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もったいない芋けんぴ

あなたは芋けんぴが好きだろうか。

私は子供の頃から大好きである。

カリカリした触感と芋の味。
しかも食べても手が汚れにくいので
何かをしながら食べるにもいい。

そんな芋けんぴであるが、
なかなか我が家では購入する機会がない。

理由は二つ。

一つは値段が高いこと。
これはサツマイモを原料にしていることと
袋に入れても重量が重くなりがちなので
ある程度は仕方がないが、
どうしても見た目上高く見えてしまい
購入に至らないのだ。

もう一つの理由は
子供が喜んで食べないことである。

ちなみに我が家の子供たちは
サツマイモは大好きだし、
時々大学芋を作れば、兄妹喧嘩が始まるほど
喜んで食べる。

にもかかわらず芋けんぴは
お菓子の箱に入れていても
不思議なぐらいスルーされてしまうのである。

私にはどうにもこれが不思議でならなかった。

そんなある日、義父と義兄が我が家に遊びに来た。

近くのスーパーで買ってきたお菓子を持ってきて
子供たちに渡してくれたのだが、
ふと見るとその中の一つのお菓子を子供たちが美味しそうに
ポリポリと食べていた。

何を食べているのかと娘に尋ねると
「おいものおかし」だという。

よく見てみると何とパッケージには
芋けんぴと書かれているではないか。

驚いたことに子供たちは色々あるお菓子の中から
芋けんぴを選んで食べていたことになる。

いつもお菓子の箱の中でスルーされる
芋けんぴがなぜ子供たちに真っ先に選ばれたのか。

そう考えた時に、今回我が家に来た
芋けんぴにはいつもの芋けんぴと劇的な
違いが一つあることに気が付いた。

それはパッケージである。

もったいぶっても仕方がないので
そのパッケージをお見せすると、
下記のようなものである。

よくスーパーのお菓子コーナーになるような
何個か連なって小分けにされたスナック菓子と
同じようなパッケージに芋けんぴが入っていたのである。

しかも、パッケージにはアンパンマンに出てきそうな
絵のキャラが描かれている。

一見するとただ芋けんぴのパッケージを変えただけだが、
これにすることによって子供たちは
何の躊躇もなくこの芋けんぴを手に取ることができたのだ。

では、従来の芋けんぴはどんな感じだろうか。

まさにこんな感じの透明なジップバックに
無骨な芋けんぴが詰められたイメージである。

私達世代からしてみれば、これぞ芋けんぴという
イメージのパッケージであるが、
どうやら子供たちの世代からしてみれば
これは古臭いお菓子(=大人が食べるお菓子)という
イメージになってしまうらしいのだ。

私が子供の頃、同居していた祖母がよく
甘納豆を好んで食べており、
「美味しいからしんちゃんも食べてみ」と
祖母が時々私にそれをくれた。

味自体はとっても美味しいのだが、
不思議なことに自らそれを選ぶことはなかった。

それもまさに私がこれを「大人が食べるお菓子」と
認識していたからである。

甘納豆はそもそも味自体が大人好みではあるが、
芋けんぴについては揚げて作るお菓子なので
子供向けのものである。

にもかかわらず、パッケージが大人向けのイメージなので
子供たちはそれに手を出したくても
躊躇してしまっていたことになる。

それはあまりにもったいないことではないだろうか。

今回偶然私が目の当たりにした事例は芋けんぴであったが、
実際には色んなお菓子がパッケージのせいで
子供たちから敬遠されているのではないか。

そして、その逆も然りで
中身はとても大人にも受け入れられるものなのに
パッケージの影響で大人が手に取りにくく
なっているものが世の中には沢山あるはずである。

これから我が国も人口が減少していき
内需が確実に減っていくことが予想されている。

その中でビジネスを成り立たせていこうと思うと
やはり幅広い世代に受け入れられる商品を
世に出していかなくてはならない。

そう考えた時に、商品自体を見直すことは
もちろん大切なことであるが、
それ以上にパッケージを変更することが
大切になってくるのではないだろうか。

街に出来たての芋けんぴを提供してくれる
芋けんぴスタンドのようなものがあれば
若者は喜んで食べてくれそうな気もする。

商品は同じでも売り方次第で売り上げは
いくらでも変わるのがビジネスの面白さである。

いつも仕事では嫌というほど考えているのに
いざ家にいて消費者目線になると
気づけないことに改めて気づかされた気がする
エピソードであった。

ちなみに私はラスクを見る度に
子供の頃にサンドイッチを作った際に
切って余ったパンの耳で
母親が作ってくれたかりんとうを
思い出してしまう。

油がジュワっと出てくるあの感じが
子供の頃はたまらなく好きだったが
大人になって食べる機会がなくなった。

久々に作って食べてみたいと思ったが、
間違いなく高カロリーである。
しかもそもそも家でサンドイッチを作る機会もない。

大人になって食べる機会が無くなった
思い出の味を少量だけ食べることができる
そんな店があれば流行りそうな気もする。

どなたか家でサンドイッチをした際には
ぜひお呼びいただけると嬉しい。


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