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バイオフィリアが描く「ペットと食の未来」

博報堂DYグループ with Startups Topics

博報堂ケトルのプロデューサー原カントくんがパーソナリティを務める、ラジオNIKKEI「BIZ & TECH Terminal」内のコーナー「SWITCH ON THE NEXT」。毎週ゲストを招き、ビジネスに関するさまざまな情報を中心にお話を伺っています。

博報堂DYベンチャーズの出資先である株式会社バイオフィリアの代表取締役・岩橋洸太さんが同番組にゲスト出演しました(2022年5月27、6月3日)。今まで日本にはほとんどなかった新しいドッグフードサービス「CoCo Gourmet(ココグルメ)」を展開し、ペット業界の「フードテック」スタートアップとして現在注目を浴びているバイオフィリア。硬直的ともいわれるペットフード業界で、なぜ岩橋さんは事業を始めたのでしょうか。さらに、バイオフィリアが描く今後の展望についてもお話を聞きました。

岩橋洸太さん

1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。幼少の頃から犬を飼っていた経験から、不幸な動物に対する問題意識を持つように。新卒でSMBC日興証券株式会社入社後、公開引受部に配属。4年半に渡って未上場企業の上場準備支援業務(公開引受業務)に従事する。メイン担当者としてIPO3件、市場変更1件の実績。2017年8月に株式会社バイオフィリアを設立、代表取締役に就任。ペット業界にて、複数のサービスを立ち上げる。

原カントくん

1998年博報堂入社。営業職、媒体職を渡り歩き、出版社・ゲーム会社といったエンタテイメント業界で営業を担当。同時にさまざまなコンテンツビジネスにも参画。2009年から博報堂ケトル参加、2020年博報堂DYメディアパートナーズにも兼務出向。博報堂での営業経験をバックボーンとしたプロデュース力と、博報堂ケトルで培われたメディアスキル、精神的タフさを武器にしたコンテンツプロデュースが得意。

「動物を救いたい」ペットに対する問題意識から証券会社を経て起業


博報堂ケトルの原カントくん(左) と株式会社バイオフィリア代表取締役の岩橋さん(右)

原:まずは、バイオフィリアがどんな会社なのか教えてください。

岩橋:手作りドッグフード「CoCo Gourmet(ココグルメ)」を中心としたスタートアップ企業です。直接お客さまに商品をお届けするD2C(DtoC)で事業を行っています。

原:ペットフードのスタートアップ、正直初めて聞きました。

岩橋:ニッチに感じられるかもしれませんが、実はペット市場の中では注目が当たっている分野なんですよ。

原:元々岩橋さんは証券会社ご出身で、全く畑違いの業界です。なぜ、この事業を立ち上げるに至ったのか、伺ってもいいですか?

岩橋:会社設立の背景として「動物を救いたい」という思いがありました。ペットってかわいいんですけれども、可哀想な目に遭っている子も実際は非常に多くて……。

原:殺処分など社会問題として取り沙汰されていますよね。

岩橋:はい。学生時代から、「そんな現実を何とかビジネスで解決したい」とずっと考えていました。そこでまずは証券会社で修行してから、会社を立ち上げたという流れですね。

原:金融業界に行ったことで、起業におけるメリットは何かありましたか?

岩橋:事業が大きくなるにつれて、金融業界で培った考え方が活きてきました。株式市場のダイナミクスを理解していたので、どういった方向に進めばいいか大枠が分かっていたのは大きかったですね。

原:基本的には証券会社って、すでにある会社をどうやって大きくしていくかを考えるビジネスだと思います。それに対して、起業は0から10に育て上げていくこと。全く違いますよね。バイオフィリア立ち上げのときは、どういった苦労がありましたか?

岩橋:生体販売市場の内側から業界を変えていこうと思い、最初はブリーダーから直接ペットをお迎えできるサイトを手掛けました。殺処分をしないブリーダーさんを前面に出したり、いずれはそのサイトに保護犬猫を載せたりして殺処分の課題解決に寄与できればと思っていました。

コンセプトはよかったのですが、事業として成立させるには上手くいかなくて。なかなか伸びなかったんです。そこでいくつか事業にピボットしていき、今までに4つ立ち上げたのですが……。

原:3回ほど失敗したということで、よろしいですか(笑)?

