毎週発信で2年継続するCookpad Design Magazineのしくみ
発信をはじめるのは簡単だけど、継続するのはたいへん…!
こんにちは、デザイン戦略部の倉光 @transitkixです。今日はこの記事も登録されています「Cookpad Design Magazine」についての話。
毎週デザイナーが次々と登場し、現場でのデザインの取り組みについて紹介しているマガジンで、現在123記事が掲載されています(※2021/09/15現在)。
2年ゆるゆると続けられているのも、いつもさまざまな反応をくれる読者のみなさんのおかげです、どうもありがとうございます🙏
最近ではこのマガジンについて他社の方々から質問される機会が増えており、今回はよくある質問とその回答をそのまま公開します。組織からの継続発信に悩める誰かのヒントになれば幸いです。
まとめ
はじめに結論を書いておきます。
Cookpad Design Magazineのしくみ
・目的は「デザインに対する定期的な知見のアウトプット促進」と「デザインする仲間をふやす(採用)」の2つ
・全デザイナー参加で、年間で公開予定日が決まっている当番制
・会社の発信ではなく、あくまで「デザイナー個人の体験」の視点から綴ってもらう
・Botがスケジュール担当としてサポート
さらに詳しく知りたい方は、以下に行ってみましょう👇
Cookpad Design Magazineについて
Q. マガジンをはじめたきっかけは何ですか?
もともと昔から社外発信を積極的に行う文化があり、ルーツはエンジニアが運営しているクックパッド開発者ブログでデザイナーも記事を書きはじめたのがきっかけです。
2019年、「各デザイナーが個人アカウントで書いた記事が一つにまとめられる」というnoteのマガジン機能が求めていたものにぴったりだったのでお引越し。そのタイミングで現在のしくみを倉光が設計し、全社デザイナーに説明会を行い開始しました。
Q. 誰が運営していますか?運営自体には、月にどれくらい時間かけてますか?
マガジン運営は、デザイン戦略部が責任を持っています。立ち上げ期にしくみの考案などには多少時間を使いましたが、現在は1ヶ月に15分以下程度で運営自体にはほぼ手をかけていません。
Q. 記事公開までのフローを教えてください。
各デザイナーは、以下のような流れで記事を公開しています。
(※初回のみ noteの個人アカウントを開設する)
1.何を書くか自分でテーマを決める
2.noteに記事を執筆する
3.限定公開で、関係者からレビューをうける
4.記事を本公開する
5.Slackのデザインチャンネルで デザイン戦略部にメンションし、「マガジンに追加してください」と依頼する
6.デザイン戦略部が中身を確認して、マガジンに登録する
Q. テーマに決まりはありますか?
デザイナーには「あなたが手がけたデザインの取り組みとその成果について触れてください」とお願いしています。
ここで大事なことは、発信者は「クックパッド株式会社」ではなく「クックパッドでデザインしている私」であること。肩肘張らずに、等身大で自分自身がデザインに込めた想いや学びについて内省します。関わったのが巨大プロジェクトであっても、その中で自分で見て感じたことを素直に書けば良いのです。これにより、執筆ハードルをぐんと下げています。
Q. なぜみんな書いてくれるのですか?
この理由は至ってシンプルで、当番制だからです。年間で全デザイナーの公開予定日が予め決まっています。
Google スプレッドシートに担当日がリストアップされています(なぜ2週間前、3日前について記載されているかは後述)。現在約30名のデザイナーがいるので、毎週金曜日公開で半年おきに当番が回ってくる頻度です。
もちろん当番じゃなくても、書きたいことがある人は都度公開してOKです。おいしいたべかたチャレンジドリル「たべドリ」のデザイナー須藤は、先日突如podcastのジングルを作った話をマガジン登録してきました。とても自由ですね。
ちなみにクックパッドのデザイナーの能力定義では
経験知の共有や育成への積極的な関与などを通して、デザイン組織全体の成長に影響を与えられる
という項目があり、noteも経験知の共有の一つの手段として奨励されています。
Q. 書くの大変じゃないですか?
大変です!!!私自身も、毎回直前までカバー画像作ってたりバタバタです…みんな業務の合間を縫って渾身の一記事を書いてくれているので、年に一度デザイン組織内で表彰も行なっています。
Q. 当番を忘れない、そっと投稿を促すコツはなんですか?
公開予定日2週間前と3日前に、Slackのデザインチャンネルで「noteリマインダー」なるBotが通知してくれます。180人近くいるチャンネルで告知されるので内心焦ります。
裏側のしくみは、先程のGoogleスプレッドシートの日付になったらSlackでbotが発言するZapierを走らせています。(この辺りは、エンジニアリングもやるデザイナー 茅島 がよしなにしてくれました)
Q. 公開前に、広報部など会社の公式なチェックは受けていますか?
広報チェックはしていませんが、必要なレビューは執筆者に自発的に実施してもらっています。
例えばプロダクトの施策に関する記事であれば、「事業部としてこの情報を公開しても問題ないか?」は部長/リードデザイナー/チームメンバーなどに見てもらっているようです。また、チーム外で身近に相談しやすい人として師匠制度の師匠に相談している人もいました。
マガジン登録権限はデザイン戦略部メンバーが持っているので、登録作業時にごく簡単なレビューを行っています。…とはいえ基本スタンスとして、個人アカウントでの発信ですのでそこまで厳しくはみていません。
なお例外として、初めて執筆する人にはデザイン戦略部でもしっかりとした事前レビューを必須としています。
☑️ 事前レビューで見ているポイント
・読み手を意識した記事になっているか(誰に何を感じて欲しいかが明確)
・クックパッドが大切にしている価値観から逸脱したトーンになってないか
・公開されている数値について問題がないか
・画像や引用内容について、権利関係をクリアしているか
・誤字脱字はないか
Q. 公開が遅れたり、書いていない人はいますか?
開発佳境で執筆時間がない、書きたいネタはあるがまだ社外公開できるタイミングではない…なんてことはありますよね。なので、宣言して公開日を遅らせたり、誰かと当番を交換することは特に問題なしです。
ちなみに「書くことがないです」というのは、すこし厳しい見方をすると「半年間、個人的な学びも成果もなかった」と同義になりかねないので、自己のタイミングでいいので書くことを促しています。
(書いてない人は、ここみてたら書こうな〜!)
Q. どんな記事に反響が集まりやすいですか?
「想定する読者像」と「その人に伝えたいメッセージ」、執筆者がこの2つを明確に持っている記事。これを念頭に書かれた記事であれば、経験年数に関係なく、若手デザイナーの記事であっても反響があります。
Q.何かしらの効果を実感していますか?
ひしひしと感じています。
デザイナー採用活動という観点では、現在もっともROIの高い取り組みだと思います。デザイナー1人1人の体験記が積み重なることで、インターネットを通じてもデザイン組織の全体像や雰囲気が伝えられているようです。最近では新卒/中途採用限らずエントリーしてくださる候補者さんはほぼ100%見てくださっていますし、採用オファー時にも隅々まで読んでクックパッドで働くことを決断してくださっています。
また、発信した情報をきっかけに社外からさらに有益な知見などをいただいたりクローズドな技術勉強会に発展するケースも多いです。
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…以上、また質問いただいたら追加します。
こういった取り組みは、採用関係者だけで頻度高く発信を継続するのは難しいなと感じています。いいプロダクトを作る/打ち手を増やすための手段の一つが、仲間を増やすこと。なので、メンバー全員に活動を理解してもらいつつ、これからもこつこつ更新を続けていきます。
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