「OODAループ」考察編

みなさん、「OODAループ」って聞いたことありますか?

最近日本にも徐々に導入されている概念で、
VUCAの時代にパフォーマンスを発揮するために必要な
アクション重視型のフレームワークです。

日本ではPDCAが最も認知されていますが、
それもここ最近では、通用しないという記事や書籍が増えて来ています。

私もたまたま見た記事で気になり書籍を購入。
その実用性の高さ(まだ感覚的認識ですが)に深く共感し、
追加で関連書籍を購入して学習を進めている段階です。

かなり概念的なフレームワークで、
習得には実践量が必要ですが、
非常に理にかなっていると感じています。

年末から学習を始め、
目標としては具体的なアウトプットを含めて投稿したかったのですが、
まだ本格的な理解も含めて少し経験量が必要だなと思い、
思考整理を目的に考察編として投稿します。

詳細については書籍をご参考いただき、
ここではポイントだけまとめます。

■参考書籍
OODA LOOP(ウーダループ)  著者:チェット・リチャーズ
OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル
 著者:入江 仁之さん

「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント
 著者:入江 仁之さん


1.OODAループとは

元アメリカ空軍大佐 John Boyd(ジョン・ボイド)氏が、
空中戦での勝率を最大化するために発案したフレームワークです。

彼が率いた実際の空中戦では、このフレームワークを活用し、
敵機1機を平均約40秒で撃破するという、
とてつもないスピードと勝率を残す実績
を収めており、
現在ではアメリカ軍では勿論、
ビジネスにおけるフレームワークとしても転換され、
シリコンバレーでも活用されているようです。


2.OODAループの5つの構成

OODAループで最も重要な要素は「スピード」です。
アクションと成長のスピードの最大化に重きを置くということを大前提に、
その構成を理解する
ことが必要です。


#みる Observe 
観察、本質を見極める、判断に必要な情報を集めること

気づくために意識して、神経を研ぎ澄ませて「観る」 
-現実をあるがままにとらえるために、主観を排し客観に徹する 

予測や机上の空論ではなく、
実際に何が起こっているのか、を観察し
本質を理解することです。


例えば、
他人の意見や事象に対して、
実際に(あるいは深ぼって)見たり聞いてみたりしたら、
想定していたことと全然違った、
という経験が皆さんにもあるのではないかと思いますが、
これは「観る」ことにはなっていません。

現実に起こっていることは何なのか、
本当のところはどうなのか、
をしっかりと観ることが大切です。

 
#わかる Orient  
対象とその背景に対する認識=世界観をセットで理解し、
“もっともらしさ”で理解をする

見たもの気づいたことを自分なりに理解して納得し
自分の”世界観”として知見/経験を蓄積していくことです

 
例えば、
理解できなかったり受け入れられなかった考えや出来事が、
経験を積み重ねることや背景にある歴史や経緯など、
”何故”を知ることで理解できるようになったり、
これまでとは違う視点を持てるようになることがありますよね。

これがいわゆる自分の”世界観”であり、
常にアップデートしていく必要があるものです。

それ以外にも、
知識や知恵の多さを表す言葉として、
“引き出しが多い、棚が多い”
などの比喩表現がありますが、
この”引き出し”や”棚”も”自分の世界観”です。


この時、”もっともらしさ”で理解するというのが重要です。
自分自身のことだけならまだしも、
それ以外のことを完璧に理解することは、ほぼ不可能です。

自分のことすら完璧に理解することすら難しいですよね。

何でも実践してみるまで分からないことが大半ですし、
完璧主義的に理解しようとしてムダな時間を使うのではなく、
“もっともらしさ”で素早くわかることが大切です。


#きめる Decide 
論理的な意思決定を、可能な限り直観力で判断する 

仮説を瞬時に立てること、
「これはこうだから、こうした方が良いな」
と直観的に判断することです。

注意点は”直感”ではなく、”直観”だということ。

直感だと、
心赴くままに、感じたままに意思決定をすることになるので、
世界観を活かしていませんし、
検証も難しいので成長ループが回りません。

直観は、
#わかる (Orient)で説明した世界観を活用した、
自分の経験や知見からの帰納法的アプローチ
です。


つまり、
きめる(Decide)の力は、
世界観の広さがモノをいいます。 


#うごく Act 
単に行動するだけでなく成果が出るように実行し、最後までやり抜く 

#きめる (Decide)で説明したように、
感情の赴くままではなく、仮説を検証することで、
とにかくアクションをし、無心でやりきる自己統制力、
克己心が重視されます。

