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世界の色は電車の中で

わくわくしながら電車に揺られるときは、私の頭の中で「ルージュの伝言」が流れてる。

目に染みるような朝日を眺めながら、ぐったりしている若者やスーツで青い顔をしているおじさんと一緒に早朝の電車に乗る。

土曜日だからそこまで人も多くないけど、それぞれ冴えない顔色をしていて、きっとこの車内の中で一番幸せなのは私だろうと思うと思わずにんまりとしてします。

私はこれから旅に出るのだ。

約1時間半の電車の旅。

本当だったらお弁当でも広げて景色を楽しみたいけど、新幹線でもないししそうもいかない。

とはいえ、ボックス席に座るとやはり旅気分で浮足立ってしまう。

普段乗る電車だって、目的が違うだけでこんなに景色が鮮やかに見えるのだから本当に不思議だ。

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通勤時間で1時間半もあろうものなら、毎日鬼の形相で席を確保して瞬間に夢の世界に舞い戻る。

だけど、旅の始まりの電車から見る景色は寝てしまうのが惜しいぐらいに美しい。

特に朝日と夕日の時間は、いっそ電車に乗っていた方が得なんじゃないかと思うぐらいだ。

太陽が昇る時も、沈む時も、世界が同じ方向を向いているように私の車窓キャンパスには描かれている。

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オレンジ色の太陽の光が、建物を照らす。すべての建物は同じ方向からオレンジを浴びているものだから、太陽の光が当たらない黒い部分とのコントラストで顏のように見える。

だから太陽が昇る時も沈むときも、私の目には世界が同じ方向を向いているように見えている。

この瞬間が1日のうちで一番美しい。

朝日に照らされる世界は、何か希望に満ちているように朝もやに光がキラキラと輝いている。

夕日に照らされる世界は、1日を締めくくる深い時間のように重工な空の色とオレンジ色のコントラストが目を閉じていく時の様にゆったりとして見える。

それを車窓からゆっくりと眺めるのが好き。

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特に、朝日を背に走る時と夕日に向かって走る時は、私が世界を染めているような気分になるから余計にこの瞬間が愛おしい。

だからガタンゴトンとゆっくり進む電車の旅も好きなのだ。




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