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主訴改善後も服薬を勧めたいときは

※2019年3月の記事です
花粉症のシーズンですね。私の働く漢方薬屋にも、花粉症の相談にくる患者さんが多いです。

今回は、薬局スタッフと患者のやりとりで、ほかのお店でも参考にできそうだなと思うことがあったので、ご紹介します。

事例1)
スタッフ「花粉の飛散が多い時期が過ぎれは、症状は治まると思いますが、その後も養生として漢方を継続していった方がいいですよ。根本的なの体質の改善ができますから」
患者「そうですか。でも、今困っているのは花粉症だけですし、花粉の時期が終わったら服薬は終了したいと思っています」
スタッフ「そうですか…」

このやりとりって、どう思いますか?
私には、スタッフの説明が足りないように思います。

大元の体質の改善って、少し漠然としていますよね。日頃から不調がたくさんあって体質改善がしたいと思っている人には響くかもしれませんが、そうでもない人には、ピンと来ないと思います。

では、どのように伝えれば良かったのでしょうか。説明が上手いと思う事例がありましたので、ご紹介します。

事例2)
スタッフ「花粉症って、毎年のことですから悩ましいですよね」
患者「そうなんですよ!」
スタッフ「これは一つの選択肢ですが、花粉の飛散の時期が終わっても体質改善のための漢方を続けて飲むことができれば、翌年の花粉症の症状が軽減される可能性がグッと上がります」
患者「え、そうなんですか!?」
スタッフ「そうですね。花粉が舞っている時期というのは、身体にとってマイナスの要因がある状況です。これに対して、漢方薬はプラスの要因。花粉の飛散がない時期、つまりマイナスのない時期はチャンスです。この時に漢方薬のようなプラスのものを身体に蓄積しておくことができると、”花粉症の症状が出やすい体質”の改善をしていけます」
患者「なるほど。もともと漢方服用は4月末までで終了したいと思っていましたが、少し考えてみます」

いかがでしょうか。

事例1も事例2も、体質改善を勧める話をしていますが、事例1より事例2の方が、患者が興味を持って話を聞いているのがわかりますね。

体質改善という漠然としたキーワードよりも、翌年の花粉症を軽減するといった、具体的な生活に沿ったメリットを提示してあげたほうが、相手に伝わりやすいです。

漢方に限った話ではありませんが、通常、一つの事柄には、複数の側面があります。患者が求めている側面は何かを考え、それに合わせた案内をすることができると、患者の共感や納得感を得やすくなると思います。

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