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日本生薬学会(第67回年会)レポート

こんにちは、しきです。

9/19~20に開催された、日本生薬学会年会に参加してきました。
今年はオンライン開催ということで、自宅で、夫に子供たちを見てもらいながらの参加でした。

認定薬剤師の必須単位がいただける研修を中心に参加しました。
・会長講演
・招待講演(合田先生)
・JONM依頼公演1・2
・シンポジウム1「腸内細菌に着目した漢方薬研究の最前線」
・シンポジウム2「若手シンポジウム」
・特別講演

今回受けた中で一番印象に残っているのは、シンポジウム1「腸内細菌に着目した漢方薬研究の最前線」です。
また、特別講演の「がん治療および緩和医療における漢方薬の有用性とその科学的根拠」も、もともとがん病棟中心で業務をしていた私にとって興味深い講演でした。

この記事では印象に残った点をレポートしていきます。
薬剤師の方でもそうでない方にも、つとめてわかりやすく簡潔に書いていきますね。

腸内細菌と漢方薬の関係

一見、何の関係もないように見えますが、漢方薬の効果を語るうえでかなり重要な存在なのが、腸内細菌です。
漢方薬に含まれる生薬成分の大部分は、配糖体といって、糖と糖でない部分(非糖部)がくっついてできています。配糖体は腸内細菌によって分解され、効果を発揮します。また、腸内細菌の内容によって効き方に違いが出てきます。
腸内細菌によって効き方に違いがある一方で、漢方薬や生薬そのものも、長期的に摂取することによって腸内細菌叢(腸内細菌のあつまり)を変化させるとも言われています。
こうして漢方薬と腸内細菌叢が影響しあっていくことで、生体バランスを整えていくのです。

がんに付随して起こる様々な症状に使える漢方薬

私の記事でもがんと戦う薬についてはまとめていますが、今回は漢方薬の話をもっと深めていきます。
※ちなみにこの記事です。

上の記事で触れていない抑肝散は、著効する症状として有名である精神症状のほかに、がんが及ぼすストレスに対しても有効と考えられるそうです。もともと昂った精神を落ち着ける薬であるため、理にかなっていると思います。
そのほかに、人参養栄湯もがん支持療法(抗がん剤としてではなく、治療による副作用対策)に有効であるといわれています。もともと貧血に適応があるので、血液の成分を作る効果があります。その他にも、神経細胞の保護、神経増殖因子誘導などの神経系の作用も報告されています。また、ご講演された元雄先生の研究では、人参養栄湯が抗がん剤オキサリプラチンやカペシタビンの副作用である末梢神経障害(しびれ)を有意に抑えつつ、治療強度も上げることが示唆されています。
そのほかにも、食欲不振を改善する六君子湯や口内炎を治療する半夏瀉心湯についても言及されていましたが、これを書くと長くなるので、別でまとめようと思います。ちなみにこの2つの漢方薬は私の推し漢方でもあります。

おわりに

ここでは挙げなかった講演もかなり刺激的な内容でした。有機合成の話がほとんどでしたが、学生時代の記憶が思い起こされてアドレナリン出っぱなしでした。英語での講演があったので、リスニング力と読み取る力を久々に使いました。最終的には要旨をgoogle翻訳に突っ込んでから聴いてましたけどね…
最近のオンライン学会ではあらかじめ収録した講演ビデオを流す形をとってるんですね!この手法だとめったなことでは時間が押さないからいいですよね。先生方もリラックスして発表されていたので、聴講側としてもかなり聴きやすかったです。

今回参加してみて、やっぱり私は漢方が好きなんだなあと再認識できました。腸内細菌ももっと学びたい分野になりました。図書館行きたいなあ。
休みながら時間を作ります。

つたないまとめでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
それでは失礼いたします。

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