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バトルショートショート

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ショートショートで戦闘描写を書くための場所。
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2019年5月の記事一覧

バトルショートショート   ――『C』VS『D』――

「はじめまして、私の名前は泥《ディー》。備《ビー》の生徒です。あなたの名前も聞かせて欲しいな」

そう言って差し出された手を見た弑《シイ》は一瞬硬直。
彼の脳内に疑問が渦巻く。相手の行動が不可解すぎた。

姿勢正しく立つその姿は隙だらけだ。
己より早く体勢を立て直せていたにも関わらず追撃をしてこない、どころか、攻撃する素振りすらない。こちらに手を伸ばしているが拳が握られていない、では手刀を作ってい

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バトルショートショート   ――『D』――

バトルショートショート   ――『D』――

久しぶりに会った栄《エイ》と備《ビー》は、向かい合ったまま互いの近況報告を始めた。
その間身体が暇を持て余していたため――否、特に理由などなく、両者はどちらともなく戦闘を開始。近距離で軽く、しかし一手間違えれば致命となる攻撃を互いの急所目掛けて繰りつつ会話を始めていた。

初めは緩やかに軽く、次第に鋭く、激しく。
腕や足が交差する度に空間に金属バット同士をかち合わせたような硬質音が響き、その音も段

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バトルショートショート   ――『A』VS『B』&『D』――

どれくらいの回数、弑《シィ》は栄《エイ》に砕かれただろうか。
100回か。
1000回か。
10000回か。
もはや両者覚えていない。気にもしていない。
継ぎ目のない女性型マネキンと、継ぎ目のない少年型マネキンの終わり無き武闘。

その最中だった。

「おー、やってるね。調子は如何?」

寸前までなんの変哲もなかった、何もない空間から飛び出した白い右腕、その拳が唸りを上げて栄に向かう。
狙うは鳩尾

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変化、ギャップ、山と谷

弑《シィ》が栄《エイ》と繰り返し戦う中で学んだこと。

一つ、迂闊に攻撃すると次の一撃で死ぬ。
弑が栄に対してまともに攻撃できたことは、初回の顔合わせを除くと結局一回もない。あれ以来彼女は弑の攻撃その全てを避け、捌き、少しでも隙が生じた場合、続くカウンターの元一撃で彼を粉砕している。

一つ、弑の攻撃が当たっても効かない。
ガードの上から殴っている、蹴っていることを鑑みてもまるでダメージが通ってい

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バトルショートショート   ――『A』VS『C』――

弑《シィ》の両足蹴りが栄《エイ》の鳩尾に当たった。

きぃん、と耳障りな音を立てて弾かれる。
栄は棒立ちのままだ。少し体勢を崩したが、白い陶器のような身体には罅さえ入っていない。

地面に落ちた弑がそのままの姿勢で栄の足元を刈り取った。
転倒する栄、その上に馬乗りになり、弑は拳を振り降ろす。
ガキンガキンと硬質な音が響く。
栄が腕で顔を守っているが、その上から延々と殴る。殴りまくる。
一方的な展開

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雑記その5、ショートショートを書こうと思い至った。

なぜならストレスフリィイイイーー! だからだ!

加えて! 起承転結とか、話をまとめるとかのイイ練習になるからなあ!

しかも! 連載ものと違って一話完結なので設定の矛盾とかが起こりにくいぞ! (^○^)/

連載ものは基本大変である。
新しいエピソードを書く際に前後の繋がりや全体から見た位置づけとかを気にしなければいけないのが個人的になかなかレベル高く感じる。
ちなみに解決方法は先にプロットとい

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バトルショートショート   ――『A』VS『B』――

バトルショートショート   ――『A』VS『B』――

栄《エイ》と備《ビー》は相対していた。

両者、互いに顔無しのっぺらぼう。白い光沢を持つ継ぎ目のないマネキンのような姿は、見る者に艶やかで硬質な印象を与えるだろう。

ただ、そのシルエットは明らかに備が男性型、栄が女性型であった。
備の髪型が坊主な一方、栄が白の長髪である点も、男女で分かれている印象を助長させる。

「……」

「……」

無言で両者は拳を構える。正面、1mの至近距離。

先に動い

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