岩橋:その通りです(笑)。

原:4つ目の「ココグルメ」でやっとヒットが出たんですね。軌道に乗るまでは大変だったでしょう。「これ、いけるな」と思い始めたのはいつ頃から?

岩橋:それまでの失敗の経験からお客さまが抱えるペットフードに対する課題や市場の構造を理解できていたので、アイデアの時点で確信を持って参入しました。とはいえ、事業として成立するかは一定期間売上を確認してからでないと分からないな、と。

でも、ありがたいことにサービスを開始後、お客さまのリピート状況などを見て「これはいけるぞ」と感じました。リリースして3、4カ月経った時期でしたね。

原:すぐに手応えがあったんですね。

岩橋:お客さま自身もさまざまなフィードバックしてくれるんですよね。当初見えていなかった課題も知ることができました。私たちが立ち上げたというよりは、お客さまと一緒に作り上げていったと思っています。その意味でも、手応えがありました。

手作りのペットフードは立ち上げ当初、日本にほとんどなかった

原:「ココグルメ」は、他のドッグフードと何が違うのでしょうか?

岩橋:今までのドッグフードは大きく2つのタイプの商品が主力でした。1つが茶色くて固いドライフードで。

原:僕のイメージはそれです。カリカリカリッと、貪っているような。

岩橋:まさにそれです。もう1つはウェットフード。缶詰やパウチに入っている水分量が多いタイプのものです。

「ココグルメ」はそれら2つのどちらとも異なり、人間が食べるものと同じ品質の新鮮なお肉や野菜をそのまま使って手作りで製造しています。立ち上げ当初は、日本にほとんどなかったモデルでした。

原:手作りってかなり大変じゃないですか?

岩橋:そうですね。ペットフードをご家庭で手作りするのは大変です。なので、私たちが調理工場で製造して、お客さまに冷凍配送で直接お届けしています。

原:それは月額定額みたいな形で?

岩橋:定期的に届くサブスクプランがありまして、ほとんどのお客さまはそちらに加入いただいています。

原:ドックフードを手作りすることには、どんなメリットがあるのでしょうか。

岩橋:ドライフードは外側がカリカリになっていて、何が中身に入っているのか見えづらいと思うんです。ココグルメは食材がそのまま入っているので、何が使われているか見える。その透明性は安心できるポイントです。栄養面は、獣医師や動物栄養管理士、大学教授の3名に監修していただいています。

人間が食べるものと同じ工場、品質で作られたドッグフード

原:製造する工場や商品を保管する場所の確保など、そのあたりの構築はかなり苦労されたのではないかなと思います。

岩橋:そうですね。当時はまだ、日本に手作りフードがなかったので……。

原:手作りのペットフード自体が市場にない中で、バイオフィリアという会社も「誰ですか?」っていう感じですよね。

岩橋:おっしゃる通りです。人間の食べ物をつくる工場へ交渉しに行くわけなんですが、ほとんどが「なんだ、この若者は?」みたいな反応でしたね。

原:それをどう突破していったのでしょうか?

岩橋:とにかく数を当たっていきました。何十社と声を掛けまくって。

原:人間が食べるものと、犬や猫が食べるものって共通点はあれども、違うところは違うんでしょうね。

岩橋:そうですね。当時は業界として明確に分かれていたんですよ。というのも、一部のペットフードでは人間の食品には使わない材料を使っていて。食品工場に関しては、そういった部分がデリケートになりやすい。

なので、私が「人間が食べる商品の品質で、ドッグフードを作ってくれ」と言っても「ドッグフードでしょ? うちではそんなことやれないよ」みたいな言い方をされることが多かったですね。

キャットフードにも事業を拡大、愛用しているユーザーの反応は?

