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「転倒しない」は正しいリハビリの形なのか?

リハビリテーションは転けないを追求するっしょ?当たり前でしょ?
なんて思っていませんか?

まず、初めにわたしの立場を明瞭に示します。
日常生活では「転けない」がまぎれもなく正解です。

では、「転ける」は不正解なのでしょうか?
その通り、不正解です。

では、絶対に転けない方法とは何なのか?
って考えちゃうんですよね。
その方法は「寝ころがっておく、寝ころび続ける」です。
そうです。活動を制限しちゃえば良いのです。

転けないために、寝たまま。
活動を制限するのは正解でしょうか?
‥‥不正解?

なんて頭の中でぐるぐる回り始めてしまいます。


今回の記事で伝えたいことは「転けたらだめなんだよ症候群」について考えてみよう、ということです。

私は生活期で訪問リハビリテーションを行なっております。
全ての方をベッドにくくり付けて活動制限をしていく。
これってリハビリテーションでしょうか?

そんなわけありませんよね。ただの身体拘束です。
リハビリテーションと対極にあることです。

私はどちらかというと、「やりたいなら、やってみましょう」と同意するセラピストです。その分、リスクを理解してもらうように努めます。

リスクがあるから「ダメ」ではなくて、リスクがあるから「転けたらどうする?」を知ってもらうのです。




「転けないためにやる」という練習はリハビリの🔵青信号です。間違いなく正しい道
であり、取り組む価値があります。

しかし、活動する限り、いつも転倒のリスクがこびりつきます。
そのため、セラピストはこう考えます
「もし、転けてしまったらどうしようか?」

そんな時のために、転けることの🟡黄色信号を想定して、床から立ち上がる練習を私たちは行います。いつ、何どきに転倒するのかはわからないのです。
プラス、良い副産物があります。ご家族さんへこの床からの立ち上がり介助練習を教える機会となることです。
転けたとしても、立ち上がれるから少しでも安心を持って活動していただきます。

最後に、転けることの🔴赤信号として、転ける練習をしてしまいます。
もちろん、柔らかいマットの上やセラピストがほとんど抱える形で行います。

私は過去、脊髄損傷のリハビリチームに在籍をしていました。
若くて車椅子を自走される人は退院後、ほぼ間違いなく転落を経験します。なので、転けるのを受け入れてもらい、その先を見据えるのです。

転けない練習がリハビリテーション
いや、転ける想定をして床から立つ練習も積極的に行う
いや、なんなら転ける練習すらする

それが臨床です。

「転けたらだめなんだよ症候群」は陥りやすい落とし穴です。
「転かさないようにする」プロセスと「転けてしまった」リザルトは区分する必要があります。
改めて、活動してもらうためにやっている!がリハビリテーションの核心なのです。

だからといって、「転けてもいいんだよ」とは思っていないことは最後にキッパリとそっと加え、終わりにします。

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