファウスト』【映画鑑賞記録#10】

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          『カラオケ行こ!』-不毛のすすめ-【映画鑑賞記録#9】

          和山やま原作、山下敦弘監督作品、『カラオケ行こ!』鑑賞。 どうやら先日配信されたばかりだそうで。Netflixをブラウジングしていたところ目に入り、気まぐれに再生。 普段邦画を見ることはほとんどない。数年前までは日本作のアニメ、アニメ映画をよく観ていたが、ここ最近はもっぱら洋画ばかり。 というわけで久しぶりの日本映画!それもコメディ全振り!なかなかないチョイスで新鮮な気持ちに。 原作者、和山先生の名前は以前から知っていた。数年前に『女の星の園』を読んだ時、その真面目コミカル

          『カラオケ行こ!』-不毛のすすめ-【映画鑑賞記録#9】

          『青いパパイヤの香り』-熟れを愁ふ-【映画鑑賞記録#8】

          トラン・アン・ユン監督作品『青いパパイヤの香り』鑑賞。1994年の日本公開に一年先立ちフランスで初公開。監督は出自をベトナムとし、12歳のころにフランスへ移住したそう。作品から漂うパリ風の気品はそうした背景によるものなのだろうか。 人心が紡ぐ繊細な人間関係、洗練された美術が印象的。さらに、目を引くのは異国情緒に富んだベトナムの風情。植物、インテリア、調度品に反映されており、自然と調和した品の良い雰囲気に心が躍る。 奥ゆかしい世界観と同様に、起伏が目立たない穏やかなストーリー

          『青いパパイヤの香り』-熟れを愁ふ-【映画鑑賞記録#8】

          【続】gnたべっ子水族館

          先日、これからずっと大事にしていきたいキーホルダーを手に入れた。 (気持ちのたかぶり、下記記事参照のこと) 無くしたり汚したり傷ついたりしないように、持ち歩くのはやめて、箱入りかれいにしていた。(室内安置) でも、今日は萎えの金曜日だったのでかれいを携えて通勤。 その矢先、案の定満員電車で落としてしまったもよう。泣 出会ってまだ1週間さえ経っていないのに。大事にするって決めたのに、約束破ってごめんなさいの気持ち。かれいを譲ってくれたお友達にも謝罪。 やっぱり満員電車は滅びた

          【続】gnたべっ子水族館

          gmたべっ子水族館

          おととい、大好きなお友達からやばいキーホルダーをもらった。 やばすぎる、狂ったデッサン、最高、 顔面の片側にすべての顔のパーツが配置されている、やばすぎる、意味わからなくてかわいい。泣 能天気な笑顔もまたキュート、抱きしめたくなる、なんて愛くるしいかれい(画像左)。 お友達曰く、たべっ子どうぶつのキャラクターマスコットは、水族館シリーズの方が趣があるらしい。その中でもかれいのキャラデザが群を抜いて奇抜な気がする、最高。おもしろすぎる。 あと、まんぼう(画像右)もいただいた

          gmたべっ子水族館

          『ファンタスティック・プラネット』【映画鑑賞記録#7】

          『ファンタスティック・プラネット』(1973年初公開)鑑賞。フランス人作家のステファン・ウルによる長編小説をアニメ化した作品。しばしばネット上で話題にあがるので長いこと興味があった。Amazon primeで公開されていた折に。 見はじめて真っ先に感じたのは東欧趣味。制作国にはフランスとの表記が。フランスにもここまでニッチな世界観があるのかと、少し意外。 おそらく色彩や画風からチェコの人形劇や、ヤンシュヴァンク・マイエルあたりの雰囲気を嗅ぎ出したのだろう。(この頃『ファウス

          『ファンタスティック・プラネット』【映画鑑賞記録#7】

          『桜桃の味』-ひとつ未練があればいい-【映画鑑賞記録#6】

          イラン出身、アッバス・キアロスタミ監督作品『桜桃の味』(1998年公開)鑑賞。 同監督作品では『友だちのうちはどこ?』、視聴済み。主演の子役が可愛らしくて印象的だった。 イランの風景にもペルシア語にも馴染みがないと思っていたけど、そういうものの風情にもたらされる心の動きは世界共通なようで。中東諸国がすぐ近くに感じられる作品。 あらすじは淡白。ある種ロードムービーのよう。または登場人物の顔を映す端的な構図にドキュメンタリーらしさも見出せる。ドラマティックではない。 死を思い