原:最近、事業を拡大して、キャットフードも発売されたそうですね。

岩橋:はい、「Miao Gourmet(ミャオグルメ)」というブランドになります。こちらも同様に、ネコちゃん用フードを手作りで提供しています。

原:ちなみに、コロナ禍でペットを飼う人が増えたというニュースをよく耳にします。でも、今の日本って人口がどんどん減っているじゃないですか。ペットフードの市場はどうなのかな? 人口と同じくシュリンクしているのでは? と、気になったりするのですが。

岩橋:ご推察の通り、人口減少に伴いペットの頭数は減ってきています。ですが、一頭あたりにかける金額は増えており、市場全体としては大きくなっているんです。さらにいうと、「プレミアムフード」と呼ばれる高価格帯のペットフード市場は伸びており、私たちはそこに張っていると言えますね。

原:プレミアムフードという市場で勝負していく、と。実際に「ココグルメ」「ミャオグルメ」に切り替えられたユーザーさんからはどんなお声がありましたか? ペットの反応も気になります。

岩橋:一つは、食べつきが今までと全然違う、喜んでばくばく食べるようになったというお声をいただきます。さらには、毛艶がよくなったり、ぴょんぴょん飛び回るようになったりといったお声も。そういった反応から、果ては「(ペットの)命の恩人です」とまで言ってくださる方もいらっしゃいまして……。

原:ペットがより元気で健やかになることで、結果的に寿命が伸びることもあるかもしれないですね。

岩橋:そうですね。ずっとごはんを食べてくれなくて、どんどん身体が弱ってしまい悩んでいたというお客さまのわんこが、「ココグルメ」を食べはじめてから元気になったというエピソードをいただいたこともありますね。ありがたいことです。

「ペット×食」で世界中に愛される日本ブランドになりたい

原:今後、バイオフィリアの目指すところを教えていただけますか?

岩橋:「ココグルメ」「ミャオグルメ」を世界で一番愛されるブランドにしたいです。ほかにもペット領域で考えていることはあるのですが、やはり食はお客さまの関心が非常に強い部分。なので、まずはここに注力して「ペット×食」のブランドを伸ばしていければと。

さらに、海外の方にも日本の食の良さを知ってもらえたらという思いがあるので、グローバルブランドになることを目指して、海外展開も視野に入れていきたいです。

原:海外では、ペットフードのサブスクモデルの先行事例はあるのですか?

岩橋:アメリカで最初に立ち上がった企業があって、そこが伸びてきていますね。

原:僕のイメージですが、ペットフード業界ってすでに大手企業が何社かいて独占状態なのかな、と想像しています。そこに対して手作りフードで参入して、今後大手とどう競合していくか。意気込みはありますか?

岩橋:今のところ、大手はドライフード、ウェットフードの既存商品を中心に展開していて、自社で手作りフードをやろうという動きはありません。やはり設備やラインナップの違いがあり、参入しにくいからではないかな、と。本気になれば参入できるとは思いますが、その間に私たちが先に市場を形成してノウハウを貯め、お客さまの信頼を勝ち取っていけたら。

原:確かに。大手はリアル店舗で棚をどう獲得するかの勝負をしていると思います。一方で、バイオフィリアの販売方法は基本ECサイト。いかにネット上で顧客と繋がるか。そこがやはり違うでしょうね。

岩橋:始めたばかりのころは、私たちも答えを持っていなくて。お客さまにフィードバックをいただいて、2年半で7回ほどリニューアルを重ね、商品をどんどん改良してきました。お客さまと繋がれているという強みは大いにあるかと思います。

大手企業の規模感でお客さまと直接コミュニケーション取っていくのは難しい。私たちのようなスタートアップならではの小回りが効く経営が、商品力の強化に繋がっていると考えています。

原:いや、面白い。今回はペットフードの「フード×テクノロジー」ということで斬新なお話を伺えました。この番組のディレクターもペットを飼っているので、ぜひあとで商品をいろいろとご紹介いただければと思います。

岩橋:はい、ありがとうございました。

※2022年5月27日、6月3日に放送されたラジオNIKKEI「BIZ&TECH Terminal」ラジオNIKKEI第1、毎週金曜19時~19時30分内のコーナーSWITCH ON THE NEXT(http://www.radionikkei.jp/btt/)の内容を再編集しています。

(執筆=矢内あや 編集=ノオト)


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