リハビリやっても無駄 なんて思ったらポケモンセンターに行こう
今回はおもに生活期で働くリハビリ療法士さんへ向けて書きます。
「高齢者はリハビリやっても回復しない」
とても耳にする言葉です。
それは利用者さんからも、ケアマネージャーさんからも、ご家族さんからも、果てはリハビリ療法士からですら耳に入ってきます。
「いや、そんなことないですよ」と簡単に言いたいところ。
ただ、言いにくい理由は生活期だから、という理由です。
生活期はグングン身体機能がアップする「回復期という山場を超えた」状態なのです。
ただ、このイメージを持っているリハビリ療法士は恐らく、こんな前置きをひっそりと隠してこの言葉を使ってる、なんて思います。
「(過去にリハビリやってても、無駄だったし、大勢の方は良くならないんだし、)高齢者はリハビリやっても回復しない」
これをもし、セラピストさんが言うのであれば、光が無い状態だな、かわいそうだな。と思うのです。
もう、セラピストとしては瀕死状態です。
私はマネージャーとして、新人さんから中堅、ベテラン療法士さんと管理する立場として接します。その時に悩んでる層が違うことに気づきます。
回復について考える時、
新人さんは「身体機能のアップ」に目がいきがちです。これは全く悪いことではなく、眼前に居るご利用者さんを「身体が良くなることで日常生活を明るくしたい」ということです。
中堅さんになるとそれだけじゃダメだ。と分かってきます。
訪問リハビリという枠組みだけではなく、他のリソースで日常に光を当てられないか?と考え始めます。訪問リハビリだけで成立しない、他の協力が必要だ、とチームで考えるようになります。
ベテランさんになると「人との繋がり」を重視するようになります。特にその方の人生を物語りとして捉え、その史実の中で「新しい鉱脈は無いか?」と掘り始めます。
こうすることによって、わたしたちは「この方にとって生活の中に光を見出したい」と悩み、模索するのです。
もしかすると「理学療法士法では〜〜〜」と法律という小刀で太刀打ちしようとする人もいるかもしれません。
しかし、私たちが取り組むべきタスクは「ご利用者さんの生活を安楽にすること」「住みたい場所で住めるを続ける助け」です。そこに筋力・関節可動域はさほど関係ありません。
元阪神タイガースの投手である下柳剛さんは22年間プロ野球選手として活躍され、外国人選手へ伝えた極意を引用したいと思います。
下柳選手は特別早いストレートをもっている訳でもなく、キレキレの変化球を持っている訳でもない選手でした。しかし、活躍する姿に海外から移籍してきた外国人選手がこぞって質問に来た時に言い放った極意です。
ご高齢の方は加齢による身体機能の衰えはつきものです。
速いストレートは投げられません。しかし、目的はアウトを取ること。身体機能が回復しなかったとしても、生活として回復する手助けをわたしたち訪問リハビリ療法士は必死になって探します。
仕事という側面では「役に立てているという自負」がキモです。
これが無くなった時にセラピストとして瀕死状態になります。
しかし、瀕死なんですね。死んだわけではありません。瀕死状態です。
まるでポケモンがやられた時の状態です。
そんな時は早くポケモンセンターに行かないとバトルできません。
セラピストそれぞれのポケモンセンターはどこでしょうか?
「学術大会」「研修会」かもしれませんし、「旧友と仕事について語らう」かもしれません。もしかすると、自分の大切な親族の高齢者に会うこと、かもしれません。
それぞれのポケモンセンターで回復して、セラピストとして「役に立てているという自負」を持って、光を放って働いてもらいたい。
このように、わたしは心から願っています。
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