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路地裏の王子 4話

今日もしっぽりと夜に包まれる。
カウンターで蓮が微笑む。

「明日の休みは何してる?」
「全然予定はないです。」
「じゃあ一緒にどっか行かない?」

行くに決まってる。

だけど私には抵抗があった。
まだまだ何も知らない蓮と遊ぶ事に。
でも、遊んでいくうちにわかって来る事もある。

逆に言えば黙ってみていてもわからないし、遊んでみなければわからない。
そんな言い訳を並べて、遊ぶ理由にしたのだ。

そしてその日は、車でドライブに行った。
もう場所なんて覚えていない。
どこでも楽しいのだ。
なんならどこに行かなくても、隣で話せる。
それだけでいい。

軽いドライブが、何度続いたかな、
お店で会うのも、また楽しくなった頃。
ママに「ちょっと」とカウンター裏に呼ばれ、
すると入るなり。
「蓮はやめなさい」唐突すぎる。
やはり、夜で生きてきた女性は、勘が鋭いのだ。
そして、恋する女もわかりやすく出来ている。

見た目に十分すぎるほど、出ているのは自分でもわかる。
けれど、ママに押さえられても止められなかった。

完全に遅かった。

しかし、後にママの忠告の意味を知る事になるのだ。

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