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デザイン思考を「アップデート」する 新しい4つの役割とは

こんにちは、デザインヘルスカレッジのいずみです!

医師として働きながら、「日常から健康に」をテーマに、アプリや日用品から臨床、医療現場を「デザイン」の視点から研究しています。

この記事で学べること

本日はカリフォルニア大学の論文を元に、「デザイン思考の役割とはなんなのか?」ということについて記載していきたいと思います!

デザイン思考が必要とされる時代背景

最近は本屋でもよく「デザイン思考」という言葉を見かけますね。

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以前こちらの「イノベーションとしてのサブスクリプション」について記載しましたが、デザイン思考も同様に「時代に必要とされているから」こそ最近話題になってきているわけです。

それではまずは時代の変化から。

物質的成長は臨界点を迎え、衣食住を中心として、人々は生活に困ることはなくなりました。

特に僕たち「ミレニアル世代」や「Z世代」は団塊ジュニア世代と比べても、「働く意味」や「好きなこと」という言葉に目を引かれる時代です。物質的な欲求は満たされ、所有価値から、利用価値へ。

このような時代の背景にあるのは、人間は「昔と比べて贅沢で、わがままに」なってしまったということもできます。ただただお金がもらえるだけでは働きたくもない、カッコよくない商品は買いたくもない。なんてわがままなんでしょう。

よって時代は「こんなわがままな人たちですら買ってくれる一味違う商品」と言うものを求めています。(just like a baby)

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そしてそれを生み出すために注目されているのが、まさしくデザイン思考、と言うわけですね。

デザイン思考の「これまで」と「これから」

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そもそもデザイン思考とは、エンジニアリングの過程で生まれた概念とされています。具体的には、プロトタイプ開発とユーザー観察を用いて、市場、顧客データの分析、サービスを改善を図る手法とされていました。

ここで問題が発生します。

多くのケースで

①現場レベルではデザイン思考を用いた分析、開発が行われているが、半世紀にわたってサイエンティフィックな手法を中心とした経営プロセスを拠り所とする経営陣は、その重要性を理解できない
②それによって戦略上にはプロトタイピングの重要性が落とし込まれない

と言うことです。

これは困りました。よって今回の論文では「デザイン思考をアップデートする必要がある」と述べているわけですね。

まさしくこのデザイン思考自体が、マーケットインでどんどん改善されていくわけです。面白いですね!

「これから」のデザイン思考は次のように発展してくべきだと記載されています。

・ユーザー視点に立った感情を含めた(統計だけではない)マーケティン戦略
・顧客データの分析、改善から経営戦略上の新しいチャンスの創出

上記においていずれにも共通しているのが「戦略」と言う言葉であり、戦略とはもちろん経営陣、チームマネジャーがその意思決定には関与することが当然ですから、「現場のメンバーだけでなく、経営層も同じ顧客の視点に立って考える」ことを強く要求していることが理解できます。

4つの役割

それでは、これから求められるデザイン思考の役割を4つに分類し、具体的に見ていきましょう。

今回はグラフにしてみましたので、まずはこちらをご覧いただき、そこから少し深掘りをしていきたいと思います。

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また、今回はあくまで役割として概要をお伝えしているものになりますので、より具体的に組織で何をしていくのか?ということについては改めて別記事で記載していきます。

認知

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目的
スタートとなるのは、デザイン思考の重要性を理解することです。これは特に経営陣に向けてのメッセージとなりますが、他の研究では「現場だけがデザイン思考の重要性を理解し、経営層が理解していない場合、効果がない」と言うことが示されています。

よって、その重要性を理解してもらうことも、デザイン思考の一つの役割であるわけですね。

「インターナルマーケティング」すなわち、企業内部の顧客理解を深めよう、と言う概念にも近いかもしれません。

示唆
まずこの「示唆」と言う欄では、簡単に言うと「(上の)目的を達成するために何を伝えるのか?」と言うことを表しています。

では、今回の場合は具体的に何を伝えるか?それはデザイン思考固有のプロセス、イメージで言うならばポストイットを使いながらのミーティングなど、新しい手法がどのような価値をもたらすのか、と言うことを理解してもらうことです。

戦略
ここでは、デザイン思考により、最終的に戦略上でどのような効果が期待されるか?と言うことについて記載されています。

これが大本命というところでもありますが、この「認知」においては、どれだけデザイン思考が重要か!ということを熱く語るパートな訳ですね。

そしてそれは「デザイン思考を使ったら、新しい機会や、イノベーションにつながる意思決定手法を導くことができるよ!」ということです。

構造

目的
はい、ここまでで経営層は「なるほど、デザイン思考は重要なのじゃな」と社長に太鼓判を押してもらっている状態です。

その次に行うこと、それは「(実行を行う)組織においてどのようにデザイン思考が活用されるか?オペレーションにどう落とし込んでいくか?」ということが目的となります。

示唆
ここでは、具体的なデザイン思考プロセスを用いることで戦略として正当性、重要性を伝えていきます

戦略
既存の業務とは異なる新しい手法を用いることで、組織としての実行力を高めていくことを経営陣に加えて全メンバーに考えていただきます

文化

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目的
組織に対してもその重要性が理解されたのちに、「頭では分かっても体、気持ちがついていかない」というのはよくある話です。

よって、今度はデザイン思考と組織のカルチャーの付き合い方に対して理解を促していきます

示唆
デザイン思考プロセスと(それとは異なるような)文化をいかに共存させるかについて考えます。

例えば、「完璧な商品を開発しよう」というカルチャーがあった際に、デザイン思考はどちらかというと「まず作ってみて」という発想が強いものです。よって、これら両者の関係性のバランスを保っていきます

戦略
イノベーションにつながるデザイン思考プロセスを組織のオペレーションに浸透させることを対話を通して伝えていきます

実行

目的
ここまで戦略におけるデザイン思考の重要性、そして組織における理解を促すことを目的としていました。

最後はいよいよ実行に入ります。そしてここでは、ユーザー理解の「外側(=自分たち企業の人間には見えていない)」を戦略に落とし込んでいくことの重要性について考えます

示唆
企業と顧客の関係、これまでになかった理解を元に、両者の溝を埋めていくのはテクノロジーをデザインしていきます

戦略
顧客の声を聞くことがいかに戦略上重要であるか、その手法を次回詳細に記載したいと思います。



いかがだったでしょうか!今回は少し抽象的な内容でしたが、「具体的にどう実践していくのか?」と気になった方もいらっしゃると思うので、そちらに関しては次回以降に改めて記事にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!

以上、お読みいただき誠にありがとうございました!

参照

Design-Led Strategy:
How To Bring Design Thinking into the Art of strategy
DtOtpIs::/1/d0o.1i.o1r7g7/1/0.01107871/2005068192859617958947594 journals.sagepub.com/home/cmr

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