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ポケットにカメラを忍ばせて #3

モンゴル大草原には何があるのか?


レース2日目。

昨日は初日ということもあって、スピードや現地の状況に慣れるため、撮影する余裕がほとんどなかった。

なので、今日は良い景色があったら積極的にバイクを停めて、撮影していくつもりである。カメラはリコーのGR。ヘルメットをつけたまま、このカメラをPモードにセットして、どんどんと風景を切り取っていく計画だ。

キャンプ地にはSonyのα7Rも置いてあるが、それはバイクに乗らない朝と夜限定になるので実質的にはほとんど使えない。三脚を持ってくるほどやる気満々だったけど、やはりレースが始まると集中力がそちらに持って行かれてしまうのはやむを得ないか。

日本ほどの蒸し暑さはなく、暑いとはいえ、朝のモンゴル平原は気持ち良い。アクセルをワイドオープンにして、凸凹道を100kmオーバーのスピードで突き進んでいく。危険なので石ころにだけは乗っからないようにしないとね。

さて、舗装路のない草原地帯は延々と続く。この広大な地帯には一体何があるのかだろう。一切の誇張なしに、見渡せる限りの全てが地平線。多少の丘の膨らみでもあれば話は別だが、本当に何もない場所では、目をつぶってグルグルと体を回すと、自分がどっちの方向から来たのかわからなくなってしまう。そのくらい360度、同じ景色が広がる(それでも走っていて飽きないのが不思議です)

もちろん、そこまで極端な場所ばかりでもなく、草原には家畜を飼う遊牧民のゲルや井戸が散見されるし、小川も流れていたり、岩だらけの山が恐竜のように並んでいる場所もある。辺り一面ゴルフ場かと思うような草原もあれば、砂丘や切り落ちた崖もある。本当に様々だ。

それでも、ここには何もないという印象が強い。はたまた、オフロードライダーが好む全ての道があるとも言える。

驚いたことに現地の人々は、この凸凹道をトヨタのプリウスなどでスイスイと運転していく。スコールでも降れば辺りは一気に沼と化しそうなものなのに、スゴすぎる。(モンゴルはプリウスが国民車のように大人気だ)

また、夜の運転も平気らしい。道がないのでカーナビは使えないし、当然街灯も一切ない。目の前の起伏の先が切り落ちた崖ということも当たり前の場所。真夜中の太平洋を小型ボートで進むようなイメージかもしれない。怖すぎる。

そして、ここを地元の車やトラックが繰り返し通過することによって、その轍が道跡となり、そこが砂漠の中の道へと成長していくのだ。

だがやがて大雨が降れば、黒板消しで拭ったかのように道が消え去り、また新しい道を刻んでいく。

そんな道がこの砂漠には何本もある。

(続く) 

写真はインスタでもご覧いただけます。
https://www.instagram.com/___hedon___/

ここは大通り? くっきりとした轍の跡が何本も走っている。通常はもっと薄い轍が多い。


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