実践しなければ勿論のこと、
中途半端なアクションでは十分な検証結果が得られませんし、
検証が不十分ということは、
自分の世界観も効果的に広げることが出来ません。

 
#みなおす Loop 
また最初からOODAループを回すことを優先し
改めて世界観を見直す

過去の判断や行動の間違い探しに時間を費やすことは禁物で、
とにかく実践して、
じゃあ次は、じゃあ次は、と
アクションのスピードを最大化しながら、
経験値を増やして世界観を広げていきます。

3.何故PDCAでなくOODAループなのか

理由はVUCAの時代だからです。

PDCAは安定した確実性のある環境において有効なフレームワークで、
予算や人員の増減、ミッションの変更など、
資源と結果に対してコントロールするものです。

そもそも、計画(Plan)とは、
予測を前提に展開することなので、
予測が当たらなければ、その後に付随する行動は全部ハズレる、
という結果になります。

不確実性の高い予測困難な環境 = VUCA
まさに今の世の中においては、
アクションベースで検証をするという、
スピード重視の成長サイクルが求められます。

全てをPDCAサイクルで回していたら、
どんどん遅れを取って、
気付いたら周囲とは取り返しの付かない差が出来ている、
ということが簡単に起こり得る世の中になっています。


ただし、
PDCAを否定する訳ではなく、
その特性によって活用を分けることが大切だということを、
理解しておく必要があります。


ちなみにVUCAも
アメリカ軍が大戦中に考案したフレームワークで、
様々な文献や書籍がありますので、
気になる方は調べてみてください。


4.OODAループに必要な要素

OODAループを効果的に発揮するためには、
VSAという、また別のフレームワークがあります。

#Vision
これは「何を実現したいのか」であり、方向性です。
方向性が明示されることで、行動の一貫性が担保されたり、
判断の軸が統一されます。

#Strategy
Visionから逆算思考で描く戦略で、
重要なのは単一の戦略だけではなく複数の戦略を用意することが大切です。

言い換えれば、
Visionを達成するための道筋をいくつか用意しておき、
アクションベースで、
AがダメならB、BがダメならC、
とスピード感を持って取捨選択できることが大切で、
また一度戦略を描いたとしても、
ダメそうなら戦略自体を見直すという柔軟性が重要です。

#Action Direction
ビジョンと戦略に基づく行動指針で、
設定することで素早く判断し行動することが可能になります。


上記3点に加えて
#メンタルモデルと感情
という個人がそれぞれ持っているイメージや固定概念、感情を
上手くコントロールしていくことで、
さらにOODAループの効果を上昇させます。


5.重要なのは様々な経験と思考の回数

ここまでざっとポイントを説明してきましたが、
OODAループが特徴的なのは、
必ずしもO→O→D→Aの順番で実施する必要はなく、
状況に応じて、
・「みる→わかる→うごく」
などショートカットを使い分ける
ことが重要という点です。

世界観が広くなればなるほど、
つまり何かに関して熟練になればなるほど
“わかる”も”きめる”も
飛ばして、
“みる”だけで”うごく”ことが出来る様になる、
ということです。

いわゆる”匠の技”をイメージしていただければ、
わかりやすいかもしれません。


OODAループに関してまとめると、

・とにかくアクションすること
・実際の行動によって本質を理解すること
・洞察力や観察力を磨くこと
・経験と知識を蓄積し世界観を広げること
・これらを素早く、たくさんやること

ということだと個人的には理解しています。

余談ですが、
このOODAループは、”孫氏兵法”や宮本武蔵の”五輪書”、
“トヨタ生産方式”などから発想を得ているという点が面白いです。

日本のアイデアから生まれているのに、
日本ではまだまだ認知されていないというのは、
少し皮肉な話ですが。


次は、
実際にOODAループを実践した具体的事例を投稿したいので、
今日からOODAループのアウトプットを意識して過ごします!

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