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「いじわるな遺伝子」


幸福

・豊かさと幸福度は、比例して増えるわけではない。

深く、長きにわたる幸福は、物質的な環境からはもたらされない。
人々を幸福にするのは、お金やテレビや車を「手に入れる」ことであって、それらを「持っている」ことではないのだ。

p128

刑務所

・毎日同じメンバーと顔を合わせなくてはならない環境では、自尊心と名声は非常に大切なものになる。刑務所、会社、学校など

ネルソン・マンデラが投獄された最初のころ、看守は在監者全員を走らせようとした。

マンデラは仲間たちに警告した。「脅しに屈してはだめだ。いつものゆっくりした速度で歩きつづけろ」と。もしその日走ってしまったら、そのあと毎日走らされることになるのが目に見えていたのだと、マンデラはのちに説明した。

p282

・シベリアの強制収容所

公式にはフィクションとされているが、作者(アレクサンドル・ソルジェニーツィン)の個人的経験が元になっている。

 眠りにつくときイワンは「十分満ち足りて」おり、「今日は雲ひとつなく、おおむね良い日であった」と結論する。なぜ彼は、落ち込まずに満ち足りているのだろうか。収容所に来て長いイワンは、ひどい食事もきつい労働も寒さもすっかり熟知している。こうしたひどい状況をすべて予想していたおかげで、ほとんど辛さを感じなかったのだ。

p148

こちらの小説では、主人公がひどい環境に身を置きながらも「幸せ」であることに焦点があてられているという(未読なので早速注文した)🐰💬


身体

・1981年にIRAのボビー・サンズがイギリス政府への抗議活動としてハンガーストライキを行ったところ、餓死するまで66日かかった

人々の多くはおそらく、一片の食べ物も口にしないでも2ヶ月以上(快適にとはいかないだろうが)ともかく生き長らえてしまうことだろう。

p25

「貯金ができない」「ダイエットに失敗する」
この2つは同じことだという説明。

・冷蔵庫のない時代、食料が貯蓄できない環境では「食べて脂肪にする」ことが将来の飢餓から守る行動となるので、手元にある食べもの(=財産)はすぐに消費してしまうのが最善だったのだ。


テストステロン

・去勢された男性は15年ほど寿命が延びる
事故によって睾丸を失った人や宦官のデータからの推論。去勢されたペットも長生きする。

たとえば、オス猫の寿命を伸ばす絶対確実な方法のひとつは、テストステロンの源泉を取り去ることだ。

p163

調べたら、睾丸摘出は性同一障害でなくても受けられるらしい。


・筋肉を増やすためのステロイド注射(=テストステロン)を常用していると、体がテストステロンの生産量を減らそうとするため、製造工場である睾丸が小さくなってしまう。

先のキャプテン・アメリカが筋肉増強剤を断ってから、睾丸がもとの大きさに戻るまでには数週間ほど必要だ。

p88

(筋肉増強剤を注射する人々は寿命が短くなる?と思って、webで調べたが良い記事は見つけられなかった)🐰💬


ドラッグ

・ヘロインやアルコールは耐性がつくため、同じ効果を得るまでに必要な摂取量がどんどん増えるが(ヘロインは1万倍)カフェインは10〜15倍を上回ることはほとんどない。

また、カフェインは精子にも効く

濃いカフェイン液にいったんつけられた精子の群れは、いつもより早いスピードで、体を元気に振りながら泳ぐ

p75

・酒好きのラットは、幸せを感じにくい?

数人の科学者が酒の好きなラットを繁殖させようと企てた。

興味深いのは、これらの酒好きのラットの脳内では、幸福の神経伝達物質であるセロトニンの生成が異常に少なかったことだ。

p91

・脳の偏りによりドーパミンに反応しにくいタイプの人は、強い刺激を求めてリスクの高い行動をする(=リスクテイカー)
辛いものが好きな人も多い。

危険な行動は、ドーパミンの報奨システムを刺激する。ところが、人によってはこのシステムに生まれつき不全があり、危険を冒したことで得られるはずの快楽信号が弱められてしまう。

p108


家族

遺伝子のおとぎ話は「ふたりは結婚して、末永く幸せに暮らしましたとさ」という幸福な幕切れにはならず、「ふたりは結婚して、子どもが生まれ、子どもが生まれ、また子どもが生まれ……」とつづいていく。

p210

・女性の多産記録は69人(フョードル・ワシリエフ

現在のところ、多産の世界記録保持者はフェオドール・ヴァシレフの夫人で、産んだ子どもの数はぜんぶで69人、妊娠した回数は27回だ。男性のほうでは、皇帝ムーレイ・イスマイルのハーレムで計888人の子どもが生まれたという記録がある。

p172

・夫以外の男性から生まれた子供の数は、平均して10%といわれている。

悲しいことに、こうした父親が真実を知らされるのは、病気のわが子に腎臓や他の臓器を提供しようとしたときなのだ。

p206


殺人

・全米で発生する殺人のうち、4分の1は家族のあいだで起きているが、ほとんどのケースで血が繋がっていない。夫の妻殺し、妻の夫殺し、連れ子など。

1972年にデトロイトで起きた98件の家族殺しについて調べた研究がある。
それによれば、少なくとも76件の犠牲者は加害者と遺伝子を共有しない関係にある、配偶者や義理の親戚にあたる姻族だった。

p241

・逆の事例として、血が繋がった「母の子殺し」について

アメリカにおける1983年から1991年までのすべての出産を網羅した調査によれば、2776人の赤ん坊が母親によって殺されていたという。(中略)

人間の嬰児殺しについて行われたもっとも包括的な調査によれば、母親が自ら手にかけるのは、子供を養うのが不可能なときに生まれた赤ん坊だという。

p247

赤ん坊を育てるかどうかは、そもそも母親の裁量なのだという話も。

 多くの文化において、赤ん坊を生かすか否かは完全に母親の裁量であり、まわりは母親の決定を尊重する。

たとえば、クン・サンの女性のお産にはふつう、産婦にもっとも近い血縁の女性がひとり付き添う。もしも母親が赤子を抱えて人々のもとに戻ってきたら、その赤ん坊は人として認められる。もし母親がひとりで戻ってきたら、事情のいかんにかかわらず子供は死産だったことになる。

p248

kindleもなく、古本でしか手に入らないのですが面白くてオススメです。NHK出版の書籍は絶版になることが多いですね、。


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