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記録することの大切さに気付いた話

今日は久々に昆虫に関する話を書こうと思う。

「なんだ、それなら今日はこのへんで。。」
などと去ろうとしたそこのあなた。

少し待ってほしい。

書かれているのは間違いなく昆虫の話だが、
別に昆虫がどうこうと考察しているわけではないので
ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しい。

昨日は私が趣味で育てているオオクワガタの
幼虫のエサ交換を行った。

イメージがわかない方もいるかもしれないが、
オオクワガタの幼虫は広葉樹のオガクズに
キノコの菌糸を回したものを餌にしている。

☝こんなやつ。

その菌糸を充填させたプラスチックの容器の中に
幼虫を入れておけば、住居兼エサの中で
幼虫は育つことになる。

しかし、これもいつまでも有限ではなく、
幼虫が食べきってしまえば
それ以上食べるものが無くなってしまい
死んでしまうし、
菌糸自体も長い期間置いておくと劣化もする。

なので一定の期間で交換が必要になるのだ。

昨日はその交換作業を行った。

私が今年育てているオオクワガタは2血統。

大型が出ることで有名な福岡の久留米血統と
オオアゴの形が特徴的な兵庫の阿古谷血統である。

「え?昆虫に血統なんてあるの?」と
思われたかもしれないが、
実はオオクワガタのような昆虫にとっては
血統の違いというのは大きな意味を持つのである。

なぜなら、オオクワガタは行動力に乏しく
めったに飛翔しない昆虫だからである。

日本のオオクワガタは中国原産のホペイ種が
原種であると言われているが、
それが長い年月をかけて日本各地に広がり、
今では日本の固有種となっている。

だが、自然界でのオオクワガタは
一日の多くの時間を広葉樹の洞の中などで過ごし、
気温の上がる夏場のごく限られた時間しか
外に出て行動をしない。

甲虫特有の内翅という翅は持っているものの
その特性故にめったに飛翔することはない。

実際、私はオオクワガタを長らくブリードし続けているが
一度も飼っているオオクワガタが飛翔しているのを
見たことがないほどである。

それだけ飛ばない昆虫なので、
どうしてもその土地に居ついた個体同士で
繁殖を繰り返すことになり、
必然的にその土地に適応する形状に
進化することになるのだ。

とはいえ、その違いはそれほど大きなものではなく
恐らく昆虫に興味がない方からすれば
上述の久留米と阿古谷の違いは微々たるものにしか
見えないであろう。

だが、私達オオクワガタラバーからすれば
その違いはとても大きなものであり、
何よりもの魅力でもある。

血統の話を書きだすと、それだけで10記事ほどになるので
このぐらいにしておくが、
そんな2血統の幼虫のエサ交換を昨日行うと
とある不思議な現象に遭遇した。

この良血統は同じタイミングで産卵させて、
全く同じタイミングで幼虫を採り出し、
同じ菌糸のビンに投入したはずなのに、
血統によって大きさに明らかな違いが出ていたのである。

久留米の方の幼虫がカールだとすれば
阿古谷の方はキャラメルコーン。

そのぐらいの違いだったのだ。

今回使った菌糸の種類が阿古谷血統には
合わなかったのであろうか。

最初そう思ったのだが、
この菌糸の種類は昨年も使っており、
十分なサイズの実績が得られている。

決して菌糸の種類が合わなかったわけでは
なさそうなのだ。

それぞれの幼虫のグラム数を計測して
新しい菌糸に幼虫を投入。

古くなった菌糸を大きな容器にかきだしてと
一連の作業をしながら、
私はずっとのこの要因を考えていた。

そして、作業が全て終わり、
入れ替えをした幼虫たちを保管場所に移した後、
私はオオクワガタの飼育記録をつけることにした。

この記録は毎年つけているもので、
1回目、2回目、3回目の交換で
どの血統がどれほど大きくなったのか、
どのような傾向がみられたのかを
記録しておくものである。

その記録を付けながらふと気になって
2年前の記録を確認してみた。

昨年はタイミングが合わず阿古谷血統の
ブリードは行っていなかったので、
前回ブリードしたときの記録である。

すると、2年前にも1回目のエサ交換の時には
あまり成長度合いが良くなかったものの
2回目の交換時に劇的に成長していたことが
書かれていた。

その反対に久留米の血統はやはり
最初に大きくなって、それ以降体重を維持するような
傾向であった。

まさに今年の2血統の違いと同じ傾向である。

先ほども書いたが、昨年は阿古谷血統の
ブリードは行わなかったので、
久留米と阿古谷を比較しておらず、
今回出てきた違いに気づくことがなかったのだ。

つまり、これは私が飼育記録を
ちゃんと記録していたからこそ気づくことが
できたことなのである。

私達は日々いろいろなことに取り組み、
その結果を目の当たりにしている。

その中には仮説を立てたうえで行った取り組みもあれば
何となく行った取り組みもあるだろうが、
それらの結果を私達はあまり覚えておくことが
できないものである。

それ故に結果から何かを学ぼうとしたときに
とても感覚的で、的外れな答えになりがちである。

だが、それらの結果や傾向を都度記録しておけば
そのような的外れな答えに行きつくリスクを
大幅に下げることができる。

例えばあなたの体重が増えたに気が付いたとしよう。

最近何をしていたか、何を食べたのか
を思い出すことができるだろうか。

何となく飲み会があった、油モノが多かったなどの
傾向はわかるかもしれないが、
それがこれまでの食生活とどれほど違ったのかは
ごく感覚的なものでしか知ることができない。

だが、毎日食べたものや歩数が記録されていれば
どうだろうか。

体重の増加という事象に対しても
とても明確な仮説を立てることができるだろうし、
それに応じた的確な対策を打つことができるだろう。

もちろん、食事や歩数の記録は面倒だし
よほどボディコントロールをしている人でなければ
できないことであるが、
何か結果を求めるのであれば、やはり記録をすることは
非常に重要なのである。

今回のエサ交換では改めて記録の大切さに気付かされた。

今から3か月後に次のエサ交換が訪れるが
次の阿古谷血統の結果を見て、ニンマリとほほ笑む自分が
今から見えるような気がした。



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