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「なぜ?」と訊くのはなるべく避ける話:会話のデザイン

部下に「この2週間、悩みながら仕事していたんです…」と言われたら、思わず「えっ、なぜ?理由は?」と訊きたくなってしまいますよね。

もちろん、マネージャーとして理由を知っておくことは大事です。そのまま放置しておくと、離職してしまうかもしれない。それに、同じ悩みを抱える人が他にいるかもしれない。

でも、この訊き方では、本当の理由を聞き出すことはできません。

理由はシンプルです。「なぜ?」は自由度が高い質問(オープンクエスチョン)だからです。

ものごとの「理由」には、いろんな種類があります。

①背景
②意図
③出来事
④原因
⑤根拠

「なぜ?」への答え方は、実は多種多様なのです。だから、「なぜ?」と訊くことは、抽象的な問い方になってしまいます。

ぼんやりした質問は、相手が答えに窮してしまったり、的確でない答えをしてしまったりする。知りたい話を引き出すときは、より具体的な訊き方をするべきです。

ではどうするべきでしょうか。

例えば「出来事」と「状態」を分ける

本来は、こう訊くべきです。

部下「この2週間、悩みながら仕事していたんです…」
マネ「そか。何かきっかけになる出来事はあった?」

マネ「なるほど。それじゃ、2週間前に比べて、仕事するときの気持ちはどう変わった?

こういう具合に、「なぜ?」と訊くのではなく、「悩むことになった」出来事(トリガー)を問うことで、明瞭に答えやすくなります。

こうした問い方をすることで、マネージャーは何に悩んでいるのかを的確に引き出すことができるようになります。

また、相手の「状態」を訊くときは、「2週間前と比べてどう変わった?」と具体的に問うことで、現在の状態をより正確に捉えることができます。

「なぜ?」を言い換えると道は拓ける

僕はよく、自問自答するときにこの技術を使います。

「僕はなぜサッカーが好きなのだろう」

だと、うまく思考を深堀りすることはできませんが、

「サッカーが好きになったきっかけは何だろう」

とトリガーに置き換えて考えることで、解像度高く考えることができます。

誰かに理由を訊くときも、

「このロゴデザイン、なぜ青色を採用したんですか?」
「青色を採用した意図はなんですか?」
「あの打ち合わせ、なぜ設定したの?」
「打ち合わせを設定した背景が知りたいです」
「あなたはなぜそう思うのですか?」
背景もしくは根拠が知りたいです」

のように、「なぜ?」を言い換えることで、途端にコミュニケーションが取りやすくなります。

理由を知ることはとても大事。だからこそ。

質問の積み重ねを通じて、お互いがお互いを深く理解できるようになります。

そのとき、自由度が高すぎる質問や無理やり答えを引き出す質問は、不純物が混じった回答が返ってきます。それで分かった気になってしまうと、双方にとって不幸な結果を招きます。

知りたい情報があるときは、なるべく具体的に訊くこと。これが相互理解の鉄則です。知りたい話を引き出すために、訊く側が工夫できることは、実はたくさんあるのです。

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