見出し画像

異国で文化をつなぐということ

昨日は特に子供たちの習い事がない日曜日。

最近疲れが溜まっているのが
何となく体感的にわかっていたので
日曜日はゆっくりしようと思っていた。

とはいえ一日ゴロゴロするわけにもいかない。

翌週の準備や、年末の予定に向けた手配も
色々しなければならないので、
朝起きてからTo Doリストを作り、
作業をし始めた。

そうして作業を進めていると妻が起きてきた。

おはようとあいさつをして、
洗面所に向かう妻。

顔を洗って化粧水をすりこみながら
妻がこんなことを聞いてきた。

「今日って何かせなあかんことある?」

妻がこう聞いてくるときは大抵何かしたいことが
あるときである。
そして、大抵それは家族で出かけることになる。

そう察した私は、「〇〇と××をせなあかんかな」と
朝イチに作ったTo Doリストを見ながら答えた。

「そっか、そしたら行こうと思ってた所は私一人で行くわ」
などと簡単に折れる妻ではない。

頭の中の検索エンジンを回した妻は
自分が行こうと思っていた予定と私のTo Doを
半ば強引に組み合わせて家族で出かけることを
提案してきた。

私にNoを言う権利はない。

頭に描いてたゆっくりする日曜日は
ここで捨てることになった。

妻が行こうとしていたイベントは
妻の職場の同僚が参加するフラメンコの発表である。

私自身フラメンコは全く見たこともないし、
妻の同僚とも全く面識がない。

内心、この状況ならば妻が一人で行けばいいのにと
思うのだが、
どうも一人で行くのは寂しいらしい。

発表は午後イチからなので、
午前にTo Doの内容を片付けて
早めの昼食を済ませてから出かけることに。

そのイベントではフラメンコだけではなく
色んなダンスの発表会が組み合わされており
正直フラメンコも音楽が流れる中を
独特の衣装を着た女性が躍るだけだと思っていた。

会場に到着し、座席について待っていると
ほどなくして発表が始まった。

すると、驚いたことに舞台の端に女性と
ギターを抱えた男性が座り演奏をし始めた。

フラメンコ独特の異国情緒あふれるギターと
想像の3倍ぐらいの声量で奏でられるスペイン語(?)の歌。

ほどなくして妻がお目当てのダンサーの方が
入ってきてダンスが始まる。

発表は20分ほどなので、子供たちを座らせて
家族でそれを鑑賞した。

正直な話をすると、私はフラメンコのダンス自体は
それほど印象に残らなかかった。

だが、驚くほどの声量で歌いながら、
ダンサーの方を励ますような合いの手のような言葉を
スペイン語で言う女性と、
指がどう動いているのか全く分からない
華麗なギターの演奏に私は魅了されてしまった。

そして、私の中で一つの大きな疑問が生まれた。

「彼らはどこであの技術を身に付けたのだろうか」

私が知らないだけかもしれないが、
少なくとも私の周りでフラメンコをしている人は
あまり沢山はいない。

Twitter(X)でつながりのある方がフラメンコを
されていると聞いたことはあるが、
その方は大阪在住なので、「さすが都会だな」ぐらいに
思っていた。

しかし、フラメンコの協会の記事を読むと
何と国内にも5万人も人口がいるそうである。

だが、その記事にも8割が踊り手(バイレというらしい)であり
カンテ(歌い手)、ギターの割合が極めて低いのが
日本のフラメンコの課題だと書かれていた。

そもそも取り組む人が少ないのであれば、
なおさら歌やギターを身に付ける場所が
少なくなってしまうのは必然である。

もしかすると今回私が見たカンテやギターの方は
本場スペインで学んだのかもしれないが、
これだけ異国の音楽をマスターするのは
並大抵なことではないだろう。

本場スペインではカンテやギターは
ある意味フラメンコの花形らしく
目標にする男性も多いのだそうだが、
残念ながら日本ではフラメンコ=女性というイメージが
先行してしまい男性の人口が少ないそうである。

何だか他人事ながら彼らの活動が
もっと多くの男性に広がればいいのにと
ステージを見ながら感じたのであった。

「じゃあお前がしろよ」という声が
うっすらと聞こえてくる気もするが、
英語の勉強に飽きて、スペイン語に手を伸ばした暁には
ぜひフラメンコギターも練習してみようと思う。

オレ‼

ちなみにフラメンコの後には
ベリーダンスが披露されていたのだが、
想像以上に妖艶な衣装と動きに気まずくなり
私は思わず子供を連れて逃げてしまった。

私たちの前に座っていたおじいちゃんは
ベリーダンスが始まると恥ずかしいのか
新聞を取り出してみていたが、
視線はダンスの方にしっかり向いていたのを
私はバッチリ見てしまった。



この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?