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世界政府をSFを使ってプロトタイピングできるのか?

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危機を母に

危機を母に

以前、SFに出てくる地球政府(世界政府)はその存立のプロセスが描かれないと書いたが誤りだった。田中芳樹の銀河英雄伝説では世界大戦の結果、危機に瀕した人類が、その回復のために団結して作り出した旨が少しだけ触れられていた。

基本的には、危機の反動から求心力が発生したとする動機が、世界政府を生む母になるというのが理解なのかもしれない。

そのようなドラスティックな対立(第二次大戦クラス)が再び発生する

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世界政府と民衆

世界政府と民衆

既存の国家が、その利害調整を個別の国家外交に寄らず、調整する機関が国連だろう。国連はその「主権」を国家に帰属している。その最高機関は、国家単位で派遣された寡頭の理事国制度に頼ってる。常任理事国の権限は非常に大きい。

社会契約論的に、集団として契約を結ぶ対象が国家ということになっているが、これは1762年にフランス革命の背景になった思想がベースだ。258年前の理論だ。

これ以来、本質的な「社会」

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世界政府に近づいた帝国

世界政府に近づいた帝国

陸の覇者「モンゴル帝国」(13世紀)、海の覇者「イギリス帝国」(20世紀初頭)、この時間を隔てた2つの帝国は世界面積の22%を超えた領土を手中にした。

モンゴル帝国はその占領地を、血縁で統治する4つの領域に分割した。世襲を基本とすると、その領土は散り散りになった。また、日本やベトナムといった海上戦力が必要となる島嶼部で敗北し、拡大の限界点となったように思う。

一方、イギリス帝国もヨーロッパ大陸

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世界政府の主権(主権者)

世界政府の主権(主権者)

民主主義なのだろうか?だとすれば、世界政府議会というものが存在するのだろうか?誰が(or 何が)支配しているのだろうか?

国連総会のように各国1票ずつ持ってるように、今の国家が移行した自治体が投票して物事を決める形であろうか?

「主権」@Wikipediaより
主権の基本的意義とは、「国家(領土・領海・国民・国家体制など)を支配する権限」である。いいかえれば、一定の境界(領界)をもつ基盤的な集

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世界政府の軍事力

世界政府の軍事力

そもそも「軍事力」と表現するのが正しくないかも知れない。世界政府が誕生したなら、その構成メンバがどのように設計されているか分からないが、利害調停や反政府的な活動を取り締まるための「調停力」「警察力」が必要となるのは自明だと思う。その力の源となるべき暴力機関は当然軍隊であり、その軍事力はどのようなものになるのだろうか?

「沈黙の艦隊」の中での構想かわぐち かいじ作の漫画の中で、「軍政分離」の概念上

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SFに出てくる世界政府と僕らの世界

SFに出てくる世界政府と僕らの世界

考え始める切っ掛けは、こういうことだった。有名な日本のアニメの中の世界政府はどれも成立後の物語ばかりだけど、そもそも統一政体が生まれるまでを空想するSFって無いという事に気がついたからだ。

1. 宇宙戦艦ヤマトの地球連邦
2. ガンダムの地球連邦
3. 銀河英雄伝説の地球統一政府

確かにゲームなどでは、米国とユーラシア大陸の大国の戦いを描くものは多いが、統一を夢想するSFは無い。出てくる

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