          『桜桃の味』-ひとつ未練があればいい-【映画鑑賞記録#6】

          先週の雨の日、足元の水たまりの中に無数のアラベスクが浮き上がっていた。後になり、それが雨粒につくられた波紋だと気付く。キャンバスの中に現実があるみたい。 装飾紋様に包囲されてるようでちょっと怖かった。

          先週の雨の日、足元の水たまりの中に無数のアラベスクが浮き上がっていた。後になり、それが雨粒につくられた波紋だと気付く。キャンバスの中に現実があるみたい。 装飾紋様に包囲されてるようでちょっと怖かった。

          『私の20世紀』【映画鑑賞記録#5】

          1989年公開、ハンガリー出身インディゴー・エニェディ監督作品、『私の20世紀』の鑑賞記録です。 原題は『Az én XX. századom』。ローマ数字表記が格好いい。 まだまだ上半期も終えていないのに2024年でみた中で一番好みな、それどころか自分のお気に入りの5本指に入りそうな作品と出会えました。嬉しい。本文の方もなにやら長くなってしまいそうな。 世界観は幻想的、SFっぽい。寓話と科学が調和している。退廃的かつ官能的。作品の舞台はベル・エポック(「良き時代」)。19

          『私の20世紀』【映画鑑賞記録#5】

          『求婚』【映画鑑賞記録#4】

          クリスティナ・ゴダ監督作品『求婚』の視聴記録です。 舞台は1920年代のハンガリー(らしい)。マジャール語です。あまり耳馴染みのない言語。 背景美術の方はというと全体的にクラシカルでお上品。現実(現代)離れしています。戦後とは思えない平和な世界観。 また、ハンガリーといえばドナウの真珠と謳われるブダペスト。 この都市を舞台にした『桃色の店』、そのリメイクである『グッド・オールド・サマータイム』の2作品がとても好きです。朗らかで可愛らしいハリウッド映画。 以下、簡単なあらすじ

          『求婚』【映画鑑賞記録#4】

          猫になりたい

          表題、1994年リリースのシングル「青い車」に収録された一曲のタイトルです。 私はスピッツが大好きです。 スピッツというか、スピッツの曲が大好き。 ライブに行ったことはありませんし、草野マサムネの名前しか知りません。 それでも大好き。 悲しくなったらスピッツを聞いて、余計に切なくなって、そうやってデトックスしてきました。 私の生きた世紀のなかの1000分の1くらいの責任を負ってもらっています。 (私の人生のすべてランキング1000にスピッツの名があがるということ) とり

          猫になりたい

          オートクチュール【映画鑑賞記録#3】

          2021年公開、シルヴィ・オハヨン監督作品『オートクチュール』を鑑賞しました。 舞台はフランスのパリ、高級ブティック街モンテーニュ通りにただずむDiorのアトリエです。 このオートクチュールメゾンでお針子として働く女性らを中心とした群像劇が描かれています。 タイトルといい舞台といい煌びやかな雰囲気がありますが、焦点は個々の人間の心情に充てられており、Diorの固有名詞に連想するような絢爛豪華さはそれほど感じませんでした。 そうは言っても、ここで取り扱われる繊細な服飾たち、洗

          オートクチュール【映画鑑賞記録#3】

          マッチ工場の少女【映画鑑賞記録#2】

          アキ・カウリスマキ監督作品、『マッチ工場の少女』の鑑賞記録です。 カウリスマキ作品は他にも何本か視聴しましたが、こちらの『マッチ工場の少女』が一番好みでした。 他に『浮き雲』(希望に満ちたエンディングに意外性あり)、『パラダイスの夕暮れ』(渋い男たちの義理人情あつい)も良かったです。 本作も、他作品同様ダークで毒っけのある世界観です。ドロドロしたやつじゃなくて、劇物っぽい刺激的な毒。 あとは、なんといってもシニカルな軽薄さがたまりません。飄々とした雰囲気に惹かれる。 あら

          マッチ工場の少女【映画鑑賞記録#2】